2021年06月21日
調査・分析に基づいた営業手法で顧客本位の事業展開をおこなう証券業界の中堅、丸三証券への転職。中途採用は新卒の場合と違い、仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われる他、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、共に働く仲間として多角的に評価されるのでしっかり対策をすすめましょう。
1910年創業、100年以上の歴史を持つ老舗中堅の証券会社、丸三証券。多くの金融危機や業界の変化といった波を受けながらも自主独立の経営姿勢を貫き、顧客本位の業務運営を経営の主な方針として事業展開しています。売買手数料に依存する収益構造からの脱却を目指し、残高連動報酬や投資信託における信託報酬を収益の柱に据えようとする取り組みは顧客から信頼を得、業界中堅として安定した収益性を保っています。日本株に特化している点、自社での調査・分析をベースとした「レポート営業」を徹底している点など、特色ある証券会社と言えるでしょう。
そんな丸三証券の口コミには、「ノルマを廃止しており、社員一人一人が自ら考えて行動することができる」「営業として数字を残せた人が出世する」「営業力に自信のある人は生き残っていけると思う」といった意見が多く見受けられ、自主性を重んじる企業風土の中で能動的に仕事に取り組む社員の姿がうかがえます。しかし、ノルマはないものの「個人目標は設定されている」(口コミより)ため、「プライベートでも数字が頭をよぎり、心が休まらない」という人も。自律的に業務を進められる分、オンとオフで意識をうまく切り替える能力が求められるようです。
労働環境は支店や部署次第ではあるものの、全社的に休日出勤が少なく、残業時間は管理されているため「プライベートとの両立がはかりやすい」「ワークライフバランスがきっちりと取れる」との声が聞かれます。
一方で、保守的な面も多分にあるようです。女性総合職採用の歴史が浅いことから、女性は能力のいかんにかかわらず一般職が多く、出世は見込めない場合がほとんどであることに批判的な口コミも見受けられます。さらに、経営方針を疑問視する声も。「時代遅れすぎる営業方針や会社のシステムについていけず退職した」という人もおり、こうした保守的な企業風土に合う・合わないは個人の考え方や志向、キャリア形成の方向性などの要素が関わってくるでしょう。
保守的でありつつも自主性を重んじる丸三証券の社風にうまくフィットし、与えられた環境を活かして成果を挙げられるかどうかは、面接において採用側が見極めたいポイントのひとつです。企業研究と自己分析から、最適な自己PR法を探っていきましょう。
丸三証券の選考は、コーポレートサイト経由でのエントリーから始まります。書類選考および適性検査通過後、面接の案内が届く流れになっています。面接回数についてコーポレートサイト上には記述はありませんが、口コミによると内定までに3回の面接を経ることが多いようです。面接の回を追うごとに面接官の職位が上がり、「どの面接も気が抜けない」と感じた人もいるなど、入念な準備が必要とされます。どのような面接官にも対応できるよう、しっかりと対策をおこないましょう。
2020年6月現在、丸三証券では総合職・エリア職で中途採用をおこなっています。その他の職種(コールセンタースタッフやスタッフ職など)については選考フローや雇用形態が異なるため、採用情報ページで詳細を確認してください。
採用情報ページには、「会社を知る」「仕事を知る」「先輩を知る」といったコンテンツが用意されており、企業研究に非常に役立つ内容となっています。事前によく読み込み、丸三証券という企業への理解を深めておきましょう。
丸三証券の面接では、人物理解を重視し、応募者がどのような人物であるかを深く掘り下げる傾向が見られます。奇をてらった質問はほとんどなく、志望動機や退職理由といったオーソドックスな質問を通じて応募者の人となりを探ることが多いようです。「小学校から社会人まで年を追って『どのような人間だったか』『何を大事にしていたか』を聞かれた」という口コミも見受けられます。「なぜ」「どのように」をキーに人柄を掘り下げられるため、綿密な自己分析が必要となります。「自分が最も重要視していること」「自分の原点と言える経験」「今回の転職に至った理由」など、さまざまな項目ごとに自分を形成する要素と、その形成過程を整理してみましょう。その際、企業研究の結果とあまりにかけ離れたものとならないよう、内容のすり合わせをしておきましょう。
また、「DCF法の使用方法について聞かれた」という人も。中途採用面接としては当然ですが、実務に必要となる知識やその運用能力を問われることもあります。自分の専門分野の知識には抜けや漏れがないように再度チェックしておきましょう。わからないことに対しては率直にその旨を伝えた上で、今後知識を習得していくつもりであることをアピールできると好印象です。
面接に臨む前に必ずおさえておきたいのが丸三証券の経営戦略です。この戦略によってどのような人材が必要とされるかを分析し、自己PRに役立てましょう。
丸三証券 2020年3月期決算説明会資料より
2018~2020年度の経営戦略を「第三次 株式投信純増3ヵ年計画」とし、70億円/月の株式投信純増を目指す丸三証券。2019年度は上期12.9%、下期13.6%の達成状況となっています。
丸三証券 2020年3月期決算説明会資料より
これらの目標達成のため、特に株式営業において掲げられているのが、上図のような戦略です。銘柄発掘を目的としたリサーチ専門従業員を配置、相当の経営資源を投入することで、日本株に特化した良質な情報を顧客に提供する方針です。個人投資家に好評を博す『丸三レポート』などのアナリストレポート発行・販売にもこれまで以上に注力していきます。
丸三証券 2020年3月期決算説明会資料より
株主還元も積極的におこなう姿勢で、安定的かつ(期間業績を反映した)機動的な配当施策により、2020年3月期末までに上図のような目標数値をクリアすることを目指します。
丸三証券 2020年3月期決算説明会資料より
また、これら経営戦略の実行において重視されているのが業務運営方針です(上図)。丸三証券では、商品選定から投資信託アドバイス、会社評価に至るまで、「顧客本位」でおこなうことを業務上の最重要方針としています。顧客の信頼を得るための誠実なサービス提供により、企業価値の維持・向上を図る同社。面接に臨むにあたっては、自主性とともに誠実さをアピールできる自己PRを用意しておくとよいでしょう。
中途採用面接でよく聞かれる質問のひとつである「なぜ当社か」。もちろん丸三証券の口コミにも志望動機に言及するものが見受けられます。志望動機を問うことで面接官は「当社で何がやりたい」「何ができるのか」だけではなく、「どれだけ丸三証券という企業を理解しているか」を知ろうとしています。
こうした面接官の意図に確実に応えるには、同業他社の研究を通じて丸三証券の強みや経営戦略、さらに業務運営における特徴を明確にし、企業理解を深めておく必要があります。具体的には、以下のような証券会社について調べておくことをおすすめします。
丸三証券の特徴や戦略、求める人物像などが具体的に掴めたのではないでしょうか。採用面接を受けるにあたっては、経営戦略や業務運営方針を理解した上での自己分析や、他社研究まで含めた企業研究が重要なポイントとなります。
「保守的でありつつも自主性を重んじる社風」を踏まえ、「成果を挙げるための自主性とともに誠実さも併せ持った人材」であると印象づけられるようなエピソードを準備しておくとよいでしょう。
以下に、面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。面接対策の一環として、何通りかの回答を作成し、シミュレーションしてみてください。
丸三証券の採用面接を受けるにあたって、必ず押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、次の3つです。
「保守的でありつつも自主性を重んじる社風」を理解し、それに合致した行動をとれる人材であることをアピールする。この記事の執筆者