0 編集部が注目した重点ポイント
① 連結配当性向を40%以上に引き上げ株主還元を強化する
2025年12月期より、連結配当性向の指針を従来の35%前後から40%以上へ引き上げました。これにより年間配当金は53円となり、5期連続で過去最高額を更新しています。ROE(自己資本利益率)向上に向けた最適資本構成の維持を重視しており、成長投資と還元を両立させる姿勢を鮮明にしています。
② メタルソリューション事業へ名称変更し高付加価値化を急ぐ
2026年1月1日付で、従来の伸銅品事業をメタルソリューション事業へ名称変更しました。単なる素材供給にとどまらず、新素材の精密加工能力の向上やリサイクルの推進を通じて、収益構造の変革を目指します。半導体産業向け等の高付加価値製品の販売拡大により、安定的かつ高収益な体質の構築を推進しています。
③ 市場別ビジネスユニット制へ移行し意思決定を迅速化する
2025年1月より、従来の機能別組織から市場別BU(ビジネスユニット)制へ組織改革を実施しました。製・販・技が一体となり、顧客ニーズに素早く応える体制を整えています。特に北米でのデータセンター需要や、インドのインドHPE社買収による機能性化学市場の深耕など、グローバルな成長エリアへの展開を加速させています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度12月期 通期決算説明会 P.3
当連結会計年度の業績は、主力のバルブ事業において北米のデータセンター需要や海外市場での販売増、価格改定の効果が寄与し、増収増益を達成しました。伸銅品事業も販売量の増加により増収となりましたが、1Q(第1四半期)の計画的な炉の補修費用が響き、利益面では微減となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、前期にあった大規模な政策保有株式の売却益の反動により、前期比3.0%減の114億65百万円となりました。 通期計画に対する達成度については、売上高が98.2%(1,800億円に対し1,766億円)、営業利益が103.0%(150億円に対し154億円)となりました。利益面では期初予想を上回っており、事業環境の変化に柔軟に対応した結果、業績は順調に推移したと評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度12月期 通期決算説明会 P.18
バルブ事業
【事業内容】 青銅、鉄鋼バルブ、半導体装置用バルブ、水処理関連製品等の製造販売。国内外で高いシェアを誇る基幹事業。
【業績推移】 売上高1,414億15百万円(前期比+1.3%)、営業利益188億86百万円(前期比+8.4%)。売上・利益ともに過去最高水準。
【注目ポイント】 北米のデータセンター向け即納体制強化のため、2025年11月にKITZ Corp. of Americaを2倍規模へ拡張移転しました。また、ベトナムの新工場では高純度ガス対応バルブの生産を開始し、半導体市場の拡大に対応。BU制導入により、市場起点でのスピーディーな製品開発が求められており、専門性の高いエンジニアや海外営業の需要が高まっています。
メタルソリューション事業(旧 伸銅品事業)
【事業内容】 黄銅棒および伸銅加工品の製造販売。2026年より事業名称を変更し、加工事業を強化。
【業績推移】 売上高325億14百万円(前期比+9.0%)、営業利益8億65百万円(前期比▲2.4%)。増収ながら修繕費増が影響。
【注目ポイント】 材料相場に左右されない強固な収益体質への転換を目指し、「新素材の精密加工」領域を拡大中です。新素材生産比率は2024年の2.2%から10.7%へ急伸しており、加工技術の高度化が急務となっています。グループシナジーを活かした半導体産業向け加工品の拡大など、技術的な挑戦領域が広がっています。
その他(ホテル事業等)
【事業内容】 ホテルおよびレストラン事業等を運営。リゾートホテル等の運営を通じたサービス提供。
【業績推移】 売上高27億52百万円(前期比+4.0%)、営業利益1億71百万円(前期比+17.0%)。
【注目ポイント】 インバウンド需要の継続などにより堅調な推移を見せています。小規模ながらもグループの多様性を支える事業として、安定した収益を維持しています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度12月期 通期決算説明会 P.35
2026年12月期は、売上高1,950億円(前期比+10.4%)、営業利益170億円(前期比+10.0%)と、さらなる過去最高の更新を目指します。データセンターおよび半導体市場向け製品の拡販に加え、国内での価格改定(2026年3月より実施)が利益を押し上げる見込みです。また、2026年1月には米国の旧本社の土地・建物を譲渡しており、約11億円の固定資産売却益を特別利益に計上する予定です。 長期経営ビジョン「Beyond New Heights 2030」の実現に向け、第2期中期経営計画では3カ年で総額600億円の投資を計画。うちM&A枠に200億円、戦略投資(IT・DXや環境投資を含む)に260億円を配分しており、非連続な成長に向けた体制構築を急いでいます。採用面では、グローバル最適地生産の推進やDXによるデータドリブン経営を支える人材、そしてインドやベトナム等の成長エリアでの事業を牽引するグローバル人材が特に重要視されています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
キッツは現在、単なる「バルブメーカー」から「流体制御のトータルソリューションプロバイダー」へと進化を遂げる過渡期にあります。BU制への移行や、インドのパイプ・バルブメーカーであるHPE社の買収など、組織・事業の両面でドラスティックな変化が起きています。伝統ある安定基盤がありながらも、グローバルでの事業構造変革に主体的に関われる点は、キャリアアップを志す方にとって極めて魅力的な環境です。脱炭素(水素社会)や半導体といった最先端分野への貢献を軸に動機を構成すると良いでしょう。
面接での逆質問例
「2025年からのビジネスユニット制(BU制)導入により、現場の意思決定スピードや、各市場での開発・営業・製造の連携にどのような具体的な変化が現れていますか?」 「メタルソリューション事業への名称変更に伴い、従来の素材供給中心から『新素材の精密加工』へと領域を広げられていますが、この戦略を成功させるために、現在の現場に不足している、あるいは求めている技術・知見は何でしょうか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2025年度12月期 通期決算説明会(決算補足説明資料)



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