住友不動産は、財閥解体前の旧「住友本社」の不動産部門を継承して誕生した総合デベロッパーです。2020年に向けて、羽田や有明の大規模な開発・運営プロジェクトを手掛けていることでも話題になっています。
同社が特に存在感を示すのは、都心のオフィスビルと大型マンション。オフィスビル運営は東京を中心に220棟を超え、マンション分譲では2014年から2018年まで連続で供給戸数1位(不動産経済研究所調べ)となっています。
2021年06月21日
口コミと公開データを元に転職者目線で企業研究。業績と待遇の2つの面で志望企業を掘り下げます。今回取り上げるのは、大手不動産会社で6期連続増収増益の住友不動産です。
住友不動産は、財閥解体前の旧「住友本社」の不動産部門を継承して誕生した総合デベロッパーです。2020年に向けて、羽田や有明の大規模な開発・運営プロジェクトを手掛けていることでも話題になっています。
同社が特に存在感を示すのは、都心のオフィスビルと大型マンション。オフィスビル運営は東京を中心に220棟を超え、マンション分譲では2014年から2018年まで連続で供給戸数1位(不動産経済研究所調べ)となっています。
住友不動産は50社の連結子会社を持つグループとして、4つの主要事業を展開しています。それぞれみていきましょう。
住友不動産株式会社 住友不動産グループの事業概要(「2018年度報告書」より)
オフィスビルやマンションを開発し、賃貸事業を展開しているのが不動産賃貸事業。東京のオフィスビルの保有・運営棟数では首位に立っており、住友不動産の主力事業といえます。また、ホテル「ヴィラフォンテーヌ」の運営やイベントホール・会議室の賃貸なども積極的に展開しています。
マンションや戸建て住宅の分譲事業(不動産販売事業)は、特に大都市圏で数多くの物件を手がけています。1000戸クラスのタワーマンションをはじめとした大規模物件の開発が強みで、前述の通り、5年連続で新築分譲マンションの供給戸数1位。2017年・2018年には、全国での年間供給戸数が7000戸を超えました。
リフォームや注文住宅等を手がける完成工事事業では、建替えより安価で済む「一棟まるごとリフォーム」をコンセプトにした「新築そっくりさん」が有名です。阪神・淡路大震災をきっかけに開発され、リフォーム業界に新ジャンルを確立。累計10万棟を超える受注実績を持つ人気ブランドです。
最後は、不動産流通事業です。不動産売買の仲介、住宅の販売代理などを行っています。2017年には住友不動産販売株式会社を完全子会社化し、効率化や意思決定の迅速化を進めています。
大手不動産会社の業績は全体的に好調傾向にありますが、住友不動産の業績はどうなのでしょうか?
2019年3月期の業績は、売上高が1兆132億円、営業利益が2204億円、経常利益は2043億円を記録しています。当期純利益も含めて、全ての項目で6期連続の最高業績を達成しました。売上高は、ついに1兆円の大台に乗っています。
住友不動産株式会社 業績の推移(「2019年3月期 決算説明会資料」より)
事業別にみても、全て過去最高の売上高、営業利益(本業の儲け)を記録しています。業績を牽引したのは、やはり東京のオフィスビルを中心とした不動産賃貸事業です。
では、2019年3月期の業績についてさらに詳しくみていきましょう。
オフィスビル賃貸は、好調な景況感や働き方改革による環境改善の促進などを背景に新規需要が伸び、既存ビルの空室率は3%をきりました。
賃料の上昇も続いていることもあって、業績好調です。「住友不動産大崎ガーデンタワー」など、前期に竣工したビルがほぼ満室となって稼働が本格化したことも大きく寄与しています。
住友不動産株式会社 部門別業績目標と事業戦略(「2019年3月期 決算説明会資料」より)
分譲マンション等の不動産販売事業は、前期比で89戸増加の5970戸を計上しており、郊外物件も含めて売れ行き好調。「新築そっくりさん」や注文住宅の受注数、中古住宅の仲介件数も順調に伸び、全体として業績を伸ばしています。
住友不動産株式会社 2019/3期 連結決算実績(前期比)(「2019年3月期 決算説明会資料」より)
