2021年06月21日

【面接対策】キヤノンの中途採用面接では何を聞かれるのか

デジタルカメラ国内首位のキヤノンへの転職。中途採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果などを具体的に問われるほか、キャリアシートでは見えてこない「人間性」も見られます。即戦力として、そして一緒に仕事をする仲間としても多角的に評価されるので、事前にしっかり対策しておきましょう。


キヤノンの採用面接前に知っておくべきこと

社風への理解

一眼レフとコンパクトカメラで世界トップクラスの実績を持つキヤノンは、1937年、「自分たちの手で世界一のカメラを作りたい」というベンチャースピリットを持った町工場から始まりました。

近年デジタルカメラ市場が縮小傾向にある中、1996年から中長期経営計画「グローバル優良企業グループ構想」を掲げ、商業印刷、ネットワークカメラ、メディカル、産業機器の4つの新規事業をM&Aなどによって展開しています。現在はそのPhase Vであり、新たな成長を目指して「戦略的大転換」に挑んでいます。

CEOは牽引力とカリスマ性を兼ね備えていると口コミでも定評がありますが、トップダウンで意思決定されることが多い”ワンマン経営”という声もあり、経営方針や事業展開に対する不安の声も見られます。

しかし一方で、職場の社風は「実力主義で学閥もない、フラットな環境」という口コミが多数寄せられています。仕事上の役割と成果に応じて報酬を決定する「役割給制度」も、この風土を醸成するツールのひとつです。また、住宅手当や家族手当といった、福利厚生の「手当」の類がほぼ廃止されていることは有名ですが、それも「個々人の実力以外の特性によって処遇に不公平が生じないよう、完全に実力で評価する」という企業姿勢の現れと言えます。このように、経営サイドの意思決定はトップダウンでありながら、それを実行する職場はフラットであることが、キヤノンの社風と言えます。

「戦略的大転換」を目指す今、変化や困難に挑む場面も多いですが、その分仕事のやりがいについての口コミでは、不満の声はほとんどありません。ハードワークである一方で、残業時間の規制・管理が徹底されており、休暇も取りやすいなど、充実したワークライフバランスを実現できる会社と言えるでしょう。「やる時はとことんやる、休むときは休む」のメリハリが効いており、採用面接の中でももちろん、こうした社風にフィットする人材かどうかを見極められます。

選考は何次まで?

キヤノンの中途採用プロセスでは、WEBエントリーにて職種選択後、書類選考と2回の面接が行われます。一次面接は現場社員(課長級)と人事担当者によるもので、同時に適性検査も実施されます。二次面接は現場の担当役員と人事担当者が担当します。選考の所要期間は1~2ヶ月間程度です。

事業領域は「インダストリー」「オフィス」「プロフェッショナル」「パーソナル」「マーケティング」の5つに分かれますが、募集職種は大きく「技術系」と「事務系」に分類されます。その中でさらに、「技術系」は専門分野によって「機械系」「電気・電子系」「情報系」「物理系」「化学系」に、「事務系」は「事業」と「管理」に分類されますが、いずれもグローバルな活躍の舞台が用意されています。募集職種の全体像を把握した上で、その中でもなぜその職種に応募したのかという点を明確に説明できるようにしておきましょう。

面接内容の傾向は?

現在「戦略的大転換」期にあるキヤノンでは、面接時に「どんな状況下でも変化に立ち向かい、粘り強く挑戦を続けられる人材であるか」という点を確認されます。

質問内容は志望動機や転職理由といったオーソドックスな内容が中心ですが、口コミによると、その中でも特に「自分の強みと弱みは何か」という質問が目立つようです。自らの特徴をしっかりと捉え、仕事をする上でそれを最大限に活かせる人材か、そして弱みに対しても諦めることなく、自ら克服して成長を続ける意欲を持っているかが、評価のポイントと言えます。

また、特許数で世界トップクラスを誇るキヤノンでは、特に技術職において、具体的な研究内容や今後の展望、手がけてみたい仕事内容についての説明も求められるようです。技術職で面接を受ける際は、自分の言葉でこれらを説明できるよう、しっかり対策しておきましょう。

キヤノンの面接対策についてもっと具体的な情報を知りたい場合は、引き続きこの記事をお読みください。面接攻略法や、過去の面接で実際に聞かれた質問内容とその回答例をご紹介します。

