2021年06月21日
鉄鋼をはじめ、さまざまな商材を手がける独立系商社の阪和興業への転職。中途採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、一緒に仕事をする仲間として多角的に評価されるので、事前にしっかり対策しておきましょう。
「流通のプロとしての顧客サービス・社会貢献」を企業理念に、独立系商社ゆえのフットワークの軽さを強みにし、競合との差別化をはかる阪和興業。創業から70年以上経つ現在では、鉄鋼関連にとどまることなく、投資事業も含めたグローバルなビジネスを展開しています。
働く人の声を聞くと、「関西人の元気の良さをそのまま表現したような雰囲気」「良い意味での仲間意識の強さがある」など、大阪に本社を置いて発展してきた企業ならではの意見が見受けられます。おおよそイメージする商社の雰囲気とは離れていると感じられますが、そういった「社員の貪欲な熱量」が、取引先には「阪和の人だから」と受け入れられ、仕事につながるとの意見も。明るく元気であることを前面に出す、それが「社内恋愛・結婚が多い」「ものを持たない商社ゆえ、人を大切にする」といった職場環境の良好さにもつながっているのでしょう。
一方、結果至上主義という面が強いことから、評価がビジネス最優先となり仕事の奪い合いになってしまったり、一般職と総合職が明確に分業化していることでの連携の悪さを指摘している人もいます。また、投資はもとより本来の業務である鉄鋼分野でも、大手や海外との競争に遅れを取っているなど、将来への不安を感じるという意見も。
明朗であり、人との繋がりを大事にできる、そして仕事へ向けての貪欲的な熱の高さを持ち合わせている。そのような社風にフィットする人材かどうかを採用面接では見極められます。
阪和興業株式会社 経営方針サイトより
阪和興業の選考は、コーポレートサイトによると通常は書類選考後に適性検査、そして三度の面接を経ての内定という流れで構成されています。
選考期間は1ヶ月程度となっていますが、応募者の面接日程によっては、それ以上に時間がかかる場合もあるとのこと。
面接官は、1次が若手社員、2次が人事担当や課長・部長、3次で役員との面接という口コミが見られます。これは希望職種、または時期によって違いがあるようです。募集職種は「営業」「財務」「法務」「経理」「人事」「システム」他と多岐に渡っており、採用は通年おこなっています。
コーポレートサイトでは、入社後に実施される3種類の研修制度、人事担当者からのメッセージや、キャリア採用の社員インタビューも紹介されているので、目を通して社風や仕事内容への理解を深めるなど、事前の準備と対策をしっかりと取っておきましょう。
ごく一般的な質問をされるという意見もある中、マニュアルにはない一風変わったユニークなことを聞かれる傾向にもあるようです。
面接にのぞんだ人が、実際の面接時に受けた印象を見ていきましょう。「最終面接まで雑談のような雰囲気のまま進んだ」「しっかりと話を聞いてくれて、温かみを感じた」という声もあれば、「誘導尋問を受けているかのよう」「常に圧迫気味であった」など、3次までの期間内でそれぞれが感じたイメージは多岐に渡っています。
しかし、入社している人からすると、それらはあくまで「個々のポテンシャル」を知るためのものであり、さまざまな問いに対し、明確な回答を伝えられることが重要なポイントになってきます。頭の回転は速いか、自分自身の言葉を持っているかなど総合的な人格を見られ、理解力や表現力、ストレス耐性があるかどうかなどの審査基準になってきます。
以上から読み取れることとして、企業・業界研究のみに固執せず、型にとらわれることのない柔軟性を持ち合わせておくことが必要となってくるでしょう。
阪和興業の面接を受ける上では、「Sへのこだわり」と呼ばれる経営戦略を理解しておくことが不可欠です。「Sへのこだわり」は下図のように「STEADY」「SPEEDY」「STRATEGIC」、そして「SUSTAINABLE」の4つで構成されています。
さらに、あらゆる収益機会を逃さず業績を上向きにしていく「バリューチェーンの最適化」も、戦略スタンスとしてあげられています。
阪和興業株式会社 中期経営計画サイトより
阪和興業株式会社 中期経営計画サイトより
こうした経営戦略は、今後活躍する人材を採用する人事戦略にも影響します。しっかりと理解した上で自己分析に落とし込み、面接でこの「Sへのこだわり」に合致する人材であることをアピールしましょう。
上記の経営戦略を要約すると、これまでに企業として積み重ねてきた実績を確保し、損失のリスクを最小限にとどめ、効率の良い業務へと強化していく。その上で、有望な事業への出資をすることで自社の収益へとつなげ、さらには将来的な追加収益を見越し、中小企業へのM&Aや、あらゆる資源への戦略的投資を続けていく、との内容になっています。これは、鉄鋼だけでなく、幅広い商材を取り扱っていることや、独立系であるがゆえのしがらみを持たないという利点を生かした、阪和興業ならではの特徴ともとらえることができます。
さまざまな商材の世界的な需要が高まる中、個々の裁量次第では大きなビジネスに関わる機会をも与えられる実力主義社会。そうした中では、いかに本人のやる気を見せられるかによって、仕事も大きく広がっていく可能性があります。
そういった「Sへのこだわり」、すなわち「STEADY(安定・堅実)」「SPEEDY(迅速)」「STRATEGIC(戦略的)」を踏まえ、それらを統括する「SUSTAINABLE(維持・継続)」を理解しているかが、大きなアピールポイントにつながってくるでしょう。
阪和興業の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ阪和興業か」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面もあわせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、阪和興業という企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
●JFE商事株式会社
●株式会社山善
●株式会社メタルワン
このように、阪和興業の採用面接を受ける前には、経営戦略に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、「明るく元気で、人との繋がりを大切にできる人柄である」「仕事へ向けての情熱が高く、実現のためには努力を惜しまない」人材であると印象付けられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくと良いでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
阪和興業の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「明るく元気で、人との繋がりを大切にする」「仕事へ向けての情熱が高く、実現のためには努力を惜しまない」という社風を理解して、これに合致した人材であることをアピールする。
●阪和興業の経営戦略を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●競合他社についても研究し、「なぜ阪和興業か」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
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