2021年06月21日
住友グループでタイヤメーカー大手の住友ゴム工業(以下、住友ゴム)への転職。採用面接は新卒の場合と違い、仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので、事前にしっかり対策をすすめましょう。
タイヤやスポーツ用品の製造・販売を手がける住友ゴム。タイヤメーカーの売上高ランキング(2018年)では、世界トップのブリヂストンに次いで国内2位、世界でも5位という位置にいます。
口コミには、「年功序列」「学歴重視」「社内政治が大事」「ローカルルールが多い」など、保守的な社風を思わせるキーワードが並びます。一方で、「若い時から大きな仕事を任せてもらえる」「自ら考え、会社にとってメリットがあれば基本的に自分次第で実現できる」というように、年齢や役職にかかわらず、幅広く仕事を手がけられるチャンスも。こうした口コミからは、古い体質を残しながらも、実力を重んじるフラットな気風への変化が感じられます。
そうした変化の兆しは、女性の働き方にも見られます。低燃費タイヤの「エナセーブ」が女性技術者によって開発されたのは、同社ではよく知られていることですが、口コミにも「管理部門では(女性の)登用を進めている」「技術部門にも新人の女性が配属されるようになっている」というコメントが見られ、かつての男性中心の体制から徐々に変わってきていることがわかります。
また、同社が重視する活動のひとつに、「GENKI活動」(みんなが元気になる活動)があります。これは、従業員が中心となってボランティアや環境保全などの社会貢献に取り組むプロジェクトで、「各事業所で活動を個別に行っており、それぞれ非常に良い活動」と評価する声がある一方、「休日に出勤してお祭りやイベントに参加しなければならない場合がある」「基本的に業務外の扱いだが、半ば参加が強制される」といった声も。住友グループには、「住友の事業は住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するものでなければならない」という“住友事業精神”が存在します。これは住友グループの根幹をなすものですので、この精神に基づいた活動に対して理解を深める必要があるでしょう。
住友ゴム コーポレートサイトより
総じて、保守的な体質を残しながらも、新しい気風を取り込もうとしている住友ゴム。面接にあたっては、仕事の意義はもちろんのこと、こうした社風や職場環境を踏まえたうえで自己分析をおこなってみてください。
書類選考→筆記試験(適性検査)→面接(2〜3回)→内定という流れが多くなっています。また、最終面接は役員との面接になることが一般的です。
現在、同社の中途採用は、転職エージェントを通じた募集のみとなっています。そのため、選考フローが多少異なる可能性がありますので、注意してください。時期によってはコーポレートサイトで中途採用の募集がおこなわれますので、定期的に情報をチェックすることをおすすめします。
オーソドックスな内容がほとんどです。「これまで力を入れたことは何か?」「入社後にどんな貢献ができるか?」「給与水準は納得できるか?」「海外勤務は可能か?」といった質問が多く、どれも明確に答える必要のあるものばかりでしょう。こうした質問を通じて面接官が確認したいのは、「実際に一緒に働ける人か?働きたいか?という点だ」と、ある面接経験者は振り返ります。つまり、同社のカルチャーにフィットした人材であるかどうかが重要なポイントになるわけです。「住友系の旧い部分を引きずっていることもあり、いわゆる外資的な方よりも日系的な考えを持った方も求められているという印象を受けた」という口コミもあります。
面接は、多くの場合、フランクな雰囲気のなかでおこなわれます。圧迫感を感じたというコメントは見受けられませんが、「(関西の会社のため)関西弁が出てくるので、和やかな面接中も吟味されているような居心地の悪さを感じた」というコメントも。そうした状況になりうることも、頭の片隅に入れておくといいかもしれません。
住友ゴムは2020年2月に、2025年までを見据えた新中期計画を発表しました。この計画の柱となるのは、「高機能商品の開発・増販」「新たな価値の創出」「ESG経営の推進」という3つのValue Driverです。これらを実行することで、企業の経済的・社会的価値のさらなる向上を目指す方針です。
住友ゴム 新中期計画資料より
もう少し具体的に見ていきましょう。
まず、「高機能商品の開発・増販」では、高機能タイヤをグローバルに増販することを柱に、そのための技術開発や供給能力の強化を図ります。そのほか、スポーツ事業についてもグローバル展開をすすめる方針です。
次に、「新たな価値の創出」では、新しいモビリティ社会がタイヤに求める価値を創出していくための取り組みをおこなうとしています。
最後に、「ESG経営の推進」では、住友事業精神を土台とした事業活動やGENKI活動等を通じ、SDGs達成への取り組みを推進する方針です。
面接にあたっては、新中期計画を理解し、自己分析に落とし込む必要があります。そのうえで、自分がどんな貢献ができるのかを具体的に語れるようにしておきましょう。
面接では「なぜ住友ゴムなのか?」という問いに対し、説得力のある回答をすることが重要です。そのためには、他社と比較したうえでの客観的な分析が役に立ちます。
たとえば、タイヤを手がける競合他社と比較して、マーケットでの優位性、製品・サービスの強み、弱みなどを洗い出してみるのも一案です。その際、国内企業だけではなく、転職者の多くが併願を考えるであろう外資系も含めて分析してみてください。組織体制や企業文化、人材マネジメントに至るまで、企業ごとに特色があることがわかるはずです。
ここでは、4社をご紹介しますので、分析の参考にしてみてください。
住友ゴムが目指している方向性や、求める人材像が分かってきたのではないでしょうか。
住友ゴムの場合、すべての根幹にある“住友事業精神”を理解すると同時に、新中期計画への理解を深めておくことが大切です。また、古い体質を残しながらも、新たな気風も感じられる社風の中で、「ともに働きたい人材」と印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくとよいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
住友ゴムの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
やや保守的な社風や“住友事業精神”を理解し、こうした環境の中で前向きな仕事ができる人材であることをアピールする。
中期経営計画を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
競合他社についても研究し、「なぜ住友ゴムか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
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