キヤノンの面接攻略法(面接対策)

キヤノンの行動指針を理解した上で自己分析をする

キヤノンの面接を受ける上では、「キヤノンの企業DNA」および「三自の精神」と呼ばれる行動指針を理解しておくことが不可欠です。

<キヤノンの企業DNA>
歴史を刻み、発展できた背景には、脈々と受け継がれるキヤノンの企業DNA「人間尊重」「技術優先」「進取の気性」があります。ベンチャー企業として始まった進取の気性と、技術による差別化をめざす姿勢は、深く浸透し、つねにキヤノンは社会に新しい提案をしてきました。それを支えてきたのが実力主義や健康第一主義などの人間尊重の姿勢です。今後100年、200年と発展し続けるために、キヤノンはこの企業DNAを次の世代にしっかりと継承していきます。

<三自の精神>
キヤノンの行動指針の原点。それが、創業期から受け継がれる「自発・自治・自覚」の「三自の精神」です。企業DNAを伝承しながら、真のグローバルエクセレントカンパニーをめざすキヤノンにとって、いまも最も重要な指針となっています。

[自発]
何事にも自ら進んで積極的に行う。

[自治]
自分自身を管理する。

[自覚]
自分が置かれている立場・役割・状況をよく認識する。

これは、キヤノンの企業カルチャーの土台となる価値観。しっかりと理解した上で自己分析に落とし込み、面接でこの「キヤノンの企業DNA」「三自の精神」に合致する人材であることをアピールしましょう。

企業DNAのひとつである「進取の気性」から、創業当時のベンチャースピリットが大切にされていることが分かります。前例にとらわれることなく、どのような“新しい挑戦”をしてきたのかというエピソードは、こうした側面でのアピールにつながります。またその中での具体的な取り組み方について明確に伝えることで、「自発」「自覚」といった側面も合わせてアピールすることが可能です。

面接官からの全ての質問に対し、冷静かつ論理的に、そして諦めずに情熱を持って伝えることで、「三自の精神」をバランスよく兼ね備えた人材であることも、示すことができるでしょう。

「なぜキヤノンに転職したいのか」の明確化には他社研究が必要

キヤノンの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜキヤノンか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。

業界理解や職種理解の枠を超えて、キヤノンという企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。

●株式会社ニコン
●オリンパス株式会社
●ソニー株式会社

キヤノンの採用面接で実際に聞かれた質問内容

このように、キヤノンの採用面接を受ける前には、「キヤノンの企業DNA」および「三自の精神」の行動指針に基づいた自己分析や、他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、トップダウンな経営体質でありながらも、職場レベルではフラットで実力主義であるという社風を意識して、どんな環境でも諦めず、新しいことに自発的に行動できることを示せるようなエピソードを紹介すると良いでしょう。

面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。

48歳女性/技術関連職【結果:入社】

質問

強みと弱み

回答

強みは集中できること、弱みは集中しすぎて…(口コミの続きとアドバイスを見る

22歳男性/研究開発【結果:最終面接で不採用】

質問

あなたのスキルが一番行かせる会社はどんなところだと思いますか。

回答

キヤノンよりも直接的にいままでの経験と…(口コミの続きとアドバイスを見る

24歳男性/研究開発【結果:最終面接で不採用】

質問

今まで行ってきた研究内容、人生において頑張ったこと、失敗したこと

回答

私は半導体レーザに関する研究を行ってきたので…(口コミの続きとアドバイスを見る

33歳男性/研究開発【結果:入社】

質問

転職理由は?

回答

受託開発の会社であったため…(口コミの続きとアドバイスを見る

キヤノンの採用面接に向けて

キヤノンの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。

●「戦略的大転換」の時期に当たる経営方針や、トップダウンかつ実力主義でフラットな社風を理解して、自発的に挑戦できることを示せるようなエピソードを中心に、自分の言葉で伝える。

●キヤノンの行動指針「キヤノンの企業DNA」「三自の精神」を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。

●競合他社についても研究し、「なぜキヤノンか」に対する答えを明確にしておく。


これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。

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この記事の執筆者

東京大学卒業後、大手自動車メーカー入社。人事部門に配属。女性の働き方プロジェクトリーダーを担当。