2021年06月21日
ベーシックでカジュアルな商品を展開する日本のアパレルメーカー、ユニクロへの転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、「人間性」も評価されます。即戦力として、一緒に仕事をする仲間として評価されるので、事前にしっかり対策して転職を成功させましょう。
着回しがきくカジュアルファッションをブランド主軸とするユニクロ。同社の特長は、年齢や性別を問わず需要性が高いアイテムを高いコストパフォーマンスで開発・販売している点です。機能性を有したクオリティーの高い商品は、生活に欠かせない必需品として、海外でも高い支持を得ています。同社が力を入れているグローバル事業では、海外の店舗数を1379店舗(2019年8月末時点)にまで拡大。アパレル・ファッション業界を牽引する世界有数のブランドとして、その地盤を築いています。
そんなユニクロは日本の企業には珍しく、実力主義かつベンチャー志向の体質です。一般的な日本企業に見られがちな年功序列の風潮はなく、どんな結果がどのような評価に結び付くのかシステマチックに管理されているため、頑張りや実績が納得のいく形で給与や昇給に反映されます。さらにノルマがない、福利厚生がしっかりしている、育児休暇や有給休暇を取りやすいなど、社内の制度や働きやすさについては多くの社員が満足しているようでした。
現場では笑顔を絶やさない接客が重要視されます。また従業員同士の連携やチームワークも求められるため、人とのコミュニケーションが苦手な方は苦労する可能性があります。応募の際は、ファッションやおしゃれが好きというだけでは勤まらないことを考慮しておくことが大切です。
そんなユニクロでは面接を通して、「考え抜かれた工夫やハイパフォーマンスな機能が落とし込まれたシンプルな商品を、世界レベルのマーケティング力を駆使し、国境を越えて全土に発信する」という企業風土に馴染む人材かどうかをさまざまな角度から見極められます。
ユニクロの選考プロセスは次の通り。「書類選考→一次選考(筆記試験+面談)→二次選考→最終選考」
プロセスが多く、一つひとつの内容が濃いため、面接を成し遂げるタフさが要求されます。一次選考では人事担当者が面接にあたり、二次選考以降はSVクラスや部長、応募ポジションによっては社長との対面での面接が設定されます。どの過程においても、人柄やキャリアを深堀りされるため、面接前には自分の棚卸しをしっかりおこない、軸のあるブレない回答を心がけましょう。
また多くの方が面接当日に向けて志望動機を声に出して練習したり、文字に書き起こしたりして内容を再確認しています。嘘や理解不足はすぐに見破られることを念頭に置き、頭の中だけで面接のシミュレーションを繰り返すだけではなく、ロールプレイングを取り入れた面接対策もおこなってみてください。
ユニクロの選考では多くの人が「ユニクロの服についてどう思いますか」「当社の店舗には行ったことがありますか」といった、ユニクロについての考えや意見を問われています。比較的規模の大きい同社の店舗をいくつか巡り、自分なりに足りないものや成長が必要だと感じる部分を意見としてまとめておくと面接対策として役立つでしょう。コーポレートサイトや社長の出版本を熟読することはもちろん、同社の経営スタンスの理解や同じ低価格衣料ブランドを展開する株式会社ジーユーとの違いなど、さまざまな角度から企業研究をおこなった上で面接に挑むことをお勧めします。
年齢に関係なく実力が評価されるベンチャー精神に富んだ企業風土のため、面接ではその社風にリンクする人物かを見極められます。内定につながった方の多くは、求めている人物像を入念にサーチし、自身の経歴やキャリアをもとに同社に貢献できるエピソードを用意しています。入社後の活躍イメージを面接官に描かせることができるか否かが内定への分かれ道となるでしょう。
ユニクロの面接を受ける上では、親会社であるファーストリテイリングのコーポレートサイトに記載されているユニクロの事業戦略を読み込み、同社の経営の動きを把握しておくことが不可欠です。執筆時点での最新(2020年2月現在)の経営戦略には、以下の3つの戦略が記載されています。
ファーストリテイリングのサイトより
