2021年06月21日
日本の大手三大出版社のひとつとして知られる講談社への転職。中途採用面接では、これまでの仕事内容や成果、今後のキャリアビジョンを具体的に問われるほか、「人となり」も評価されます。事前対策をしっかりして自分を出し切り、転職を成功させましょう。
創業は1909年(明治42年)11月。株式会社講談社の商号は1958年(昭和33年)から使用されています。脱紙媒体といわれるなか、創業時の原点である「本を創る喜び」を胸に、おもしろくて、ためになる情報を発信しています。
社内を大まかに分類すると、編集部系・営業部系、技術系があり、カラーも大きく分かれるようです。「みんな、自分たちの裁量で働いている感じがあり、編集部は出社時間がバラバラで、午前中は編集部にいることはあまりありません」といった口コミからも、出版社ならではの自由な社風であることがわかります。同じ編集部内の交流は多く、社内食堂で誕生会などが開催されているとのこと。社内には緑に囲まれた日当たりのよいスペースもあり、社員がリラックスできるような気配りもなされています。
一年を通して繁忙期であるため、有給休暇の取得率はあまり高くなく、社内で同部署の社員とともに過ごす時間が多い職種といえるでしょう。講談社をはじめとして、出版社への採用は狭き門といわれています。どのような仕事内容なのかを知るために、まずはアルバイトに応募し、携わってみるのもひとつの方法です。「個人の裁量で働くことができ、自由度が高い」、こうした社風にフィットする人材かどうかを、面接では見極められます。
講談社コーポレートサイトより
キャリア採用は公募制となっており、コーポレートサイトの「経験者採用マイページ」に登録すると、マイページやメールで採用情報が届きます。募集職種は編集・営業・技術など、多種多様です。講談社への転職を目指している場合は、しっかりチェックしておきましょう。
「講談社社員定期採用の募集要項」のページを見ると、編集・営業・校閲ごとの部門別の採用はおこなっておらず、配属先は希望は聞かれるものの、適性を考慮して入社後の研修後に決定するようです。
選考は採用マイページに登録し、エントリーシートを入力、アップロードするところから始まります。書類審査を通過すると、Webテストと作文の筆記試験を受け、一次面接、二次面接と進んでいきます。本社での対面面接は二次以降で、回数は「複数回」とだけ記されているので、採用までに3回はあると考えておきましょう。
同社の中途採用面接は、希望する部署によって違いがあるようです。2021年4月現在、コロナ禍により一次面接はオンラインでおこなわれています。今後もこの形式での面接は続くと考えられるので、環境を整えておくようにしましょう。
一次面接では、希望部署の現場社員2~3名がエントリーシートに沿って質問するようです。比較的穏やかな雰囲気ではあるものの、気づいたことをはっきり指摘されることが多いので、動揺せずに対応できるような強さは必要でしょう。「編集職を希望する人は、かなり具体的に企画を練りこんでおいたほうがよい」との口コミからも、面接の段階で、編集者としてどれだけの能力を発揮できる人材かを見極められていると考えられます。
読書が好きであることはもちろん、自分ならどのような「おもしろくて、ためになる」企画をどのような読者層に届けたいかなどのビジョンを、しっかりとアピールできるよう準備をしておきましょう。
講談社の面接を受ける上では、基本理念を理解しておくことが不可欠です。代表取締役社長の「出版という事業を通して、人々の暮らしの役に立ち、心の豊かさに資すること。そして、社会の繁栄と人類の平和に貢献したい、これが講談社の創業以来の、変わらぬ願いです。」との言葉にあるように、時代とともに媒体は変わっても、「本を創る喜び」を基本理念として掲げている講談社。
近年、出版市場は右肩下がりといわれ、デジタルへのシフトが加速しています。それに伴うメディア収入では、広告が重要視されることから、同社では、2017年にコンテンツマーケティングの情報サイト「C-station」を立ち上げました。
マーケティング情報コンシェルジュサイト「C-station」より
そのなかでSDGsを世の中に広く伝える「講談社の取り組み」が紹介されています。印象的なものは、世界初の全編SDGsの女性誌『FRaU』です。ほかにも、同社の代表的な雑誌「ViVi」などでもSDGsについての企画を展開しています。SDGsが掲げる17の目標には社会が抱える課題が網羅されており、それらを解決していくことが大きな経済効果を生み出すとされています。SDGsについてしっかりと学び、この理念や取り組みを自己分析に落とし込み、それに合致した人材であることをアピールしましょう。
今後はさらにデジタルシフトへの取り組みが強化されていくことから、読書が好きというだけではなく、TwitterやInstagramのようなSNSの知識や活用方法についても提案できるよう、しっかり学んでおくことも大切です。
面接では「数ある出版社のなかで、なぜ講談社を選んだのか」と志望動機を問われるでしょう。ともに大手三大出版社といわれる集英社や小学館ではなく、講談社であることの理由をしっかり伝えられるよう、面接攻略において企業研究は重要な作業です。
面接官は「どれだけ当社の理念や今後のビジネス展開を理解しているか」「入社への熱意と覚悟はあるか」を見極めようとしています。講談社の特徴として、文学賞から多数の著名人を輩出しているということもあげられます。そのような強みをふまえ、競合他社と比較してみることも大切です。競合企業の経営理念や業務運営についても研究し、志望動機をより明確なものにしておきましょう。大手三大出版社といわれる他の2社について調べておくことをおすすめします。
株式会社集英社
株式会社小学館
同社や競合他社について詳しく調べることで、企業の理念や方向性、求める人物像が理解できたのではないでしょうか。講談社の場合、「個人の裁量で働くことができ、自由度が高い」社風の中で、「自己管理ができ、自分の意志をはっきりと伝えられ、信念をもって仕事に取り組むことができる」人材であることをアピールできるよう、具体的なエピソードを用意するとよいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
株式会社講談社の面接で聞かれた質問内容(キャリコネ)
講談社の面接を受けるにあたり、押さえておきたい重要なポイントをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいことは、以下の3つです。
「個人の裁量で働くことができ、自由度が高い」という社風の中で、「自己管理ができ、自分の意志をはっきりと伝えられ、信念をもって仕事に取り組むことができる」人材であることをアピールできるよう具体的なエピソードを用意する。
講談社の基本理念と運営方針を理解し、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
競合他社について研究し、「なぜ講談社か」に対する答えを明確にしておく。
これらについて項目ごとに要点を整理し、自分のスキルや素養をしっかり盛り込んだ内容にまとめるとよいでしょう。面接当日は臨機応変な対応を心がけましょう。
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