0 編集部が注目した重点ポイント
①太陽HDの株式を売却し提携を解消する
2026年3月31日、持分法適用関連会社である太陽ホールディングスの全株式を約826億円で売却し、資本業務提携を解消する基本契約を締結しました。今後は最重要領域と位置付けるスマートリビング領域へ経営資源を集中投入します。2027年の取引完了にともない対象会社はグループから分離し、同領域でのキャリア機会が拡大する可能性があります。
②ROIC目標管理に向けセグメント集計方法を変更する
当第1四半期より、長期経営計画に基づく報告セグメント別のROIC目標の達成度を測定するため、セグメント情報の集計方法を変更しました。各セグメントの資産・資本効率をより的確に反映する体制へ移行します。前年同期データも変更後基準に修正されており比較可能です。効率重視の管理体制への刷新により、事業管理スキルを持つ人材への重要性が高まります。
③AI半導体需要を捉えケミトロニクス営業利益が2.5倍に拡大する
旺盛なAI半導体需要の増加を背景に、パッケージ基板向けエポキシ樹脂などの出荷が大幅に増加しました。これにより、ファンクショナルプロダクツに含まれるケミトロニクス事業本部の営業利益は前年同期比2.5倍の36億円へと急成長を遂げています。先端材料分野における同社の成長を牽引する中核事業として、専門技術人材のキャリア機会が急拡大しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年度第1四半期決算説明資料 P.5
売上高
2,825億円
前年同期比 +7.8%
営業利益
245億円
前年同期比 +87.7%
親会社株主に帰属する四半期純利益
192億円
前年同期比 +214.7%
※一時利益控除後の営業利益 = 187億円(前年同期比 +42.7%)。営業利益から、海外の顔料製造拠点で過年度に計上した修繕に関する負債の不要化にともなう取崩し額58億円を差し引いた、事業本来の収益力を示す非GAAP指標。
当第1四半期の連結業績は、デジタル分野を中心に高付加価値製品の出荷が好調に推移し、大幅な増収増益となりました。特にAI半導体需要の高まりを受けたエポキシ樹脂や、スマートフォン向けの工業用テープの採用拡大が大きく貢献しています。また、適切な価格対応の実施や徹底したコスト管理、円安にともなう為替換算のプラス影響も利益を押し上げる要因となりました。
通期予想に対する進捗状況については、通期営業利益予想560億円に対し当1Q時点で245億円に達しており、一時利益控除後の187億円ベースで見ても年間見通しに対する進捗率は33%と非常に順調なペースで推移しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年度第1四半期決算説明資料 P.8
パッケージング&グラフィック(日本)
【事業内容】 食品包装用途を主軸とするパッケージ用インキや出版用インキ、食品トレー用ポリスチレン等の製造・販売を担う。
【業績推移】 売上高は307億円と前年同期比横ばい、営業利益は12億円と前年同期比+17.7%の増益を確保。
【注目ポイント】 物価高による消費落ち込みから出荷数量は伸び悩んだものの、スプレッドを重視した販売価格の徹底により増益を達成しました。原材料価格の変動にともなうマージン管理を徹底し、国内市場での価格交渉や収益管理を有利に進められる収益管理・マーケティング人材の存在が重視されています。
パッケージング&グラフィック(米州・欧州)
【事業内容】 米州・欧州地域におけるパッケージ用インキ、出版用インキ、デジタル印刷用ジェットインキ等の供給を行う。
【業績推移】 売上高は957億円(前年同期比+10.8%)、営業利益は55億円(同+26.6%)と大幅な増収増益。
【注目ポイント】 景気停滞の影響を受けつつも的確な価格対応で増収を確保したほか、欧州では競合他社のシェアを獲得したことで出版用インキの出荷が増加しています。中東情勢を受けた顧客の前倒し調達の動きにも柔軟に対応し、海外市場でさらなるシェア拡大を主導できるグローバル営業人材が求められています。
パッケージング&グラフィック(アジア他)
【事業内容】 中国を中心とするアジア地域において、食品包装用インキやポリスチレン等の製造・販売を展開する。
【業績推移】 売上高は226億円(前年同期比+10.0%)、営業利益は16億円(同+27.9%)と順調に成長。
【注目ポイント】 中国を中心に、中東情勢を見越した顧客による在庫積み増しの動きを捉え、各国での拡販に努め数量を伸ばしました。不確実性の高いアジア各国の市場環境や突発的な前倒し需要の変動を迅速に把握し、最適な流通戦略を構築できるローカルマーケティングの専門人材が必要です。
カラー&ディスプレイ(日本)
【事業内容】 国内におけるディスプレイ用顔料、塗料用顔料、インキ用顔料などの製造・販売を行う。
【業績推移】 売上高は83億円(前年同期比-5.8%)、営業利益は9億円(同-31.0%の減益)と厳しい状況。
【注目ポイント】 全般的に需要が弱く国内市場が縮小するなか、価格改定や徹底した構造改革による収益性改善が急務となっています。厳しい環境下を打破するため、既存の枠組みにとらわれず、高付加価値な次世代機能性材料の新市場開拓を主導できる技術営業や、国内拠点の構造改革を強力に推進できる人材が必要とされています。
カラー&ディスプレイ(海外)