今回の戦略において一番重要視されているのは、海外事業における各地域の業績です。ユニクロの中でも売上収益増の鍵を握るグレーターチャイナでは、2019年8月期においては過去最高の売上を達成。Eコマース市場の活用や若者を中心としたSNSや動画発信が功を奏し、北京・上海といった大都市圏への出店を継続するとともに南京・武漢といった中核どころの都市への展開にも力を入れる動きが見られます。
また東南アジア・南アジア地区では、大きな商業施設への出店をメインに急速に店舗数を増やしています。しかし同時に人材育成という課題が浮き彫りとなっているのも事実。日本からCEOや経営幹部を斡旋する動きが活発になっているため、海外勤務に意欲的な方は、ユニクロの未開発都市での事業貢献に手を挙げてみるのもよいかもしれません。
最後に北米エリアにおいては、国土が広くエリアによってニーズが異なる特徴があります。そのため常に顧客の要望をキャッチアップするアンテナを張り巡らせなければなりません。いかに顧客の需要を取り込み現場にアウトプットできるかが、米国事業拡大の鍵となります。
このようにグローバルに事業展開をおこないながらも、地域規模で綿密に戦略を立て現場に落とし込む。これは日本国内でも同様のオペレーションです。こうしたユニクロの戦略を理解し、勝つ店舗を創り上げることに対して貢献意欲や挑戦心をアピールできるとよいでしょう。
ユニクロの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜユニクロか」というものがあります。面接官がこの質問を通して見極めているのは、「世界を舞台に活躍できる、バイタリティー溢れる人材か」「店舗の売上に対し、ロジカルにPDCAを回すことができる人材なのか」、そして「本当に当社ビジョンや戦略について理解しているのか」といった点です。
どのようにしてユニクロが今の地位を築いてきたのかについて、同社の戦略や歴史の理解を深めましょう。 そのためには、同じくファストファッションブランドを手掛ける株式会社しまむらや、シンプル路線の商品を展開する株式会社良品計画などの企業を調べておくことは不可欠です。また海外からの参入企業についても知見を広げておくようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことをお勧めします。
●株式会社しまむら
●株式会社良品計画
●株式会社ザラ・ジャパン
●エイチ・アンド・エムヘネス・アンド・マウリッツ・ジャパン株式会社
●株式会社ジーユー
このように、ユニクロの採用面接を受ける前には、「ユニクロの事業戦略」に基づいた自己分析や、他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。面接では、「考え抜かれた工夫やハイパフォーマンスな機能が落とし込まれたシンプルな商品を、世界レベルのマーケティング力を駆使し、国境を越えて全土に発信する」そんな社風を意識し、先見力をもって顧客からの要望を商品や店舗に落とし込める人材であることをアピールしましょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。ユニクロでは、自店舗や自社について聞かれる傾向があります。これらの質問をされたら具体的にどう答えるのか、どんなエピソードを語るのか、しっかり考えながら面接対策をおこないましょう。
ユニクロの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の4つです。特にユニクロの海外事業については、知識を深めておきましょう。
●国内のみならず世界におけるユニクロの立ち位置を理解し、どのような事業戦略をかかげているのか知見を深める。
●「考え抜かれた工夫やハイパフォーマンスな機能が落とし込まれたシンプルな商品を、世界レベルのマーケティング力を駆使し、国境を越えて全土に発信する」という社風を理解して、これに合致した人材であるとアピールする。
●「ユニクロの事業戦略」を理解し、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●競合他社との経営スタイルや社風の違いを明確にし、「なぜユニクロか」に対する答えを準備しておく。
これらについて事前に準備しておくことにより、ユニクロへの理解がより深まるでしょう。面接当日は、事前に準備した対策を活かし、面接官に自分の魅力や思いを存分にアピールしましょう。
この記事の執筆者