2021年06月21日
競技用シューズに強みを持つスポーツ用品メーカー、アシックスへの転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策をすすめましょう。
アシックスは1949年にスポーツシューズメーカーとして創業し、以来マラソンなど競技用のシューズやウェアに強みを持つ企業です。2017年にフィル・ナイト氏によって書かれたNIKEの創業ストーリーを綴った「SHOE DOG」には、前身である「鬼塚株式会社」が描かれています。
2018〜2019年における国内スポーツメーカー市場ではシェア第一位を誇り、欧米や東アジアを中心に積極的に海外展開を行っています。また、同社が展開するスニーカーブランド「オニツカタイガー」は「ヴァレンティノ」や「シュウウエムラ」などとコラボし、スポーツファッションブランドとしても人気を得ています。
同社の口コミには、「トップアスリートが製品を使っていることがモチベーションになる」「スポーツの話題で盛り上がることが多い」といったものが多く見られ、スポーツと自社製品を愛する人たちによる堅実な社風がうかがえます。一方で、「グローバル化が進んでいるので英語力が試される」「若手でも実績を積めば登用される」といった口コミもあり、国内外でさらに成長するために事業を拡大している経営戦略の影響が見受けられます。
スポーツ用品メーカーならではのスポーツを通じた価値創造や、スポーツマンシップに沿った考え方は、同社が「ASICS SPIRIT」として掲げる創業哲学やビジョン、バリューに現れています。こうした、スポーツ好きで自社製品に愛着を持つ社風にフィットする人材かどうかが、面接を通じて見極められるでしょう。
ASICS SPIRIT
アシックスの中途採用については、コーポレートサイトの「キャリア採用情報」に詳細が記載されています。2020年3月現在、企業法務、直営店などの販売スタッフが募集されていますが、採用が充足されたら公開は停止されるため、随時確認が必要です。希望の職種が公開されていなくても、「キャリア登録」で履歴書・職務経歴書などの情報を登録することで、経験に合う職種で採用の可能性がある場合には選考に進むことができます。
応募は「キャリア採用情報」の応募職種の詳細からおこないます。アカウントを作成した上で履歴書・職務経歴書を提出する、といった流れです。採用情報に記載はありませんが、口コミによると書類選考のあとに2〜3回の面接を経て、内定に至るようです。
英語力が問われる職種では、英文レジュメもあわせて作成しておくと語学力のアピールになるため、余裕があれば取り組むと良いでしょう。
面接での質問は、志望動機や転職理由といったオーソドックスなものが中心で、おおむね和やかな雰囲気で進むことが多いようです。同じ内容をさまざまな観点から問われたり、深堀されることもあるようなので、これまでの経歴や実績、仕事をする上で大事にしていることなどを整理しておくとよいでしょう。
また、「スポーツは好きですか?」「普段スニーカーは履きますか?」といった、スポーツメーカーならではの質問もあるようです。事前に直営店やさまざまなショップを訪れ、他メーカーのシューズと履き比べてみるのもよいかもしれません。あわせてアシックスが展開するビジネスシューズブランド「asics WALKING」なども調査し、自分なりの感想を持っておくと、面接の際に同社への興味の深さをアピールできます。
併せてコーポレートサイトの「IR資料」にある各種資料や直近のニュースリリースにも目を通し、理解度を深めましょう。
アシックスの面接を受ける前に、企業戦略「ASICS Growth Plan (AGP) 2020」を理解しておきましょう。
アシックスは2015年に中期経営活動として「ASICS Growth Plan (AGP) 2020」を発表しています。「選択と集中による持続的成長」と「成長分野へのリソース重点配分」を方針として掲げ、アメリカ市場でのランニングシューズの拡大、ECとデジタルマーケティングの強化を目標として据えています。特に、ランニングシューズ市場が世界最大規模であるアメリカにおいて、その分野の拡大は重点目標となっています。
また、収益性の改善分野として、「アパレル」、「競技シューズ」、「直営店」、「業務プロセス」をあげています。アパレル分野では、2017年頃にファッショントレンドにもなったアスレジャースタイルを好む層への販売促進を主な戦略とし、競技シューズ分野では選択と集中の強化、直営店の運営は不採算店舗の見直しやMDの強化、業務プロセスでは研究開発から生産、販売までの一連の流れの効率化や生産性向上を目指しています。
加えてAGP2020では、下図の7つをコア戦略としています。AGP2020の内容はもとより、最新のニュースリリースやIR情報に目を通し、進捗状況や内容に変更がないかを面接の前に確認しておきましょう。
AGP2020 コア戦略
アシックスの選考を通じて聞かれる質問のひとつに「なぜアシックスなのか」と志望動機を問うものがあります。面接官はこの質問を通じ、「アシックスへの熱意」や「入社後に長期に渡って活躍できる人材か」ということ、また「アシックスの戦略や社風を理解しているか」ということを判断しています。
アシックスの中期経営計画「AGP2020」や創業理念を理解するとともに、競合他社についても情報収集し「なぜアシックスか」という問いに対して、面接官が納得する、明快な答えを出せるように準備をしましょう。具体的には、下記のような企業について調べておくと良いでしょう。
●NIKE
●adidas
●株式会社デサント
●ミズノ株式会社
アシックスが目指している方向性や、どういった人材を欲しがっているのかが企業研究を通じて分かってきたのではないでしょうか。
アシックスは、スポーツに興味があり製品に愛着を持つ人が多い、スポーツ用品メーカーならではの社風のようです。選考を通じて複数回「なぜアシックスか」と質問される傾向があることからも、「アシックスの製品が好き」であることが同社の一員として活躍するには大切な要素のひとつだとうかがえます。
また、近年は海外展開にも積極的で、欧米やアジアのマーケットでアシックスやオニツカタイガーブランドをどう拡大していくか、ということに注力しています。
このような社風や会社の方向性を理解し、アシックスの一員として活躍するイメージを持つことが選考にのぞむ上では重要です。コーポレートサイトの「トップメッセージ」やアニュアルレポート、アシックス通信など各種IR資料にも目を通し、理解度を高めておきましょう。その上で、「アシックスで活躍できる人材」と印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくとよいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
アシックスの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●スポーツを好み、自社製品に愛着を持つ社風を理解し、その環境で活躍できる人材だとアピールする。
●AGP2020を理解し、それに沿った自己分析を行い、自己PRのにつなげる。
●競合他社について研究し、「なぜアシックスなのか」について明確に答えられるよう準備をする。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
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