※本記事は、キヤノン株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 米国会計基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
キヤノンは、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアル、その他および全社の分野において、開発、生産から販売、サービスまで一貫した事業活動を展開しています。同社グループは、連結子会社321社、持分法適用関連会社8社で構成されています。
単体従業員数は22,921名、連結従業員数は165,547名です。同社グループの事業セグメントは、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアル、その他及び全社の5つです。
主な国内グループ会社は、キヤノンプレシジョン、キヤノントッキ、福島キヤノン(プリンティングビジネスユニット)、キヤノンメディカルシステムズ(メディカルビジネスユニット)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
キヤノンは、多岐にわたる事業を展開するグローバル企業です。同社グループは、イノベーションとテクノロジーを通じて社会に貢献するという企業理念のもと、多様な人材が活躍できる環境づくりに注力しています。従業員の成長を支援し、働きがいを高めるための制度や施策を積極的に導入している傾向が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
キヤノンでは、従業員の平均年齢が40代半ばであり、平均勤続年数も長期にわたる傾向が見られます。これは、従業員が長期的にキャリアを築きやすい環境が整っていることを示唆しています。安定した環境で専門性を深めたいと考える方にとって、魅力的な職場であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,817,253円 |
| 平均勤続年数 | 18.9年 |
| 平均年齢 | 44.3歳 |
| 単体従業員数 | 22,921人 |
| 連結従業員数 | 165,547人 |
| 単体のグループ内比率 | 13.8% |
キヤノンは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の年金制度を採用しています。これらの制度は、同社および一部の子会社のほとんど全ての従業員を対象としています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
同社の退職給付債務は1兆737億円、年金資産は1兆2,554億円となっています。
連結ベースの従業員給付費用は1兆3,673億円(従業員1人あたり826万円)です。単体の平均年間給与と比較すると、連結ベースの1人あたり給付費用は低い水準となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
キヤノンは、「人間尊重」の企業DNAのもと、人材を価値創造の源泉と捉え、その価値最大化への投資を積極的に行っています。2026年から始まる中長期経営計画「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅦ」では、生産性革新を通じた新たな成長を目指し、新技術の研究開発や業務自動化・内製化を推進する人材ポートフォリオの構築に注力しています。
具体的には、イノベーションを創出する人材の獲得・育成、多様な人材やアイデアを活かす自由闊達な組織風土の醸成に取り組んでいます。2001年からはジョブ型の「役割給制度」を導入し、年齢や性別にとらわれない適材適所の人材配置と公平・公正な処遇を実現しています。
また、優秀な人材の抜擢や、めざましい活躍をした人材への特別報酬(OS評価制度)、少ない人的リソースで高い利益を創出した場合の賞与増額など、多様な報酬制度の改善を通じて人的投資を強化しています。キャリア形成支援としては、「キャリアマッチング制度」(社内公募制度)や「研修型キャリアマッチング制度」を導入し、社員の主体的なキャリア形成と成長領域への人材シフトを支援しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異は、女性に比べ男性の方が管理職比率が高いことが要因となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 86.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 76.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 77.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期雇用者) | 75.4% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ キヤノンマーケティングジャパン
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 64.2% |
▼ キヤノンITソリューションズ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 72.3% |
▼ キヤノンシステムアンドサポート
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 60.7% |
自社の従業員
ダイバーシティ推進
同社は、女性管理職比率を2030年末までに10%以上、男性育児休業取得率を2030年末までに100%以上とすることを目標としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.6% |
| 男性育児休業取得率 | 86.3% |
社内転職の活性化
同社は、社員の自律的なキャリア形成を支援し、適材適所の人材配置を通じて全社員戦力化を実現することを目指しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 社内公募異動者数 | 281名 |
エンゲージメント向上
同社は、従業員意識調査結果を踏まえた管理職研修や若手活躍支援などにより、継続的なスコア向上を目指しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| エンゲージメントスコア | 53% |
安心・安全な職場環境づくり