住友不動産は、2020年3月期から2022年3月期までの中期経営計画を発表し、9期連続の増収増益を計画していることを明らかにしました。
具体的な数値として、最終年度となる2023年3月期まで3年の累計額では、
・売上高 3兆1000億円
・経常利益 7000億円
を目標にしています。
2017年3月期~2019年3月期までの累計額と比較すると、経常利益ベースで25%増の成長を目指すことになります。
住友不動産株式会社 3ヵ年の累計業績目標(「2019年3月期 決算説明会資料」より)
この計画の実現のカギを握るのは、やはりオフィスビルなどの不動産賃貸事業でしょう。3年で売上高1兆2000億円(前計画比約12%増)、営業利益5300億円(同約28%増)を目標としており、全体のなかでも非常に高い割合を占めます。次いで高い割合を占めるのが不動産販売事業です。
では、不動産賃貸事業と不動産販売事業の事業戦略について、さらに詳しくみていきましょう。
前述の通り、不動産賃貸事業はニーズが増加しています。それらに対応してさらなる収益強化を目指すべく、東京都心での賃貸ビル投資を強化する計画。
延床面積(建物の各階の面積の合計)80万坪超の開発計画を推進しており、総額2兆円を投資予定です。6〜7年での収益化を目指し、今回の中期経営計画期間では、約3割を竣工・稼働させる見込みとなっています。
分譲マンションの販売では、建物の竣工までに完売を目指し、それが難しくなると値引きを行うケースは多いもの。しかし、住友不動産には基本的に「売れ残り」という概念はなく、値引きをせずに時間をかけて販売する戦略を続け、高い営業利益率を誇っています。
その根底にあるのが、優れた用地を獲得する力と、建物のクオリティです。例えば「シティタワー」シリーズはガラス張りの外観が特徴的。こうした住友不動産ならではの高級感が魅力となり、物件の資産価値維持や完成済み住戸の販売好調につながっています。競争は激化していますが、こうした方針は今後も変わらないでしょう。
近年、都心部では高所得者が投資も視野に入れて物件購入を検討するケースが増加しています。こうしたニーズも踏まえて、「好球必打」を掲げ、利益重視で都心を中心に用地を取得していく方針です。
まず住友不動産の平均年収ですが、2019年3月期の有価証券報告書には、平均年間給与額は、661.5万円と記載されています。キャリコネに寄せられた給与明細から算出した年代別年収レンジは、20歳代で380〜480万円、30歳代で530〜630万円、40歳代で650〜750万円となっています。
給与体系は職種によっても異なりますが、住友不動産は実力主義のため、成果に応じて高収入を目指せます。
例えば戸建リフォームの営業職の場合、月給に加えて「高率歩合給」が支給されます。粗利(売上高から売上原価を引いたもの)のうち、最高で25%が手元にくることになり、上限はありません。
公式サイトでは、以下のような平均年収と最高年収が紹介されています。
平均年収720万円/固定年額300万円(固定残業手当含む)+高率歩合給420万円
最高年収2130万円/固定年額300万円(固定残業手当含む)+高率歩合給1830万円
固定年額に固定残業手当が含まれていますが、超過分は別途支給されます。「物件によって販売の難易度が異なる」「プレッシャーがある」といった声もみられましたが、年収2000万円を超える例もあり、夢が広がります。
営業以外の施工管理でも、
施工管理は報奨金制度なので、担当物件を多く持つとそれなりに給料も上がる。頑張れば800〜1000万円くらいも可能
との口コミもみられました。
年収口コミ
報奨金制度なので、担当物件を多く持つとそれなりに給料も上がる。頑張れば800〜…(続きを見る)
具体的な年収額をお知りになりたい場合は、キャリコネの給与明細投稿をご覧ください。
住友不動産社員の給与明細(キャリコネ)
同年代でも営業の給与が高め?
30代営業(非管理職)の 給与明細
30代技術職(非管理職)の 給与明細
給与に年齢は関係なし?
