【年収研究シリーズ】奥村組の年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。
大阪国際女子マラソンの協賛企業でもある奥村組は、“大阪に貢献する”、“女性の活躍を推進する”といった取り組みを進めているゼネコン会社です。大阪の街を盛り上げ、また大阪から世界に大きく飛び立つ女性アスリートを応援したいとの想いで、大阪国際女子マラソンに協賛しています。
1955年には、大阪のシンボル通天閣の施行を担当しました。戦時中に解体された通天閣の復活を願う地元新世界の人々の熱意に応えるため、延べ約2万5000人の作業員が動員され、約1年におよぶ連日連夜の工事の末に、高さ103メートルの二代目通天閣が無事故で完成しました。この再建への熱意と施行努力は、NHKのドキュメンタリー番組「プロジェクトX」でも取り上げられています。
このほかに、六甲駅の復興活動に貢献しています。阪神・淡路大震災により壊滅的な被害を受けたJR神戸線の復旧工事では、もっとも被害が大きかったJR六甲道駅の復旧工事を担当しました。地震の影響で沈下した建物を水平に復元するために使われるジャッキアップ工法を駆使し、当初2年かかるとの予想に対し、わずか74日間で工事を完全に成し遂げたのです。
それでは、奥村組の年収はいったいどれくらい高いのか、またなぜそんなに高いのか、そして就職・転職先として適しているのかを探っていきましょう。
奥村組の平均年収は918.5万円
それでは、はじめに奥村組の平均年収について見ていきます。奥村組の平均年収は、奥村組の有価証券報告書によると、918.5万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出した奥村組年代別年収レンジは、20歳代で520〜570万円、30歳代で740〜790万円、40歳代で960〜1010万円となっています。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ1.86倍の額です。
■奥村組の平均年収推移
奥村組・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
奥村組の平均年収は前年を下回り918.5万円でした。
過去5年間では最低の額になりました。
奥村組の年代別平均年収と中央値
■奥村組の年収中央値は30代で760.8万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
奥村組と競合他社の平均年収を比較
奥村組の競合や同業界である淺沼組、熊谷組、飛島建設、錢高組の5社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、奥村組が918.5万円、淺沼組が847万円、熊谷組が840.9万円、飛島建設が823万円、錢高組が801万円です。
この5社の中で最高額は奥村組の918.5万円で、最低額が錢高組の801万円。その差はおよそ118万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では奥村組は1番目に位置します。
平均年収では見えてこない、支給額の実態はキャリコネでチェックできます。同じ職種での違いに注目です。
ゼネコン業界の給与明細(キャリコネ)
一流企業社員が受け取る給与明細のリアル
奥村組20代・施行管理(非管理職)の
給与明細
淺沼組20代・施行管理(非管理職)の
給与明細
熊谷組20代・施行管理(非管理職)の
給与明細
錢高組20代・施行管理(非管理職)の
給与明細
飛島建設20代・施行管理(非管理職)の
給与明細
高松コンストラクショングループ20代・施行管理(非管理職)の
給与明細
奥村組の職種別年収
■現場職の方が給与は若干高い
2018年4月時点の総合職初任給実績を比べてみると、総合職としての入口の給与は同じですが、全国型総合職が地域総合職より高い傾向であることがわかります。
初任給:総合職/地域総合職(関東)
修士了 26万円/23万円
大学卒 24万円/22万円
高専卒 23万円/20万円
しかし、入社後に技術系か事務系の仕事に就くかどうかで、給与に差が出てくるようです。
地域総合職モデル年収:営業職/土木職・建築職(施工管理)
30歳 650万/680万円
35歳 710万円/730万円
40歳 830万円/860万円
また同じ技術職でも、職務により若干の差が出てくることがわかります。
全国型総合職モデル年収:土木職・建築職(施工管理)/電気設備職(設備設計)
30歳 760万円/740万円
35歳 830万円/800万円
40歳 1000万円/980万円
キャリコネに寄せられた給与明細を見ると、世代間での違い、同年代・同職種なのになんでこんなに差が生まれるのかの理由がチェックできます。
奥村組社員の給与明細(キャリコネ)
20代と30代の給与明細をくらべてみると…
20代・施行管理の
給与明細
30代・施行管理の
給与明細
同年代で同じ事務系職種であっても、給与に違いが!
20代・経理・賞与あり(非管理職)の
給与明細
20代・営業管理・賞与なし(非管理職)の
給与明細
奥村組の課題はなにか
■有給取得率の少なさ
建設業界全体が抱える課題ではありますが、人によっては有給取得日数が少ないと感じるかもしれません。2017年の実績によると、奥村組の平均取得日数は7.6日で、全国企業の全体平均日数の9.0日より少なく、建設業界平均日数6.9日よりは多く取得しています。休日手当はつくものの、工事の進み具合によっては週末や祝日も出勤をしなければならないことは、あらかじめ理解しておく必要があるようです。
しかし今後はこのような労働環境が改善される可能性は高いと言えます。奥村組の月平均の所定外労働時間は13.6時間であり、月平均残業時間が20.61時間である建設業界の非管理職平均と比較してみると、奥村組の労務管理への姿勢がうかがえます。
奥村組には年収以外にメリットはある?
ここまで奥村組の年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?
業界全体の問題ともいえる働き方に対して、奥村組の改革は続いています。
奥村組は2018年4月に、内勤全部署にフレックスタイム制度の導入を開始しました。2021年までに全社に導入するため、全体の約半分にあたる外勤社員に対してもフレックスタイムの導入が可能かどうかの検討を進めています。
また女性の活躍推進にも積極的です。建設業で働く女性が活躍する、けんせつ小町工事チーム「ならら小町」が、2018年3月に日本建設業連合会けんせつ小町活躍推進表彰で「最優秀賞」を受賞しました。加えて、新規採用全体で女性が24.4%を占めることや育児休業取得率が100%であることからも、環境整備がなされていることがわかります。
さらに人材育成も兼ねて、業務に関わる資格の受験料の助成や会社が指定する資格のための社内講習会を開催するほか、専門学校の学費を補助する制度もあります。つまり奥村組は、高い待遇だけでなく自社で働く人の満足度向上、ひいては業界全体の課題に対して多種多様な取り組みをしている企業なのです。
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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