同社は、がん検診受診率(40歳以上の対象者)70%を目標とし、機械装置起因の挟まれ・巻き込まれ災害事故件数および有害性の高い化学物質起因の災害事故件数を0件とすることを目指しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| がん検診受診率(40歳以上の対象者) | 52% |
| 機械装置起因の挟まれ・巻き込まれ災害事故件数 | 4件 |
| 有害性の高い化学物質起因の災害事故件数 | 2件 |
人権の尊重
同社グループは、人権デュー・デリジェンス実施率および人権に関する教育啓発活動実施率を100%とすることを目標としています(教育啓発活動は2027年達成期限)。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 人権デュー・デリジェンス実施率 | 100% |
| 人権に関する教育啓発活動実施率 | 80% |
健康経営の推進
同社は、健康診断受診率100%、ストレスチェック受検率100%、がん検診受診率(40歳以上)70%を目標としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 健康診断受診率 | 100% |
| ストレスチェック受検率 | 96.9% |
| がん検診受診率(40歳以上) | 52.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
キヤノンは、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアルといった多岐にわたる分野で事業を展開するグローバル企業グループです。開発から生産、販売、サービスまでを一貫して手掛けることで、幅広い顧客層に製品とソリューションを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に製品販売と関連サービスを収益源としています。連結売上高の約8割を海外での事業が占めており、為替レートの変動が経営成績に影響を与える可能性があります。また、HP Inc.へのOEM供給が連結売上高の約1割を占めています。
プリンティング
デジタル連帳プリンター、デジタルカットシートプリンター、大判プリンター、オフィス向け複合機、ドキュメントソリューション、レーザー複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター、イメージスキャナー、電卓などを提供しています。収益は、これらの製品販売とメンテナンスサービスから得ています。運営は、主にキヤノンマーケティングジャパンや海外の販売関係会社が行っています。前期と比較して売上高は減少傾向にあります。
イメージング
レンズ交換式デジタルカメラ、交換レンズ、コンパクトデジタルカメラ、コンパクトフォトプリンター、MRシステム、ネットワークカメラ、ビデオ管理ソフトウェア、映像解析ソフトウェア、デジタルビデオカメラ、デジタルシネマカメラ、放送機器などを提供しています。収益は、これらの製品販売から得ています。運営は、主にキヤノンマーケティングジャパンや海外の販売関係会社が行っています。前期と比較して売上高は増加傾向にあります。
メディカル
CT装置、超音波診断装置、X線診断装置、MRI装置、デジタルラジオグラフィ、眼科機器、体外診断システム及び試薬、ヘルスケアITソリューションなどを提供しています。収益は、これらの製品販売とメンテナンスサービスから得ています。運営は、キヤノンメディカルシステムズが直販または販売関係会社及び代理店を通じて行っています。前期と比較して売上高は増加傾向にあります。
インダストリアル
半導体露光装置、FPD露光装置、有機ELディスプレイ製造装置、真空薄膜形成装置、ダイボンダーなどを提供しています。収益は、これらの製造装置の販売から得ています。運営は、主にキヤノン電子、キヤノン・コンポーネンツなどの生産子会社が行っています。前期と比較して売上高は増加傾向にあります。
その他及び全社
ハンディターミナル、ドキュメントスキャナーなどを取り扱っています。収益は、これらの製品販売から得ています。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) | 営業利益(2024年12月期) | 営業利益(2025年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| プリンティング | 2兆5,155億円 | 2兆4,879億円 | 2,899億円 | 2,558億円 | 10.3% |
| イメージング | 9,370億円 | 1兆545億円 | 1,513億円 | 1,729億円 | 16.4% |
| メディカル | 5,683億円 | 5,797億円 | △1,404億円 | 328億円 | 5.7% |
| インダストリアル | 3,459億円 | 3,579億円 | 689億円 | 625億円 | 17.5% |
| その他及び全社 | 1,431億円 | 1,447億円 | △912億円 | △695億円 | △48.0% |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近の連結会計年度において2期連続で過去最高を更新し、前期から増加しています。営業利益、税引前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益も前期から大幅に増加しました。前期にはメディカルビジネスユニットでのれんの減損損失を認識しており、これが利益に影響を与えていましたが、当期は海外での構造改革効果や徹底した経費管理により、各段階利益が増益となりました。一方で、フリーキャッシュ・フローは前期から減少しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3兆5,134億円 | 4兆314億円 | 4兆1,810億円 | 4兆5,098億円 | 4兆6,247億円 |
| 税引前利益 | 3,027億円 | 3,524億円 | 3,908億円 | 3,012億円 | 4,821億円 |
