【年収研究シリーズ】静岡銀行の年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。
地方銀行の一つであるスルガ銀行が世間を騒がせた「かぼちゃの馬車」不正融資事件をはじめ、地銀業界の天気は雨模様となっています。2021年1月には新潟県の第四銀行と北越銀行が合併する予定で、現在、各地で生き残りをかけた地銀の経営統合が続いています。
金融庁も再編の圧力を強めており、その圧力をかけられるか否かは、本業での利益にかかっているようです。本業である貸出・手数料ビジネスの利益は悪化を続けていて、2019年3月期決算では地域銀行104行のうちの過半数を越える57行において、本業赤字となっているのが現状です。
このような状況の中、2018年4月から6月期における静岡県内の地方銀行4行の最新結果で、前期比4割増の実質業務増益を達成した銀行は「しずぎん」でおなじみの静岡銀行です。
また静岡銀行は年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。
静岡銀行の平均年収は741.5万円
それでは、はじめに静岡銀行の平均年収について見ていきます。静岡銀行の平均年収は、静岡銀行の有価証券報告書によると、741.5万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出した静岡銀行年代別年収レンジは、20歳代で370〜420万円、30歳代で660〜710万円、40歳代で870〜920万円となっています。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.5倍の額です。
■静岡銀行の平均年収推移
静岡銀行・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
静岡銀行の平均年収は前年を上回り741.5万円でした。
過去5年間では3番目の額になりました。
静岡銀行の年代別平均年収と中央値
■静岡銀行の年収中央値は30代で678.9万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
静岡銀行の職種別年収
■高い給与を得たいならFreeコースで入社を
静岡銀行では、入社する際のコースによって給与に差が出るようです。
転居が伴う転勤時に「本人の同意が必要か否か」という点が、コースの違いとなります。
1つはFreeコースといい、本人の同意を必要としないコースで、大卒・大学院卒の給与月額は21万5000円(2020年4月予定)からのスタートになります。もう1つはAreaコースで、本人の同意を必要とし、かつ原則特定地域での勤務とするコースです。大卒・大学院卒の場合、初任給の月額は20万5000円(2020年4月予定)となるようです。
入社後は主に営業店への配属となりますが、基礎業務を習得した後は各人の適性に応じて配属部門が分かれます。入社時のコースや各職群によって、給与に違いが出てくると考えてよいでしょう。
静岡銀行社員の給与明細(キャリコネ)
20代から30代に向けて、上昇!
20代・ルートセールス(非管理職)の
給与明細
30代・ルートセールス(非管理職)の
給与明細
賞与の存在は大きい!
20代・パートナーセールス・賞与なし(非管理職)の
給与明細
20代・パートナーセールス・賞与あり(非管理職)の
給与明細
静岡銀行と競合他社の平均年収を比較
静岡銀行の競合や同業界であるスルガ銀行、清水銀行、名古屋銀行の4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、静岡銀行が741.5万円、スルガ銀行が718.5万円、清水銀行が599.3万円、名古屋銀行が628.8万円です。
この4社の中で最高額は静岡銀行の741.5万円で、最低額が清水銀行の599.3万円。その差はおよそ143万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では静岡銀行は1番目に位置します。
業界の給与明細(キャリコネ)
日本の平均年収を大きく上回る収入が
静岡銀行20代・法人営業(非管理職)の
給与明細
スルガ銀行20代・法人営業(非管理職)の
給与明細
清水銀行20代・法人営業(非管理職)の
給与明細
静岡中央銀行20代・法人営業(非管理職)の
給与明細
名古屋銀行20代・法人営業(非管理職)の
給与明細
静岡銀行の年収の特徴
■ノルマの厳しさを痛感することも
懸念点としては、地銀全体がマイナス金利政策の影響で、本業利益にダメージを受け不振であることが挙げられます。この状況に対して、地銀の多くは保有株を売却するなどして純利益を確保したものの、その場しのぎの埋め合わせをいつまでも続けることはできません。
また現代において、銀行はもはや「安定志向」の人材にとっては居づらい環境といってよいでしょう。有力地銀であっても、約100人の同期のうち、8年目ですでに50人ほどが銀行を去ったという事例もあるようです。金融商品のノルマの厳しさや将来がみえず不安を感じたことが退職につながっているといえます。時代の変化によって「安定したい人」の職場としては、銀行が機能しなくなっているといっても過言ではありません。
静岡銀行には年収以外にメリットはある?
ここまで静岡銀行の年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?
静岡銀行は、業界のなかでも先駆けてさまざま改革を進めており、今まさに改革の一歩を踏み出したところです。投資一任運用サービス「ロボ・アドバイザー(ロボアド)」の提供を開始したり、ソフト開発のセカンドサイト(東京・千代田)と組み、人工知能(AI)を活用した融資の実証実験を始めるなど、活発に展開しています。
地銀業界では珍しく、53歳という若さで頭取となった柴田氏は、こうした改革を「異業種再編」と呼んでいます。旧来型では1+1=2以上にならないところを、再編することにより2以上にする新しい試みです。銀行という業種にこだわったことでムリな融資を重ねたスルガ銀行とは対照的に、静岡銀行は本業での成果もあげながら、合理的な再編に余念がありません。
「新しい行員」として静岡県に貢献しながら、変化を楽しめる人には大変適した職場ではないでしょうか。ぜひともお勧めしたい企業です。
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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