30代営業(非管理職)の 給与明細
20代営業(非管理職)の 給与明細
出世口コミ
ビル事業部出身者が出世していくが、その時のマネジメントの判断で…(続きを見る)
住友不動産で働いていく上で大切なことのひとつに「働く環境はどうなのか」があります。キャリコネに寄せられた口コミを元に、制度や環境の中から特徴的なものを3つ紹介します。
住友不動産では、未経験・他業界からチャレンジした人も多数活躍しています。専門知識が求められる職種もありますが、研修制度が充実しているので安心。これは口コミでも評価の高いポイントです。
例えば、戸建のリフォーム営業の場合、座学やロールプレイング、接客同席等を合わせ、最長半年の研修があります。メンター制度も導入しており、先輩社員がしっかりフォローする体制です。
また、不動産業界で働くうえでは資格が必要になるケースも多いですが、講座費用の割引や受験料・登録料の補助制度などもあります。
福利厚生面で「便利」という声が多かったのが、住友クリニック(東京・新宿)で内科・歯科の診察、投薬を無料で受けられることです。「利用者が多い」「無料で歯科の定期健診も受けられる」といった声も。
その他の健康管理に関する制度として、グループ会社が運営するフィットネスクラブの割引もあります。
都心部の所有ビルに子会社がフィットネスを運営しているため、福利厚生施設として会員にならずとも500円/回程度で利用できるのは非常に有り難いと思います
といった声もありました。
保養所や宿泊費の補助制度も好評です。社員やその家族が利用できる保養所は、1泊1人1000円~と格安。民間宿泊施設を利用する際も、1泊あたり4000円の補助などが受けられます。
口コミでは、
軽井沢にある山荘が格安で使用でき、施設も立派である割に数千円で使用できるので、家族に喜ばれる
との声も。
実際に「住友不動産軽井沢山荘」の公式HPをみてみると、社員の宿泊料は1人1泊1470円とのこと。八ヶ岳の保養所も利用できるほか、提携ホテルも複数。休日にリフレッシュしやすい環境です。
残業時間口コミ
月により就業時間が変動。通常は9〜18時だが、繁忙期では…(続きを見る)
同社のキャリア採用HPでは、営業職、技術職、スタッフ職に加え、羽田空港・有明プロジェクトの開業企画・運営職を募集しています(2019年7月現在)。
営業職は、マンションや注文住宅の営業はもちろん、用地取得関連の交渉を担う「用地仕入営業」や、オフィス戦略を提案する「テナントリーシング営業」などの募集を行なっています。
技術職では、各事業の設計や施工管理、品質管理などを募集。スタッフ職は、マンションギャラリーの事務スタッフや注文住宅のCADオペーレーター、一般事務などの求人が掲載されています。
注目したいのは、2つのビッグプロジェクトにまつわる採用です。ひとつは、空港直結のホテルとして日本最大の室数を予定する羽田空港プロジェクト。もうひとつは、都内最大規模の住宅・商業複合施設を開発する有明プロジェクトです。
どちらも2020年に開業を予定しており、採用にも注力しています。住友不動産単体として募集している職種は「ホテルマネジメント」と、「商業施設マネジメント」です。特に、大型商業施設の開発は住友不動産としても初の試みのため、商業施設マネジメントはこれまでなかった職種。同社の新たな強みを開拓していく側面も担っており、やりがいがあるでしょう。
住友不動産の中途採用の選考ステップは、公式サイトによると以下のように進められます。
応募→書類選考→合格者には、2週間以内に書類選考結果お知らせ→説明選考会(1次面接)→2次面接(場合により3次もあり)→健康診断→内定
キャリコネの口コミでは、1次面接を兼ねた説明選考会について
採用担当者よりまず、パワーポイントの資料で企業の概要説明があります。その後質疑応答を踏まえて、最後にSPI試験があります。
との声がありました。「SPI試験の難易度が高い」「職種によってはPC操作の試験がある」という情報も。対策をしておくとよいでしょう。
また、1次面接の面接官は人事担当者で、2次面接は上長になる予定のマネージャークラスの社員が対応することが多いようです。
現在所属する会社に辞める報告をしてからでないと、内定通知をくれない
との口コミもあるので、不安であれば事前に確認しましょう。
ここまで住友不動産という企業をみてきましたが、転職先としておすすめしたい理由は以下の3点です。
・成果が明確に反映され、モチベーションを保ちやすい給与体系
・クリニック受診無料などの充実した福利厚生
・質の高い商品をじっくり販売できる体制・ビジネスモデル
特に営業職の場合、成果を出せばしっかり報酬に反映される給与体系のため、やりがいは十分。クリニックの受診無料や社員の健康サポートといった手厚い福利厚生も、大手ならではの魅力でしょう。
本気で質の高い住宅の提供や街づくりに取り組みたい人、実力を試したい人はぜひチャレンジしてはいかがでしょうか。
この記事の執筆者