| 税引前利益率 | 8.6% | 8.7% | 9.3% | 6.7% | 10.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,147億円 | 2,440億円 | 2,645億円 | 1,600億円 | 3,321億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 205.35 | 236.71 | 264.20 | 165.53 | 367.48 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から増加しており、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から増加しています。これらの指標の改善は、同社グループの収益体質の強化と組織効率化の進展を示しています。前期にメディカルビジネスユニットで認識されたのれんの減損損失が、前期の1人あたり営業利益に影響を与えていました。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 26.5百万円 | 27.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.6百万円 | 2.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、安定した財務基盤を維持しています。本業で得た資金を元手に、将来に向けた投資も着実に進めている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は、前期の58.6%から当期は56.9%となりました。これはプライム市場上場製造業の平均46.8%と比較して高い水準を維持しています。
ROE(自己資本利益率)は前期4.8%から当期9.7%に改善し、プライム市場平均の9.4%を上回っています。手元資金である現金及び現金同等物は、当期末に5,860億円を確保しており、安定した財務基盤を示しています。これらの状況は、同社グループが事業活動を継続していく上での安定性につながるものです。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 3兆3,803億円 | 3兆4,918億円 |
| 自己資本比率 | 58.6% | 56.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.8% | 9.7% |
| 現金及び現金同等物 | 5,016億円 | 5,860億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが当期に4,759億円の収入となりました。これは前期と比較して減少していますが、依然として大きな資金創出力があることを示しています。
投資活動によるキャッシュフローは当期に△2,374億円の支出となり、宇都宮事業所の新工場への投資など、将来に向けた設備投資を継続している状況です。営業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは当期に2,385億円の収入となっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している優良な状態です。この安定した資金の流れは、同社グループの事業継続性や成長性、ひいては雇用や給与の安定性につながる基盤となります。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 6,068億円 | 4,759億円 |
| 投資CF | △2,973億円 | △2,374億円 |
| 財務CF | △2,260億円 | △1,792億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 3,095億円 | 2,385億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、プリント市場全体で将来的にプリント機会が減少していくことが予想されるリスクを認識しています。また、国際的な事業活動により、急激な為替レートの変動が経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、有能な人材の継続的な会社への貢献が将来の経営成績に大きく影響すると認識しています。先端技術産業での人材獲得競争の激化や、技術進歩に対応する人材育成、特殊技能の伝承が重要な課題となっています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
キヤノンは、企業理念「共生」のもと、世界の繁栄と人類の幸福に貢献することを目指しています。また、「人間尊重」の企業DNAを受け継ぎ、人材を価値創造の源泉と捉える会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
キヤノンは、企業理念として「共生」を掲げています。「共生」とは、文化や習慣、言語、民族などの違いを問わず、すべての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らせる社会を目指すものです。この理念に基づき、同社グループは世界の繁栄と人類の幸福のため、企業の成長と発展を追求しています。
同社グループは1996年から「グローバル優良企業グループ構想」という5か年計画を推進してきました。2026年を初年度とする新5か年計画「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅦ」では、「生産性革新を断行し、新たなる成長を実現する」を基本方針としています。永遠に技術で貢献し続け、世界各地で親しまれ、尊敬される企業を目指しているのが同社グループのビジョンです。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
キヤノンは、創業以来「人間尊重」「技術優先」「進取の気性」という企業DNAを大切にしています。企業理念「共生」のもと、イノベーションとテクノロジーで新たな価値を創造し、社会課題の解決と豊かな生活・地球環境の両立を目指す企業風土です。
同社は人材を価値創造の源泉とし、その最大化に投資しています。イノベーション人材の獲得・育成と、多様な人材やアイデアを活かす自由闊達な組織風土の醸成に取り組んでいます。ジョブ型の「役割給制度」を導入し、年齢や性別にとらわれない適材適所の人材配置を推進しています。
また、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を推進し、多様な価値観を取り込みながらイノベーションを生み出すことを重視しています。社員の心身の健康支援や、働きがいを通じたエンゲージメント向上により、個人と会社の成長を実現しています。同社グループは「キヤノングループ人権方針」「キヤノンサプライヤー行動規範」「キヤノングループ行動規範」を定め、人権尊重とサプライチェーンにおけるCSR向上にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、成長領域における事業拡大を通じたポートフォリオの転換と、構造改革による収益性の改善を重要な経営課題と認識しています。2024年から開始した販売改革、生産改革、メディカル事業革新の3つの構造改革を着実に推進する方針です。
