2021年06月21日
医薬品業界で国内大手のエーザイへの転職。中途採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、一緒に仕事をする仲間として多角的に評価されるので、事前にしっかり対策しておきましょう。
チョコラBBシリーズのヒットで知られるエーザイは、新薬とジェネリック両方を手掛けるハイブリッド型の製薬会社です。1990年代に強みである認知症領域で新薬「アリセプト」を、続いて消化性潰瘍治療薬「パリエット」を開発。この2つの新薬開発により海外展開を加速し、世界の医薬品メーカーランキングトップ20入りを果たしました。
しかし、これら新薬の特許が切れた2010年頃からは、売上が低迷。社員からも「アリセプト、パリエットの特許が切れてからというもの、実績を守るばかりの活動でやりがいを見出しにくい」「アリセプトとパリエットの特許満了。その売上減を補う大型製品を至急導入して欲しい」といった口コミが見られ、業績面だけでなく社員のやりがいやモチベーションにも影響していることが分かります。エーザイではこの状況を打破するため、認知症領域での新たな開発を継続しつつ、今なお十分な治療法が確立していない「神経領域」「がん領域」も重点領域として、新薬創出に取り組んでいます。
また、エーザイでは近年、他社との戦略提携等によるジェネリック事業の拡大も進めています。これがハイブリット型の製薬会社である所以ですが、社員の口コミでも「2大薬品を超える新薬を早急に開発しなければ、ジェネリックメーカーになってしまう」という声と、「業界として、今は新たな新薬が出にくい時代でもある。国のジェネリック推進の方針からも、今までの技術を生かし、もっとジェネリック事業を拡大すべき」という声が見られるように、今後の事業展開についての見解が分かれているようです。
このような業界動向やエーザイとしての企業戦略に揺れる中、「アリセプト、パリエットに頼る収益構造を全面的に見直している」「人事評価制度、報酬体系の制度改革を断行し、『優秀な人材に活躍の場を与え、十分な報酬を与える』会社に移行しつつある」「失敗を責める風土がない。チャレンジを好む」という口コミも見られるなど、現在大きな変革期にあると言えます。
変化の多い製薬業界の動向をしっかりと把握した上でビジョンを持ち、ハイブリッド企業としての革新的なビジネスモデル構築を目指していく。面接でももちろん、こうした姿勢にマッチする人材であるかが見極められるでしょう。
エーザイの選考プロセスは、書類選考と2回以上の面接です。面接官は、人事部、応募部署の中堅社員、役員が担当することが多いようです。選考期間は2週間から1カ月程度です。
エーザイでは大きく「メディカル・アフェアーズ」「データサイエンティスト」「プロダクトマネージャー」「研究開発」「デジタルマーケティング」「管理部門」の部門に分かれており、それぞれの中でさらに細分化された専門職種があります。自分の経歴や専門分野とマッチする応募先を明確にし、「数多い職種の中で、なぜその職種に応募したのか」という点を明確に説明できるようにしておきましょう。
エーザイの面接では、志望動機やキャリアビジョン、時事問題などのベーシックな質問に加えて、業界ならではの専門的な質問が目立つ傾向があります。エーザイの製品について問われるケースはもちろんのこと、「新薬を早く開発するには何が必要ですか」といった新薬開発に関する質問のほか、「近年、医薬品の営業は変化したと思いますか?あなたの考えを教えてください」といった業界動向に対する考えを問うものもあるようです。
国のジェネリック推進などで常に変化の中にある医薬品業界をどう感じているか、また今後の展開についてどのようなビジョンを持っているのかなど、自分の考えをしっかりと伝えられるように準備しておきましょう。
エーザイの面接対策についてもっと具体的な情報を知りたい場合は、引き続きこの記事をお読みください。面接攻略法や、過去の面接で実際に聞かれた質問内容とその回答例をご紹介します。
エーザイの面接を受ける上では、hhc(ヒューマン・ヘルスケア)という企業理念を理解しておくことが不可欠です。
エーザイは、ヘルスケアの主役が患者様とそのご家族、生活者であることを明確に認識し、そのベネフィット向上を通じてビジネスを遂行することを企業理念に掲げています。
この理念を一言に集約したものをhhc(ヒューマン・ヘルスケア)と呼び、社員一人ひとりが患者様の傍らに寄り添い、患者様の目線でものを考え、言葉にならない思いを感じ取ることが重要であると考えています。そして、すべての社員が就業時間の1%を患者様と共に過ごすことを推奨しています。
現在では、この理念がエーザイグループの社員一人ひとりに浸透し、国籍・国境・性別・年代を超えて共有化され、日常業務として実践されています。
全社員が、患者様とそのご家族、生活者のベネフィット向上のために何をなすべきかを誰よりも早く着想し、それを試し、実証し、世界に発信していきます。
これが、私たちのめざしているヒューマン・ヘルスケアです。
これは、エーザイの企業カルチャーの土台となる価値観。しっかりと理解した上で自己分析に落とし込み、面接でこの理念に合致する人材であることをアピールしましょう。
特に「すべての社員が就業時間の1%を患者様と共に過ごすことを推奨しています」という点は、「患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を考え、そのべネフィット向上を第一義とし、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足する」を企業理念の柱として掲げるエーザイならではの価値観と言えます。患者との接点を持ち、共に過ごした経験があれば具体的に紹介しつつ、そこで感じたことや、それを踏まえて仕事への意識に生じた変化、行動に移したことなどを紹介すると良いでしょう。
また、国籍・国境・性別・年代を超えてコミュニケーションを取り、ひとつの目標に向かって努力した経験や、「患者様とそのご家族、生活者のベネフィット向上のために何をなすべきかを誰よりも早く着想し、それを試し、実証し、世界に発信」という視点を大切にした業務経験、その際に自分から提案して何かに取り組んだ実績などがあれば、具体的なエピソードを伝えると良いでしょう。
エーザイの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜエーザイか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、エーザイという企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究もわすれないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
●大塚製薬株式会社
●第一三共株式会社
●中外製薬株式会社
このように、エーザイの採用面接を受ける前には、「hhc」の理念に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、「変化の多い製薬業界の動向をしっかりと把握した上でビジョンを持ち、ハイブリッド企業としての革新的なビジネスモデル構築を目指していく」という社風を意識して、これまでの知識や経験を活かすことでどのように患者に寄り添い貢献していくことができるのか、熱意と誠実さを持って語るよう心掛けましょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
エーザイの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「変化の多い製薬業界の動向をしっかりと把握した上でビジョンを持ち、ハイブリッド企業としての革新的なビジネスモデル構築を目指していく」という社風を理解して、これに合致した人材であることをアピールする。
●hhc(ヒューマン・ヘルスケア)の理念を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●競合他社についても研究し、「なぜエーザイか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするように心がけましょう。
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