2021年06月21日
ジェネリック医薬品の製造販売で知られる製薬メーカー、東和薬品への転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策をすすめましょう。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)メーカーとして、沢井製薬、日医工に次ぐ国内3位につける東和薬品。2020年までにジェネリック医薬品の数量シェア80%超えを目指す政府の方針もあり、ジェネリック医薬品の需要が高まる中、順調に製品販売量を増やしています。2019年12月にはスペインの医薬品大手エステベグループよりジェネリック医薬品事業子会社の全株式を取得し、完全子会社化することを発表したばかり。ヨーロッパおよびアメリカでの販売網を獲得し、本格的な海外進出の足掛かりとしたいところです。
そんな東和薬品の口コミを見ると、上司や部署によって繁忙度や評価が大きく異なる労働環境を不安視する社員が多いことが分かります。直販体制と卸を介した販売体制の両方を採用していることも一因のようですが、「プライベートを充実させられる」という社員もいる一方で、残業や休日出勤の多さに疲弊する社員も。「本来のMR(メディカル・レプリゼンタティブ)業務ではなくMS(マーケティング・スペシャリスト)の仕事内容に近い」との口コミもあり、入社前には配属部署や業務内容の確認は必須です。
また、「年功序列」「真面目でこつこつ働く人が多い」という口コミも見受けられ、実力主義というよりは社歴や実直さを重視する企業風土がうかがえます。その一方で、福利厚生や女性の働きやすさを評価する声も上がります。本人の働き方や志向次第で、やりがいを感じる度合いも変わってくる環境と言えそうです。
東和薬品には、シビアな環境と年功序列的な面を残すものの堅実でやりがいを感じられる社風があります。採用面接では、こうした社風にフィットする人材かどうかを見極められます。
書類選考通過後、通常2回の面接があります。2次面接では社長および役員が面接官だったとの口コミもありました。内定までには1週間~1か月程度と、選考は比較的スピーディに進むようです。
口コミによると、面接では応募者の人柄を見極めようとする傾向があり、選考は人物重視で行われるようです。希望する職種において自分のどのような面が活かせるのか、またそれをどのようにアピールするのが効果的か、事前にしっかりと対策をして臨みましょう。面接内容の傾向についての詳細は次項をご覧ください。
「嫌いな人にどのように接しますか?」「上司・親・配偶者それぞれにどのような人と思われているか?」など、応募者の人柄を見極めるための質問をされたという口コミが多く見られました。自己分析を徹底し、普段の自分が取っている行動はどのような基準によるものか、自分が最重要視している項目は何かなど、項目別に洗い出してみるとよいでしょう。周囲の人に「自分はどのような人間か」と尋ねて、客観的な評価を得ることも有効な手段です。また、中途採用の場合、入社後に社風や周りの社員にうまくなじめる人物であるかどうかは特に重要なポイントです。「一緒に働きたい人材」だと印象づけられるよう、自分の人柄を端的に表すエピソードをいくつか準備しておくと役立ちます。
「ジェネリック医薬品についてどう思うか?」と質問された人や、「経理部から見た業務改善案」を求められた人(経理職)もいました。入社への意気込みを伝えるには、東和薬品についての知識を深め、それをアピールすることが最も効果的です。企業研究・業界研究はしっかりと行い、ポイントを整理して語れる準備をしておきましょう。自分の専門とする分野ならではの視点で分析をしておくことも必要です。
面接を受ける上では、中期経営計画を理解しておくことが不可欠です。東和薬品は現在「中期経営計画2018-2020『PROACTIVE』」と題した計画を掲げています。
東和薬品「中期経営計画2018-2020『PROACTIVE』」資料より
医療体制をはじめとした社会の変化に柔軟に対応できる「PROACTIVE」(前向き、先見的)な姿勢で製薬事業に挑み続けることにより、「世の中や地域社会に必要とされる企業」となることを目指すのが基本的なコンセプトとなっています。
東和薬品「中期経営計画2018-2020『PROACTIVE』」資料より
国内でのジェネリック医薬品事業の成長をメインに、製品の品質向上や新しい事業・市場への進出も積極的に行っていく方針です。これまで構築してきたジェネリック医薬品の安定供給体制の維持および強化、直販と卸販売の両体制を敷く東和式販売体制を強化することで医療体制の変化にも対応可能なMR体制構築、高付加価値の製品開発や既存製品の改良により「製品総合力No.1」の製品づくりを行っていく考えです。また、潜在的ニーズを抱える海外市場への進出の足がかりとして、2019年12月にはスペインのジェネリック医薬品企業の全株式取得を決めたばかりです。「私達は人々の健康に貢献します」という企業理念に則り、健康関連の新規事業へもチャレンジしていきます。
こうした方針から、東和薬品では「社会貢献への意識を持ち、ジェネリック医薬品の普及と品質向上のために働ける人材」が求められていると言えるでしょう。したがって、採用面接に臨むにあたっては、中期経営計画「PROACTIVE」をしっかりと理解し、自己分析に落とし込んでおくことが必要です。
東和薬品の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜうちの会社なのか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面もあわせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、東和薬品という企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
●沢井製薬株式会社
●日医工株式会社
●富士製薬工業株式会社
このように、東和薬品の採用面接を受ける前には、中期経営計画「PROACTIVE」に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では「シビアな環境と年功序列的な面を残すものの堅実でやりがいを感じられる社風」を意識して、「組織になじみつつ、社会貢献への意識をもってジェネリック医薬品の普及と品質向上のために働ける人材」と印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくとよいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
東和薬品の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「シビアな環境と年功序列的な面を残すものの堅実でやりがいを感じられる社風」を理解し、それに合致した行動がとれる人材であることをアピールする。
●東和薬品の中期経営計画「PROACTIVE」を理解して、これに沿った自己分析を行い、自己PRへとつなげる。
●競合他社についての理解を深め、「なぜ東和薬品なのか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
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