市場成長性の高いメディカルとインダストリアル事業の強化を進めるとともに、各産業別グループでも成長領域への軸足のシフトを図ります。また、宇宙関連ビジネスへの本格参入やAIプラットフォームを活用した新たなビジネスソリューションの創出も重点テーマです。AIを活用した製品設計や機能向上、そしてAIプラットフォームによる新たなソリューション提供を通じて、ソフトウェア・サービスの売上拡大を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
キヤノンは、複数の事業領域でグローバルに事業を展開しており、迅速な意思決定と全社的な視点での重要な意思決定を両立させるコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。経営の透明性向上と経営監視機能の強化を重視し、独立社外取締役を加えて健全性を担保する体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
キヤノンの株主構成を見ると、上位には信託銀行や金融機関が名を連ねています。筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、次いで日本カストディ銀行(信託口)、みずほ銀行が続きます。特定の創業家や事業会社が支配的な持株比率を持つ構成ではなく、幅広い機関投資家によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 17.59% |
| (株)日本カストディ銀行(信託口) | 6.15% |
| (株)みずほ銀行 | 2.57% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は15名(男性13名・女性2名)で構成され、女性役員比率は13.3%です。代表取締役会長兼社長CEOは御手洗冨士夫氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 御手洗 冨士夫 | 代表取締役会長兼社長 CEO | 1961年同社入社後、Canon U.S.A.,Inc.社長などを歴任。1981年取締役に就任し、代表取締役専務、代表取締役社長を経て、2006年より代表取締役会長兼社長を務めています。2020年5月より現職。 |
| 田中 稔三 | 代表取締役副社長 CFO 渉外本部長 サステナビリティ推進 本部長 コーポレートガバナンス 推進室長 | 1964年同社入社。経理本部長、常務取締役、専務取締役などを歴任し、2008年より代表取締役副社長を務めています。渉外本部長、サステナビリティ推進本部長、コーポレートガバナンス推進室長を兼任し現職。 |
| 本間 利夫 | 代表取締役副社長 CTO プリンティング グループ管掌 | 1972年同社入社。複写機開発センター所長などを経て2003年取締役に就任。常務取締役、専務取締役を歴任し、2017年より代表取締役副社長を務めています。2021年よりプリンティンググループ管掌を兼任し現職。 |
| 小川 一登 | 取締役副社長 グローバル販売戦略推進 本部長 | 1981年同社入社。Canon Singapore Pte.Ltd.社長、Canon Canada Inc.社長などを歴任。執行役員、常務執行役員を経て、2024年3月より取締役副社長、グローバル販売戦略推進本部長を兼任し現職。 |
| 武石 洋明 | 専務取締役 インダストリアル グループ管掌 キヤノントッキ株式会社 取締役会長兼CEO | 1990年同社入社。半導体機器事業部長などを経て2012年執行役員に就任。光学機器事業本部長、常務執行役員を歴任し、2024年3月より専務取締役、インダストリアルグループ管掌、キヤノントッキ株式会社取締役会長兼CEOを兼任し現職。 |
| 浅田 稔 | 専務取締役 経理本部長 PSI適正化プロジェクト チーフ | 1985年同社入社。経理本部グループ経営統括センター所長などを経て2017年執行役員に就任。常務執行役員を歴任し、2024年3月より専務取締役、経理本部長、PSI適正化プロジェクトチーフを兼任し現職。 |
社外取締役は、川村雄介氏(元長崎大学経済学部教授、一般社団法人グローカル政策研究所代表理事、東洋アルミニウム社外取締役)、池上政幸氏(元最高裁判所判事、弁護士)、鈴木正規氏(元環境省環境事務次官、元イオン銀行代表取締役会長、FPパートナー社外取締役)、伊藤明子氏(元消費者庁長官、伊藤忠商事社外取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会は社内出身者と独立社外取締役で構成され、経営の健全性を担保しています。監査役会は取締役会から独立した執行監査機関として、経営の健全性確保に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
キヤノンの役員報酬は、代表取締役および業務執行取締役に対して基本報酬、賞与、株式報酬型ストックオプションの3つの要素で構成されています。基本報酬は定額の金銭報酬であり、賞与は連結税引前当期純利益を指標とした業績連動報酬です。株式報酬型ストックオプションは、株主との中長期的な価値共有を目的としています。社外取締役および監査役の報酬は、業務執行から独立した立場を考慮し、基本報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 17.3億円 | 2.88億円 |
| 社外取締役 | 4名 | 96百万円 | 24.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 3名 | 43百万円 | 14.3百万円 |
| 社外監査役 | 4名 | 50百万円 | 12.5百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
個人別報酬が開示されている役員は、御手洗冨士夫氏(6.93億円)、田中稔三氏(2.96億円)、本間利夫氏(2.89億円)、小川一登氏(1.80億円)、武石洋明氏(1.35億円)、浅田稔氏(1.32億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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