【事業内容】 海外市場向けのプラスチック用、化粧品用、ディスプレイ用、農業等のスペシャリティ用顔料を供給する。
【業績推移】 売上高は664億円(前年同期比+1.9%)、営業利益は75億円と前年同期の16億円から4.6倍へと急拡大。
【注目ポイント】 プラスチック用顔料の拡販や液晶ディスプレイ用途の回復に加え、ドイツ拠点における過年度の修繕関連負債の不要化にともなう58億円の取崩しが一時的な増益要因となりました。戦略的な製品ポートフォリオの再構築や、複雑化する海外製造拠点の法務・財務ガバナンスを最適化できる国際法務・財務のスペシャリストの需要が高まっています。
ファンクショナルプロダクツ(日本)
【事業内容】 半導体パッケージ基板向け等のエポキシ樹脂、スマートフォン向け工業用テープ、自動車用PPSコンパウンド等の開発・製造を担う。
【業績推移】 売上高は465億円(前年同期比+6.2%)、営業利益は50億円と前年同期の25億円から2.0倍の急成長を記録。
【注目ポイント】 旺盛なAI半導体需要を背景に、パッケージ基板の絶縁材料に使用される活性エステル型硬化剤などの出荷が絶好調です。さらに、ハイエンドスマートフォン向け工業用テープも採用拡大に成功しています。進化の早い先端技術トレンドを捉え、顧客の高度な技術要求に並走できる研究開発・応用技術エンジニアが強く求められています。
ファンクショナルプロダクツ(海外)
【事業内容】 モビリティ関連用途や一般工業用途向けに、PPSコンパウンドやコーティング用樹脂等の高機能材料を展開する。
【業績推移】 売上高は399億円(前年同期比+15.2%)、営業利益は42億円(同+52.0%)と大きく伸長。
【注目ポイント】 主力製品であるPPSコンパウンドがモビリティや住設機器向けに出荷好調なほか、海外を中心に顧客によるコーティング用樹脂の在庫積み増しの動きが見られました。世界的な不確実性が高まるなか、グローバルな安定調達体制を築きつつ生産プロセスを最適化できる国際調達・生産管理人材の重要性が増しています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年度第1四半期決算説明資料 P.13
直近の世界経済は中東情勢の緊あた化による原油・エネルギーコストの高騰やナフサ由来の石油化学製品の調達制約・価格高騰といった先行き不透明な状況に直面しています。同社製品の原料は約7割が石油化学製品であるため、影響を最小化すべく、原料の安定確保やタイムリーな価格対応、追加のコスト削減にグループ全体で取り組んでいます。現時点で影響額の合理的な算定が困難なため通期業績見通しは据え置かれていますが、このような環境下だからこそ、グローバルな拠点網を活かして地域間で原料や製品を融通し、調達先を分散するリスクマネジメントスキルが重視されます。変化に強いサプライチェーン再構築や価格交渉力を持つ人材にとって、大きな手腕を発揮できるチャンスと言えます。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社はAI半導体需要の拡大を追い風に、エポキシ樹脂などのケミトロニクス事業で高い成長を遂げています。志望動機では、同社が最重要領域と位置付けるスマートリビング領域への資源集中や、高付加価値製品の拡販戦略に自身の強みがどう活かせるかを結びつけることが有効です。また、中東情勢にともなう原料高に対してグループをあげて価格対応やコスト削減を進めている背景を踏まえ、自身の持つグローバルなリスク管理能力や市場変化への適応力をアピールすることで、即戦力としての高い評価を獲得しやすくなります。
面接での逆質問例
・「長期経営計画において各報告セグメント別にROIC目標が設定されましたが、私が志望する部門において、現場の資産・資本効率を高めるために現在最も注力している具体的な取り組みについて教えていただけますでしょうか。」
・「中東情勢によるナフサ等の調達リスクに対し、グローバルに拠点を持つ強みを活かして地域間で原料を融通すると伺いました。この安定確保に向けたオペレーションにおいて、中途採用者に期待される役割やスキルは何でしょうか。」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
子育て中の社員にとって非常に働きやすい環境
育児休業制度が整っており、産休も充実しているため、子育て中の社員にとって非常に働きやすい環境です。特に、女性のキャリアアップを支援する取り組みが進んでおり、管理職への登用も積極的に行われています。
(30代後半・システムエンジニア・女性) [キャリコネの口コミを読む]コミュニケーションの不足
縦割りの組織構造が強く、各部署間の連携があまり見られないのが現状です。隣の部署でどのような業務が行われているのか、具体的な情報が共有されることは少なく、コミュニケーションの不足を感じます。トップダウンの文化が根強く、現場の声が上層部に届きにくい印象を受けます。
(30代後半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
■ 使用した主な公開資料
- DIC株式会社 2026年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- DIC株式会社 2026年度第1四半期決算説明資料



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