2021年06月21日
学習塾「ena」や各種予備校を運営し、教育事業を展開する学究社への転職。中途採用面接では新卒採用の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を問われるほか、キャリアシートからは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので、入りたい会社に合った対策をしましょう。
学習塾「ena」小学部~高校部をはじめ、芸大・美大受験用予備校「新美」、看護系・医療技術系受験用予備校「新セミ」など、東京を中心に関東圏で教育機関を運営する学究社。1972年東京都国立市に「国立学院」を創立したことから始まり、1987年にはニューヨーク校を開設しアメリカに進出しました。現在はアメリカに11校のほか、イギリス、中国、ドイツ、シンガポールなどに「ena 国際部」も開校しています。
以上のように、多角的に塾・予備校を運営する同社。少子化が進行している昨今ですが、売上高・営業利益・経常利益のいずれも右肩上がりの実績を記録しており、業績は好調といえます。
学究社 コーポレートサイト 事業実績より
代表取締役会長兼社長である河端真一氏は、同社の方針として、「利潤追求を超えて社会貢献し、100年後も存在意義を失わない組織を目指す」としています。塾生たちに真摯に向き合い「生きる力」を体得できる場をつくるため、社員一人一人に対しても、革新的で高品質な仕事ができることを求めています。
このように利潤追求より社会貢献を重視するという同社ですが、口コミを見ると、売上に対してやや厳しく追求している様子がうかがえます。「営業がとにかく多い」といった声があるほか、たびたび本社から厳しいノルマも課されるようです。一方で、「生徒には喜んでもらえることが多い」という意見も多数あり、社員の多くは教育にやりがいを感じながら働いています。同社では、売上の追求とやりがいのバランスをとりながら働くことが求められるでしょう。
「生徒に『生きる力』を体得できる場を提供しながら、利益も追求していく」。採用面接においては、こうした社風に馴染み、この会社で働き続けることができそうか見極められます。
同社では、「教師職(集団指導)」「教師職(個別指導)」「事務職」「予備校運営職」において正社員採用をおこなっています。採用は校舎ごとにおこなわれており、採用サイト内で各職種をクリックすると、現在募集されている校舎を検索することができます。
いずれの職種でも、まずはWEBから応募し、書類選考がおこなわれます。書類選考は1週間程度で結果が通知されます。その後は、それぞれ以下のような流れで選考が進みます。内定までは「2~5週間を予定」との記載があり、応募者の都合に合わせて進めることができるようです。
教師職:予備校運営職:1次選考(1次面接・志望動機作文)→2次面接→内定
事務職:人事面接→筆記試験(志望動機作文)→最終面接→内定
教師職・予備校運営職は未経験者でも応募することができますが、事務職は「簿記3級以上」「経理職としての2年以上の実務経験」が必須となっています。そのほか細かな条件についても、採用サイトで確認してから応募しましょう。
面接では「転職した理由」や「入社後にどのように活躍できるか」など、一般企業と同じような内容を問われる傾向が強く、教育に特化した質問をされたという口コミはあまり見られません。これは、同社が組織としての存在を維持するために、売上の追求を重視しているからだと思われます。
回答する際は教育に携わることのやりがいはもちろん、どのように利益を上げていけるかという点を重点的にアピールしてください。教育業界が未経験の人でも、前職で売上に貢献した経験を話すと効果的でしょう。
また、いずれの職種でも採用フローに「志望動機作文」が含まれており、面接ではこの作文の内容に触れられると考えられます。書いたことをメモしておくなどして忘れないようにし、作文の内容を深堀するかたちで受け応えができるとよいでしょう。
学究社の面接を受けるにあたっては、定期的に策定される同社の戦略を理解しておくことが必要です。
同社は、都立中高一貫校・都立難関高校における合格実績の高さを強みとして、さまざまな具体的戦略を策定しています。採用面接において重要となる戦略としては、「新規校舎展開」「内部拡充」「人材の確保」が挙げられるでしょう。「新規校舎展開」の施策として、同社は東京東部・北部に新規校舎を開校していき、この地域の売上を強化するとしています。応募する際は、新規校舎に的を絞ってみてもいいかもしれません。
学究社 2020年3月期 第2四半期決算より
「内部拡充」施策では、カリキュラム・教材・映像・研修のそれぞれにおいて、内容の充実を図ります。とくに新型コロナウイルスの感染拡大防止が叫ばれる昨今では、映像による授業配信が重視されるでしょう。こうした教育方法について、効果的なアイデアを提案できるような人材が望ましいと推測できます。
そして同社では、「人材の確保」も重要な戦略のひとつであるとしています。業界経験者は、前職における塾生の合格実績や、おこなってきた授業のアイデアなどをまとめておきましょう。「新規校舎の運営に積極的に取り組み、教育内容の充実を推進できる」人材であるとアピールしてください。
面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ学究社なのか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「教育業界に向いているか」「それまでの経験を同社で生かせるのか」といった点はもちろん、「本当に同社の特色を理解しているのか」ということです。
業界や職種の枠を超えて学究社という企業について理解するためには、競合となりやすい企業についても調べておく必要があります。他社との違いを明らかにしたうえで、「なぜ学究社なのか」について、説得力のある答えを用意しておきましょう。例として、以下のような企業と学究社との違いを調べてみてください。
学究社の社風や目指している方向性を理解することで、同社がどのような人材を求めているのか分かってきたのではないでしょうか。
このように、学究社の採用面接を受ける前には、前職での経験を振り返り自己分析をおこなうことや、他社研究を踏まえ志望動機を整理することが大切です。そして面接の場では、「生徒に『生きる力』を体得できる場を提供しながら、利益も追求していく」という社風を意識して、「新規校舎の運営に積極的に取り組み、教育内容の充実を推進できる」人材であると印象付けられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくことが望ましいです。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。このような質問をされたらどのように答えるか、事前にシミュレーションしておき、実際の面接の際は落ち着いて回答しましょう。
学究社の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
「生徒に『生きる力』を体得できる場を提供しながら、利益も追求していく」という社風を意識して、「新規校舎の運営に積極的に取り組み、教育内容の充実を推進できる」人材であることをアピールできるよう、具体的なエピソードを用意する。
学究社の「今期の戦略」を理解し、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
競合他社についても研究し、「なぜ学究社なのか」に対する答えを明確にしておく。
これらについて面接の前によく考えを深めておき、当日は落ち着いて理路整然と話し、能力をアピールできるよう心がけましょう。
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