2021年06月21日
ゲーム開発を中心に、エンタテインメントコンテンツを展開するコーエーテクモへの転職。採用面接は新卒の場合と違い、仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われる他、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので、事前にしっかり対策をすすめましょう。
コーエーテクモホールディングス(以下、コーエーテクモ)は2009年、コンピュータゲームソフト開発をおこなうテクモ株式会社と、ゲームソフト開発をおこなう株式会社コーエーの経営統合にもとづき設立されました。事業内容としては、パソコンや家庭用ゲームソフト、スマートフォンゲームといったゲームの開発・展開(エンタテインメント事業)をメインに、アミューズメント事業、不動産事業、ベンチャーキャピタル事業を手がけています。不動産事業とベンチャーキャピタル事業によってある程度確かな利益を確保し、エンタテインメント事業・アミューズメント事業の下支えとしていると考えてよいでしょう。
エンタテインメント事業は、ゲームタイトルの特色ごとに「シブサワ・コウ」「ω-Force」「ルビーパーティー」などのブランドに分かれています。前身である株式会社コーエーの人気タイトルを引き続き展開するとともに、新たなタイトルも積極的にリリース。『信長の野望』シリーズは1983年、『三國志』シリーズは1985年、『真・三國無双』シリーズは2000年にそれぞれ第1作が発売され、いずれも現在まで続く人気タイトルです。男性向け作品が多いなか、女性向けブランド「ルビーパーティー」も根強い人気を誇るタイトルを複数展開しています。『遙かなる時空の中で』は2000年、『金色のコルダ』は2003年にそれぞれ第1作が発売され、新作を発表し続けています。
そんな同社は、新しい会社ではありますが前身である2社が老舗であるためか「良くも悪くも日本的な企業」だという声が聞かれます。トップダウンの気風が強く、「創業者は能力があるが、経営能力のある後継者が育っておらず将来が不安」といった意見もありました。
このように古風な雰囲気が残る同社ですが、福利厚生、とくに産休・育休制度はかなり整っているようで、「実際に利用する人も多いだけでなく、男性も育休をとっている」との声が上がっています。
ゲーム開発をおこなううえで残業や休日出勤はある程度避けられず、とくにマスターアップ前やアップデート前は残業・休日出勤が増えるようです。しかし、正社員には残業代・休日出勤代がしっかり支払われます。また、前年度の働きへの評価によって昇給や減給がされたり、年に1回、関わったタイトルの売上に応じた報奨金の支給があったりするようです。頑張れば頑張ったぶんだけ、給与に反映されるといえるでしょう。
同社の新卒採用サイトでは、「『人』こそが最大の財産」「人=自立(自律)したプロフェッショナルなクリエイター」という理念が掲げられています。同時に、「創造に挑戦できる人」「チームで仕事ができる人」「自ら考え、行動し、結果を出せる人」といった求める人材も明記されていますので、ぜひ確認してみてください。
コーエーテクモ 新卒採用サイトより
「クリエイティブに挑戦しながら、協調性をもちトップについていく」。こうした社風にフィットする人材かどうか、採用面接では見極められます。
同社では現在、「開発系」「CG制作系」「企画・ディレクション系」「マーケティング・販売・管理系」の各職種で幅広く採用をおこなっています。職種によって、日吉本社、みなとみらいのコーエーテクモゲームス本社、市ヶ谷事業所など勤務先が異なります。また、多くの場合制作経験や実務経験が必須ですので、必ず確認しておきましょう。
応募するにはまず、Eメールまたは郵送で履歴書と職務経歴書を送付します。書類選考の結果は1〜2週間程度で通知されます。その後のフローはコーポレートサイトによると、一次面接、筆記試験、最終面接となっています。一次面接は希望する部署の部門長と人事部社員、最終面接は役員が面接官を担当します。
しかし口コミには「3回の面接を受けた」という声もあるように、職種によりフローが異なる場合があります。一次面接には約4時間もの時間が用意され、説明会(1.5時間)、筆記試験(1.5時間)、小論文(30分)、面接(15分)を同日に受けることもあるようです。
面接は、終始柔らかな雰囲気で進むことが多いようです。「なぜ当社に応募したのか」「入社後に何がしたいか」といった一般的な質問はもちろん、ゲーム開発を主体とした会社ですので、「ゲームは好きですか?」「好きなゲームは?」ということは必ず聞かれます。
また一次面接で、「今後の新規ネットゲームの開発について」「他社で新しい携帯ゲーム機が発売されたが、そこで新規開拓できるようなシリーズものを考えてほしい」といった、かなり核を突くような質問をされた人もいます。まだ一次面接だからと油断せず、ゲーム業界について深堀しておく必要があるでしょう。
反対に、最終面接で「ゲーム以外の趣味」について聞かれた人もおり、人柄を見ているものと思われます。ここから、一次・二次面接ではゲーム業界に通じる人材をふるいにかけ、最終面接で社風に合いそうな人を選んでいることが読み取れます。
コーエーテクモの面接を受けるにあたっては、同社の基本理念を理解しておくことが必要です。同社はエンタテインメントコンテンツを提供する大前提として、「新しい価値の創造」というところに重点を置いています。
~創造と貢献~
新しい価値を創造して、社会に貢献する
この「コーエーテクモの精神」を軸に、経営基本方針や長期戦略を設定し、「世界No.1のエンタテインメント・コンテンツ・プロバイダー」となることを目指しているのです。とくに以下の3点からなる長期戦略では、実務的な目標を掲げています。
●コンテンツ・クリエイション戦略
●コンテンツ・エキスパンション戦略
●グローバル・ロジスティックス戦略
これをもとに、自身が同社のなかでどのように活躍できるか、具体的なエピソードを交えて考えてみてください。たとえば、前職にてさまざまな顧客層にマーケティングを展開したことがあるなら「コンテンツ・クリエイション戦略」、海外に向けた事業の経験があれば「グローバル・ロジスティックス戦略」に当てはまるとアピールすることができます。
面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜコーエーテクモなのか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「ゲーム業界に向いているか」「それまでの経験を同社で生かせるのか」といった点はもちろん、「本当に同社の特色を理解しているのか」ということです。
業界や職種の枠を超えてコーエーテクモという企業について理解するためには、競合となりやすい企業についても調べておく必要があります。他社との違いを明らかにしたうえで、「なぜコーエーテクモなのか」について、説得力のある答えを用意しておきましょう。例として、以下のような企業とコーエーテクモとの違いを調べてみてください。
●任天堂株式会社
●コナミホールディングス株式会社
●株式会社カプコン
コーエーテクモが目指している方向性や、どういった人材が求められているのか、企業研究を通じて分かってきたのではないでしょうか。
このように、コーエーテクモの採用面接を受ける前には、行動指針に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、「クリエイティブに挑戦しながら、協調性をもちトップについていく」という社風を意識して、「長期戦略で掲げられる3点に当てはまる強みをもつ」人材であると印象付けられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくと良いでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。このような質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策をしておきましょう。
コーエーテクモの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「クリエイティブに挑戦しながら、協調性をもちトップについていく」という社風を意識して、「長期戦略で掲げられる3点に当てはまる強みをもつ」人材であることをアピールできるよう具体的なエピソードを用意する。
●コーエーテクモの基本理念を理解し、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●競合他社についても研究し、「なぜコーエーテクモなのか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかり準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
この記事の執筆者