0 編集部が注目した重点ポイント
① AI需要を追い風に先端品300mmウェーハが市場を牽引する
AI用データセンター向けの需要が極めて好調です。特にロジック向け先端品やDRAM、HBM(広帯域メモリ)向けの300mmウェーハは高い成長が続いています。先端半導体の技術革新が加速する中で、SUMCOは先端品の高いシェア維持に注力しており、次世代の成長ドライバーとしての地位を盤石にしています。
② 200mm以下の生産体制を刷新し収益性を改善する
需要の低迷が続く200mm以下のウェーハ事業において、生産体制の見直しを2025年度より開始しています。これは不採算ラインの効率化と収益改善を目的とした事業構造改革の一環です。転職者にとっては、既存事業の筋肉質化という改革フェーズに携わり、オペレーションの最適化を推進する機会となる可能性があります。
③ 設備投資がピークアウトし2026年度に償却負担が山を越える
新工場建設などの大型投資は2023年度でピークアウトしました。現在は減価償却費(資産の購入費用を耐用年数に応じて費用化すること)が増加傾向にありますが、これも2026年度にピークを迎える見通しです。将来的な利益体質の強化が見込まれており、中長期的な経営安定性が増すマイルストーンに立っています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期第3四半期 決算説明会 P.5
売上高(3Q累計)
3,044億円
前年比 +2.6%
営業利益(3Q累計)
58億円
前年比 -80.4%
第3四半期累計の売上高は前年同期比でプラスを確保しましたが、利益面では大幅な減益となりました。主な要因は、新工場稼働に伴う減価償却費の増加(前年比228億円増)と、200mm以下のウェーハ需要の低迷、および為替の影響です。一方で、同社が重視するEBITDA(税引前利益に支払利息や減価償却費を足し戻したキャッシュ創出能力の指標)は834億円を維持しており、キャッシュフロー創出力は健在です。
通期予想の売上高4,044億円に対し、進捗率は約75.3%と順調に推移しています。第4四半期には一時的な損失を見込んでいますが、AI市場の拡大に伴う先端ウェーハの出荷増により、来期以降の回復に向けた土台作りが進んでいます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期第3四2025年12月期第3四半期 決算説明会 P.9
300mmウェーハ事業
事業内容: 最先端の半導体チップに使用される直径300mmのシリコンウェーハ。AIサーバー、スマートフォン、PC等の主力製品。
業績推移: 先端品はAIブームにより出荷量が非常に好調ですが、汎用品は顧客の在庫調整が続き出荷が横ばいです。
注目ポイント: AIサーバー市場の拡大により、高度な平坦度や清浄度が求められる「先端ロジック・メモリ向け」の需要が急増しています。同社はこの領域での差別化技術に強みを持っており、技術開発と量産体制の近代化を同時に進めるためのプロセスエンジニアや製造技術職への期待が高まっています。
200mm以下ウェーハ事業
事業内容: 主に自動車、産業機器、パワー半導体などに使用される、中・小型サイズのウェーハ製品。
業績推移: 民生・産業・自動車向けの回復が遅れており、出荷は低調な推移が続いています。
注目ポイント: 中国メーカーとの競争激化や300mmへの移行を見据え、徹底した生産体制の合理化に着手しています。これまでの「量を追う」体制から「効率で稼ぐ」体制への転換を図っており、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した生産性向上やコスト構造改革を主導できる人材が求められる局面です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期第3四半期 決算説明会 P.26
半導体市場全体は年率11%成長が見込まれる中、AI関連は28%という驚異的な伸びが予測されています。SUMCOはこのAIサーバー由来の先端ウェーハ需要を確実に取り込むため、新工場の戦力化と既存設備の近代化を並行して推進しています。AI以外は緩やかな回復を想定していますが、データセンター投資に連動してメモリ(DRAM/NAND)向け需要が立ち上がることが期待されています。
また、地政学的リスクや米国の関税政策などの不透明感についても注視を続けています。こうした変化の激しい業界構造の中で、技術の優位性を保ちつつ強靭な生産体制を築く「攻めと守り」の両輪が同社の戦略です。中長期的には「サーバー用途」が市場を牽引する見通しであり、ハイエンド領域に特化したキャリアを志向するエンジニアにとって、SUMCOは世界最高峰の技術に触れられる刺激的な環境と言えます。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
SUMCOは、AI革命の物理的基盤である「先端ウェーハ」で世界をリードする企業です。「世界シェアNo.1クラスの技術力」や「AI社会を足元から支える社会的意義」は、エンジニアにとって強力な志望動機になります。また、現在進行中の「200mm事業の構造改革」に触れ、既存事業の効率化やDX推進によって利益率向上に貢献したいという姿勢も、実務経験者には高く評価されるポイントです。
面接での逆質問例
- 「AI関連の先端ウェーハ需要が急増していますが、製造工程における技術的課題を克服するために、現在どのような知見を持った人材を最も必要としていますか?」
- 「200mm以下の生産体制再編成において、現場でのDXやAI活用による自動化・効率化はどの程度まで進んでいるのでしょうか?」
- 「2026年度の償却費ピークアウト後の余剰キャッシュは、次なる成長投資やR&Dにどのように配分される計画ですか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社SUMCO 2025年12月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 株式会社SUMCO 2025年12月期第3四半期 決算説明会資料



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