2021年06月21日
バルブの製造・販売を主軸に、伸銅品事業や宿泊施設経営もおこなうキッツへの転職。採用面接は新卒の場合と違い、仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策をすすめましょう。
流体制御機器であるバルブの製造・販売事業を主とするキッツ。生活インフラ設備から巨大プラントにいたるまで、9万点以上の豊富なラインナップからなる製品を手がける同社は、国内、そしてアジア圏において高いシェアを持ち、世界的にみても上位にランクインするバルブメーカーです。原材料の調達から出荷まで、すべての工程を自社でまかなう一貫量産体制により、高品質と納期に関して大きな実績をほこります。
実際に働いている人の口コミでは「社会に必要不可欠な部品を作っている」「国内での高いシェア率により、大手・中小問わず各業界のさまざまな企業が顧客」という、仕事へのやりがいを感じる声が多く聞かれます。それにともなう事業の安定性、そして海外への展開により将来性も見込めるとの意見も。福利厚生や社内・社外研修制度の充実度を評価する人も見られました。
一方で、「仕事が一部の人に集中している」「グローバル化優先により業務量が増加した」「残業が必然化している」との意見も聞かれます。部署による業務量の差も激しいようで、事務職と技術職ではワークライフバランスが大きく異なるといった不満の声もあがっています。さらにグローバル化優先の方針によって、以前と比較すると自社開発が減っていることを不安視する人も。
「質の高い商品とサービスにより、企業価値向上と社会づくりに貢献」を企業理念として掲げる同社は、求める人財像として「誠実であること」「変化に対し迅速に応えていけること」「従来の殻を破る創造力を持っていること」をあげています。採用面接では、このような社風にあった人物かどうかを見定められるでしょう。
株式会社キッツ 会社情報 企業理念サイトより
コーポレートサイトの社会人採用情報によると、現在の募集職種は「開発設計職」「購買職」「NCおよびMC工作機械オペレーター」「生産技術職」「品質管理」の5種となっています。まず希望部署宛に履歴書と職務経歴書を郵送し、1〜2週間後に書類選考結果の通知、その後面接という流れになります。
口コミを見ると面接回数は1〜3回とあり、複数の面接官がいたとの声も聞かれました。面接官は役員、部長、人事、管理部門、現場の社員がつとめ、選考期間は2週間~2ヶ月と多少幅があるようです。
なお、職種によりそれぞれ必須経験、資格、勤務地などが異なりますので、採用サイトをよく読み確認しておきましょう。
一般的な質問をしながら進むようですが、転職理由とスキルに関しては深く追及されるという意見が見られますので、しっかりと整理した上で明確な回答ができるよう対策しておきましょう。
なお、面接回数を重ねるに従い、面接官が威圧的な雰囲気を出してくるという声が聞かれます。前項で記したように複数の面接官を相手にすることも考慮し、圧迫感に押されず自信を持って意見を話せるかがポイントとなります。こういった場合は、主にコミュニケーション能力を見られているので、はっきりとした回答ができるような心構えも必要です。
そして同社は広く海外に事業を展開していることもあり、語学力や海外勤務への興味があることは高評価の対象となります。海外戦略に沿った回答ができるようにしたり、逆質問を用意したりしておくのもよいでしょう。
さらに、「どのような製品を扱っているか」「主な取引先はどこか」といった必要最低限の事項は、志望動機にもつながる大切なことですので、コーポレートサイトやパンフレットを熟読し、研究を怠らないようにしてください。採用サイトには業務内容の詳細、人事担当からのメッセージ、社員インタビューなどさまざまな情報が掲載されているので、目を通して会社の雰囲気を掴んだ上で面接に臨みましょう。
キッツの面接を受ける前には、同社の中期経営計画を正確に理解することが必要となります。この項では、どのような方針であるかを読み解き、自己分析に落とし込んでおいてください。
まずは同社の過去10年間の連結収益を見ていきましょう。リーマンショック後の2009年度から震災のあった2011年度までは業績を落としていますが、その後は収益を伸ばしており、国内外両方で着実に事業を成長させていることが見てとれます。直近の2年間は、価格改定を実施したことにより、計画を大幅に上回る増益となりました。
株式会社キッツ IR情報 キッツグループの業績サイトより
そして同社は2030年に向けて、バルブメーカーとしての世界シェアを第2位に押し上げる計画として「Global Strong No.2を目指す」とのスローガンを掲げました。下図はその目標とする姿であり、これにともない新たに第4期中期経営計画を策定。成長性、収益性、効率性をそれぞれ伸張させるとしています。
具体的な戦略としては、以下があげられます。
バルブ事業
国内市場〜強みを生かせる重点分野にリソースを割く・迅速な対応により損失を削減海外市場〜新しい領域への本格的参入・拡販の開始プラント市場〜部品交換、メンテナンスによる収益拡大その他、伸銅品事業では生産性向上と環境整備をおこない、ホテル事業ではリピーター増加・安定収益確保のための事業体質の確立を目指すとしています。
株式会社キッツ 採用情報 中期経営計画サイトより
「安定性があるので心強い」という意見がある反面、「国内ではもう頭打ちなのでは」という声も聞かれるバルブ事業。今後はいかに海外市場を拡大していけるか、そして交換やメンテナンス業務をさらなる収益増加につなげていけるかがキーポイントとなりそうです。
「仕事に誠実であり、市場環境の変化にも迅速・柔軟な対応力を持ち合わせている」「今までになかったような発想力で企業と社会に貢献していける」人財を求めている同社。面接では、このような意欲を持って業務にあたれる人物であることをアピールしましょう。
キッツの面接では、「なぜキッツを選んだのか」との質問をされます。これは「明確な入社後のビジョンがあるか」「現在までの経歴が当社の戦力となり得るのか」といった点だけではなく、「当社を本当に理解しているのか」を面接官が見定めているといえます。
キッツという会社について理解するためには、業界や職種を把握するだけではなく、企業理念や中期経営計画を読み、さらに競合として比較されやすい他社を研究することも必要となります。一例として以下の企業をあげますので、研究の参考にしてみてください。
企業研究を通じて、キッツの社風や経営計画、欲している人物像が分かってきたのではないでしょうか。面接の場では、同社の企業理念である「質の高い商品とサービスでゆたかな社会づくりに貢献」することを意識し、「迅速な対応と新しい創造力で業務にあたり、信頼を勝ち取れる」人財であると印象づけられるよう、複数のエピソードを準備しておきましょう。
以下は、実際の面接の場で聞かれた質問です。これらに目を通し「このような質問にはどう答えるのが最適か」「業務について聞かれたらこう答えていこう」など、シミュレーションしてみてください。
キッツの採用面接を受けるにあたり、押さえておきたいポイントをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3項目となります。
以上についてしっかり準備し、面接当日は自分の言葉でアピールできるようにしましょう。
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