2021年06月21日
トラックやバスなど、商用車の製造販売を手掛ける日野自動車への転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として評価されるので、事前にしっかり対策しましょう。
商用車の製造販売を手掛ける日野自動車は、国内普通トラック市場において、1973年以来45年連続でシェア1位を獲得するなど、業界で圧倒的な存在感を示しています。海外では東南アジアを中心に事業展開しており、戦略的に販売台数を増やした結果、2018年時点の海外販売比率は60%超まで拡大しました。
また、トヨタ自動車(以下、トヨタ)の連結子会社であることから、生産現場ではトヨタ生産方式を採用。トヨタグループのトラック・バス部門を担うほか、トヨタブランドのトラックやSUVなどの受託生産、さらに、トヨタ向けのディーゼルエンジン生産などもおこなっています。
そんな同社の口コミを見てみると、「経験が浅い段階から任せてくれる」「周りの先輩が適度にフォローしつつ信頼して仕事を任せてくれるので、とても働きやすい職場」という声があり、積極的に手を挙げることで経験値を高められる環境であることがうかがえます。一方で、「仕事はOJTという名の部下任せ」「仕事ができる人に負荷が集中する」という声も。仕事の任され方や上司・先輩との関わり方は部署によってある程度違いもあるようで、だからこそ必要なのは、「自分はどうしたいのか」という仕事に対する軸だと言えるでしょう。
そのほかには、「年功序列」「堅い会社」「意思決定は良く言えば非常に慎重、悪く言えば非常に遅い」など、良くも悪くも日本の大企業らしい社風がうかがえる口コミも。こうした社風にフィットするかどうかは人それぞれですが、安定性を求める人にとっては良い面も多いでしょう。
さらに、「何かあるごとにトヨタ自動車を頼る傾向にある」「“トヨタがこうやってるから”というのが、ある種決まり文句のようになっている」というように、親会社であるトヨタにまつわる口コミも多く見られます。
同社の面接にあたっては、トヨタ傘下の大企業組織であることを理解し、そうした社風の中で積極的に能力を発揮できる人材であることをアピールする必要があるでしょう。
コーポレートサイトに選考フローについての記載はありませんが、口コミ等の情報によると、エントリー→書類選考→2〜3回程度の面接というのが一般的な流れとなっています。また、SPI(適性検査)が実施されることもあるようです。
2020年2月現在、IT企画と先進技術開発で複数の中途採用が募集されていますので、コーポレートサイトで職種内容や応募資格を確認してください。
奇をてらった質問というよりは、「志望動機」「これまでのキャリア」「なぜ日野自動車なのか」など、オーソドックスな内容がほとんどです。面接経験者からは、「自分の言葉で語ればいい」というアドバイスもありますので、実直に自分の思いを語るつもりで臨みましょう。ただし、面接官は、本質的な点を見極めるために、答えに対して「なぜ?」を繰り返す傾向にあると言います。したがって、事前にしっかりと自己分析をして、質問に対する答えには根拠を示せるようにしておきましょう。
また、技術職の場合、技術に関する質問をされることも多々あります。これまで培ってきたスキルや専門性を面接官にきちんと伝えられるよう、論理的な説明を心がけましょう。
日野自動車の面接を受ける前に、同社の経営戦略である「Challenge2025」(2025年に向けて)を理解しておきましょう。
日野自動車が得意とするトラックの特長は、世の中の物流を支えるという点にあります。「自由に安全に効率的に、人と物が移動する“豊かで住みよい持続可能な社会”」が同社の目指す姿であり、その実現のために、「安全」や「環境」や「効率」という課題に向き合っています。まずは、ここをしっかりと理解し、同じ方向を目指せるかどうかが大切です。
経営戦略資料より
「Challenge2025」では、こうした社会を実現させるため、同社の持続的成長に向けた事業基盤強化を掲げています。具体的には、「新車ビジネスで安全・環境技術を追求した最適商品の提供」「保有ビジネスで最高にカスタマイズされたトータルサポートの提供」「ソリューションビジネスで新たな領域へのチャレンジ」をおこなうとしています。
特に、新車ビジネスと保有ビジネスは同社の収益の柱のため、新車販売と保有台数が増えるサイクルは安定した事業構造に繋がります。そのため、海外での新車拡販を狙う考えで、ASEAN各国の経済成長の取り込みには特に力を入れていく方針です。そうした中、アライアンスの活用も加速させるとしています。
経営戦略資料より
同社の面接にあたっては、こうした企業理念や中期的な戦略を理解したうえで、自己分析に落とし込む必要があります。「会社の目指す方向と自分のやりたいことがマッチしているのか」「戦略上のどの部分に自分の力を発揮することができるのか」といった視点を持ちながら、自己分析を進めてみてください。
日野自動車の面接では、「なぜ日野自動車なのか」ということがよく質問されます。同社は、自動車メーカーの中でもバスやトラックなどの商用車に特化しており、普通車や小型車を手掛けたい人にとっては、それを追求できないことになります。そのため、この質問をすることで「入社後に何をやりたいのか」「これまでのキャリアをどう活かすつもりなのか」ということを確認して、ミスマッチを防ぐのです。また、社風にフィットする人材や企業理念に共感する人材を採用する意味でも、この質問は大変有効です。
したがって、以下のような企業についてしっかりと研究をおこない、他社との違いを明らかにしたうえで、この質問に答えられるようにしておきましょう。
●いすゞ自動車株式会社
●三菱ふそうトラック・バス株式会社
●UDトラックス株式会社
日野自動車が目指している方向性や、求める人材像が分かってきたのではないでしょうか。
日野自動車が手掛けるトラックは、物流を支えるという意味で社会になくてはならないインフラであり、同社での仕事は社会的な責任が大きいものです。だからこそ、「なぜ日野自動車なのか」については、深堀りして考える必要があるでしょう。
また、良くも悪くも日本の大企業組織であることを踏まえ、組織の中でどういった仕事をしていきたいのかという自分の軸を持つことが大切です。「仕事を任せられる人材」と印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくとよいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
日野自動車の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●トヨタ傘下の大企業組織であることを理解し、そうした社風の中で能力を発揮できる人材であることをアピールする。
●日野自動車の中期経営計画を理解し、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●競合他社についても研究し、「なぜ日野自動車か」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
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