2021年06月21日
JRグループの中でも唯一の貨物事業を担うJR貨物(日本貨物鉄道)への転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策をすすめましょう。
国鉄グループが旅客事業の6つの会社に分割される中、唯一貨物事業での営業を続けるために設立されたJR貨物。石油や紙、食料品など、ありとあらゆる物を運び、人々の生活や産業を支えています。貨物事業以外にも、倉庫や駐車場の貸出・不動産賃貸・中古コンテナの販売など、さまざまな事業において躍進しています。
口コミによると「アナログな作業が多く、鉄道好きにはたまらない環境」「格安の独身寮や家賃補助など、福利厚生が充実している」「日本に1社しかない特別な会社だと感じる」など、誇りを持っている社員が多いことがわかります。
一方で、女性採用の拡大や2019年に人事制度改正をおこなったものの、「夜勤が多く、生活リズムが乱れやすい」「女性を受け入れる風土ができていない」「年収が低い」など、まだまだ古い体質が抜けきれていない様子もうかがえます。
これらから、同社は「国鉄時代の古風な環境が残りながらも、さまざまな事業に挑戦し、変革に前向きな社風」であることがわかります。面接では、共に企業の変革と発展に務め、長く働き続けられる人材であることを印象づけましょう。
2020年7月現在、コーポレートサイトでは以下の職種にて、中途採用の募集をおこなっています。
・プランナー職(総合職):現場での業務を学びつつ、経営幹部を目指します。
・プロフェッショナル職:メンテナンス業務・保守点検業務・運転士・開発・総務など
プロフェッショナル職では未経験者と経験者の採用枠がわかれていますので、応募の際は注意してください。選考フローは〈WEB会社説明会→SPI・書類選考→面接2回〉となっていますが、支社によって面接の回数は異なります。
口コミによると、筆記試験の内容は一般常識の中学校レベルで、決して難しいものではないとのこと。面接は各部のリーダーら3〜4名とおこなわれ、終始穏やかな雰囲気のようです。ただし「面接時間は10分程度だった」という口コミも見られるため、短い時間の中でもしっかりとアピールできるよう準備しておきましょう。
口コミによると、同社の面接では専門的な質問をされることはほとんどないようです。「学生時代や前職でどのような経験をしてきたのか」「転勤などで地元を離れるが大丈夫か」「体力はあるか」など、転勤や現場での作業に関する質問が多く見受けられます。
中には「あなたはマニアですか?」「どの数字が好きですか?また、その理由は?」など、趣味についてや、物事に対して理論的に考えられるかどうかを見極めるような質問も出されています。
このような傾向から考えると、面接では「なぜ専門職に就きたいのか」「なぜ貨物を選んだのか」について明確に回答できるようにしておく必要があるといえます。「学ぶことに対し前向きで、現場での業務に順応できるタフさがある人材」であることをアピールしましょう。
面接を受けるにあたっては、同社の戦略と理念を理解しておくことが必要不可欠です。
・ビジネスプロセスの強化 「鉄道技術の海外輸出」
物流インフラが整っていないアジア諸国へ、運行ダイヤの作成やメンテナンスなどの日本の運輸技術を提供、もしくは貨物事業そのものを輸出することにより、さらなる海外への進出を目指します。
・サービス拡大 「ニーズに合わせた商品開発」
多くの企業にクリーンな鉄道輸送を選んでもらうため、ニーズに応える商品開発に注力。温度管理ができるコンテナやクライアント専用の列車など、貨物事業における初の試みを積極的に実施していきます。
・不動産事業の収益拡大 「ディベロッパー事業の強化」
貨物事業以外にも、貨物駅跡地に大型商業施設やホテル、住宅を建設するなど、不動産事業も展開。また、新たに土地や施設を購入・賃貸するなど、ディベロッパー事業としての収益拡大を目指しています。
コーポレートサイト「理念」より
同社は理念として、日本で唯一の鉄道貨物会社として信頼を損なわぬよう、新技術の導入を積極的におこない、社会にとって必要不可欠な存在となることを掲げています。面接では勤勉さや自主的に行動できる人材だとアピールすると、好印象を与えやすいといえるでしょう。
面接では必ずといっていいほど「なぜJR貨物なのか」と聞かれます。この質問によって、面接官は「この人は当社をどれだけ理解しているのか」「この人のスキルや経験は当社で活かせるのか」などの側面も併せて見るでしょう。
この質問に的確に答えるためには、他社について研究しておくことが重要といえます。他社を知ることで、同社への理解をより深めることができるはずです。同社は日本で唯一の貨物鉄道会社のため、同業での競合は存在しません。例としてJRグループの旅客鉄道各社をあげましたので、他社研究の参考にしてみてください。
●JR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)
●JR西日本(西日本旅客鉄道株式会社)
●JR東海(東海旅客鉄道株式会社)
●JR九州(九州客鉄道株式会社)
他社研究や企業研究を通じて、同社が求める人材像のイメージが掴めてきたのではないでしょうか。面接では「国鉄時代の古風な環境が残りながらも、さまざまな事業に挑戦し、変革に前向きな社風」を理解し、これに合致した人材であることを印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておきましょう。
ここからは、面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。自分ならどのように答えるか、シミュレーションをおこないながら面接対策をしましょう。
JR貨物の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「国鉄時代の古風な環境が残りながらも、さまざまな事業に挑戦し、変革に前向きな社風」を理解し、「何事にも真面目に取り組み、さまざまな技術やノウハウを進んで吸収できる人材」であることをアピールする。
●JR貨物の戦略や理念を理解し、これに沿った自己分析をおこない自己PRへとつなげる。
●他の鉄道会社についても理解を深め、「なぜJR貨物なのか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備し、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
この記事の執筆者