2021年06月21日
東名阪を中心に焼き鳥居酒屋「鳥貴族」を展開する鳥貴族への転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので、事前にしっかり対策をすすめましょう。
298円均一のメニューで知られる焼き鳥居酒屋「鳥貴族」を運営する鳥貴族。「焼鳥屋で世の中を明るくする」という理念のもと、低価格・高価値のサービスで感動と驚きを提供し、社会に貢献することを目指しています。国産食材100%を目指す「国産国消」の取り組みやトレーサビリティの推進など、安心安全を重視した食の提供にも定評があります。
さらに、永遠の使命として掲げているのが「外食産業の社会的地位向上」です。外食業界全体の課題となっている「労働環境の整備」「コンプライアンスの徹底」などに積極的に取り組むことで、業界全体の底上げと社会的地位の向上につなげたいとしています。口コミには、「本気でホワイト企業を目指しているためか、勤務時間に関する待遇面はとても安定している」「飲食店では類を見ないほど福利厚生が整ってる」「社員を大切にしている」といった声が非常に多く寄せられていました。なかには、「出勤はしっかり管理されており、自分の出勤日以外に出勤すると降格する」という口コミもあり、同社の本気度がうかがえます。
鳥貴族 2019年7月期決算説明会資料より
また、「お客様に喜んでいただけるようなサービスを提供することがやりがい」「飲食店の店舗を運営していく上で必要な知識、経験などは多く学べる」など、やりがいに関する口コミも多く寄せられています。一方、「自分から意欲的に学ぶ姿勢のない人は、一年たってもまるで仕事が変わっていない」という声もあり、成長できるかどうかは本人の主体性にかかっているといえそうです。
面接に際しては、企業理念に対する共感が重要なポイントとなります。とりわけ、同社のように本気で取り組んでいる企業であれば、社員にもコミットメントが求められることを理解しておかなければなりません。「焼鳥屋で世の中を明るくする」ために自分がやりたいことを、具体的なエピソードを交えて伝えられるとよいでしょう。
コーポレートサイトに選考プロセスに関する記載はありませんが、口コミ情報によると、選考は書類・適性検査・面接で構成されます。面接は1回のみだという情報もあり、1週間から数週間程度で内定に至るようです。
同社では現在、総合コースとして「店長候補」、地域限定・店舗社員コースとして「店舗社員」を募集しています。店舗社員の場合には、店長を含めた役職の付与がありません。経験を積んだのちに店長以上の役割を担うキャリアを望む場合には、コース変更を申請し、審査を受けた上で総合コースへ変更できます。また、総合コースの社員が地域限定・店舗社員コースに変更することも可能です。
自らのキャリアビジョンをしっかり考えた上で応募することが望まれるものの、キャリアチャレンジに対しても柔軟に対応できることを把握しておくとよいでしょう。
意表を突くような質問は少ないため、事前に準備をおこなうことで落ち着いて対応できるでしょう。志望動機をしっかり整理した上で、自分の強みを同社で最大限発揮していく意欲を伝えたいところです。抽象的な言葉に終始せず、エピソードを交えて具体的に語れるように準備をすすめてください。
理念について聞かれることもあるようです。「焼鳥屋で世の中を明るくする」という理念を理解し、その実現に向けてどんなビジョンを持っているのかを自分の言葉で語れるとよいでしょう。
また、店舗業務にはコミュニケーション力が求められます。言葉の選び方や表情にも気を配り、ハツラツとした態度で気持ちのよい会話を心がけたいものです。もちろん、清潔な身だしなみで臨むことも忘れないようにしましょう。
面接を受ける前に、鳥貴族の中期的な方向性を理解しておきましょう。
同社では、2020年7月期から2024年7月期を対象とした5カ年の中期経営計画を策定しています。
計画の基本方針は、「焼鳥屋鳥貴族を通じて笑顔になれる時間を提供し、すべてのステークホルダーの幸せを実現する」というもの。この5カ年を「経営基盤の再構築と更なる飛躍への挑戦」の期間と位置づけ、以下の重点施策を掲げました。
●マーケティング戦略の立案と推進
●店舗網の再構築
●強固な採算管理体制の確立
●海外市場への進出
●事業活動を通したSDGsへの貢献のための取り組み
鳥貴族 2019年7月期決算説明会資料より
上記の施策を通じ、「鳥貴族」における不採算店の閉鎖を進めて自社競合の解消を図り、メニュー強化やキャンペーンの実施によって集客を進めてきました。これらが奏功し、2019年11月から2020年2月までの既存店売上高はいずれも前年実績を上回る結果に。しかし、新型コロナウイルスの影響により、2020年春以降の既存店売上高は深刻な落ち込みを見せています。そのため、今後は戦略の修正を余儀なくされそうです。
そのひとつとして、創業以来の方針である「鳥貴族」のみに経営資源を集中させる「単一業態」を転換し、別業態に参入しリスクを分散させたい意向を示しました。また、重点施策として掲げている海外市場への進出や、国内未出店エリアへの出店もストップさせている状態です。ただし、長期ビジョンとして打ち出している「鳥貴族を国内外で2000店舗」という目標は変更しないとしています(2020年7月現在)。
鳥貴族 2019年7月期決算説明会資料より
面接にあたっては、今後の動向を注視しつつ、同社の成長に寄与できる人材であることをしっかりアピールすることが大切です。
面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ鳥貴族なのか」というものがあります。この質問を通して、「理念に共感しているか」「社風にフィットしているか」「中期経営計画の実現に向けて能力を発揮できるか」といった点が見極められます。
面接官を納得させるためには、競合となり得る他社についても研究し、「鳥貴族でなければならない理由」を明確にしなければなりません。そのためには、外食業界についてはもちろん、競合他社の経営スタイルや戦略を把握し、知見を広げておく必要があります。ここでは参考として以下の企業を挙げますが、自分なりに軸を定めてポジショニングマップをつくってみるのもよいでしょう。
●株式会社コロワイド
●ワタミ株式会社
●株式会社トリドールホールディングス
●株式会社ゼンショーホールディングス
企業理念や中期経営計画を理解することで、鳥貴族が目指す方向性や求める人物像が見えてきたのではないでしょうか。採用面接を受けるにあたっては、「企業理念の実現に向けて一緒に行動できる人材」だと印象づけられるよう、具体的なエピソードを用意しておくことをおすすめします。また、新型コロナウイルスが中期経営計画に与える影響にも気を配り、方向性を注視しておくことが大切です。
ここからは、面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問を参考に、自分ならどう答えるかを事前にシミュレーションしておきましょう。
鳥貴族の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「焼鳥屋で世の中を明るくする」という理念を理解し、その実現に向けてどんなビジョンを持っているのかを自分の言葉で伝える。
●鳥貴族の中期経営計画を理解し、これに沿った自己分析をおこなうことで有益な自己PRにつなげる。
●競合となり得る企業の社風や経営スタイルの違いを明確にし、「なぜ鳥貴族か」に対する答えを準備しておく。
以上を参考に準備をして、面接当日は身だしなみにも気を配り、明るく活気ある表情で臨みましょう。
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