0 編集部が注目した重点ポイント
① ばね事業が牽引し営業利益を大幅に改善
2026年3月期において、ばね事業の営業利益は前期比で+98.5%と飛躍的な成長を遂げました。特に、スマート端末向けヒンジなどで培った生産・組立基盤を活かした精密部品の量産立ち上げが収益に大きく貢献しています。加えて、国内ばねにおける売価およびコスト改善の進捗も利益率の向上を後押ししており、事業全体の収益構造が強固になりつつあります。
② 鋼材事業は高炉トラブル影響を乗り越え回復へ
国内の特殊鋼鋼材事業は、室蘭コンビナートでの高炉トラブルや火災事故による生産性悪化で一時的に大きな影響を受けました。しかし、2026年4月には高炉の操業が再開し、次期(2027年3月期)の第2四半期以降には本格的な収益回復と正常化が見込まれています。今後は量に依存しないマージン改善へとシフトし、力強い反転攻勢が期待される重要なフェーズを迎えています。
③ 安全保障・エネルギー関連の新工場を立ち上げ
機器装置事業等において、中長期の成長ドライバーとなる安全保障やエネルギー関連需要を取り込むため、新工場の建設と立ち上げが実行されました。この設備投資により、防護装備品や電力機器の旺盛な引き合いを確実な受注へと結びつける供給能力が整備されており、今後の三菱製鋼を支える新たな収益の柱として機能していく戦略的マイルストーンとなります。
1 連結業績ハイライト
出典:三菱製鋼_決算説明会資料_2026年3月期.pdf P.3
売上高
1,545億円
前期比 △3.1%
営業利益
47億円
前期比 △27.0%
経常利益
40億円
前期比 △17.2%
当期純利益
30億円
前期比 +29.3%
2026年3月期通期の業績は、売上高が1,545億5,700万円(前期比△3.1%)、営業利益が47億8,800万円(同△27.0%)となりました。ばね事業や機器装置事業が順調に推移し精密部品などが大きな収益貢献を果たしたものの、国内鋼材事業における高炉トラブルや火災事故に伴う売上数量減および生産性悪化が重くのしかかり、全体としては減収減益での着地となりました。一方、純利益については前期の特別損失解消や固定資産売却益などにより、前期比増益を確保しています。
当期は一時的な悪材料が業績を押し下げたものの、次期(2027年3月期)については高炉トラブルの影響解消と安定操業の回復を見込んでおり、売上高1,660億円(+7.4%)、営業利益64億円(+33.6%)と大幅な増収増益を計画しています。特に第2四半期以降からの急速な業績回復が期待されており、成長軌道への回帰に向けた進捗は概ね順調であると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:三菱製鋼_決算説明会資料_2026年3月期.pdf P.6
ばね事業
【事業内容】 自動車・建設機械向けの巻ばねや板ばね、スタビライザのほか、精密ばね、精密プレス部品などの開発・製造を行っています。
【業績推移】 売上高は762億3百万円(前期比+15.3%)、営業利益は39億8,100万円(同+98.5%)と飛躍的な増収増益を達成しました。
【注目ポイント】 スマート端末向けヒンジなどの技術を応用した精密部品の量産が本格化し、収益性が大幅に高まっています。また、商用車・車両用ばねにおいて海外(北米・欧州・インド)市場への展開や、製品の高付加価値化に向けた開発ニーズが急増しており、高度な設計・評価スキルを持つエンジニアの活躍が期待されています。
特殊鋼鋼材事業
【事業内容】 自動車や産業機械などに使われる炭素鋼、低合金鋼、ばね鋼などの特殊鋼鋼材の製造および販売をグローバルに展開しています。
【業績推移】 売上高は649億5百万円(前期比△20.4%)、営業利益は△10億2,400万円の損失(前期は33億円の黒字)となりました。
【注目ポイント】 室蘭での高炉トラブルという一時的要因で苦戦しましたが、来期からの本格回復が見込まれます。また、海外(インドネシア等)では短納期・小ロットを強みに現調化ニーズを取り込んでおり、高品質材の玉成や生産安定化を推進するための品質保証や製造プロセス改善を担う人材のニーズが高まっています。
素形材事業
【事業内容】 特殊合金粉末、精密鋳造品、一般鍛鋼品など、次世代製品のコアとなる高機能材料や部材を開発・提供しています。
【業績推移】 売上高は98億3,400万円(前期比+6.6%)、営業利益は8億1,400万円(同+98.0%)と安定した増収増益を記録しました。
【注目ポイント】 新鋼種の量産開始を見据えた特殊合金粉末の新ライン増設など、次期以降の中長期的な成長に向けた戦略投資が進行中です。軟磁性粉末やMIM(金属粉末射出成形)向け粉末など、EVや電子部品向けの高機能材料に関する研究開発と量産化技術を牽引できるプロフェッショナルが求められています。
機器装置事業
【事業内容】 鍛圧機械や産業機械、環境リサイクル機器のほか、安全保障・エネルギー分野向けの防護装備品などを製造しています。
【業績推移】 売上高は117億7,100万円(前期比+12.6%)、営業利益は8億9,000万円(同+25.6%)と順調な伸びを見せました。
【注目ポイント】 防護装備品や海外電力機器の堅調な需要を背景に、新工場を立ち上げて供給能力を大幅に拡張しました。また、洋上風力関連部材市場への参入を果たすべく大型ベンディングロールの導入も完了しており、新規事業の事業企画や、大型機械のプロジェクト管理を推進する人材の重要性が高まっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:三菱製鋼_決算説明会資料_2026年3月期.pdf P.20
新たに策定された「2026中期経営計画」では、従来の国内鋼材事業への依存から脱却し、「精密部品」「特殊合金粉末」「洋上風力」「安全保障・エネルギー」といった高付加価値な戦略事業を収益の柱として育成する方針が明確に打ち出されています。目標として、2028年度には戦略事業の営業利益比率を65%まで引き上げる意欲的な利益成長シナリオが描かれています。
これを実現するための成長エンジンとして、製造DX(デジタルトランスフォーメーション)やMI(マテリアルズ・インフォマティクス)の活用が全社横断で進められています。品質予測AIの導入や開発リードタイムの短縮など、最先端のデジタル技術と伝統的なモノづくりを融合させる取り組みが加速しており、これらの変革を担うデジタル人材や、新規事業を軌道に乗せる推進力を持ったプロフェッショナルの採用ニーズが一段と高まっています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機作成のヒント
同社は現在、戦略事業の拡大と製造DXによる生産性向上という大きな変革期にあります。面接では、「自身の専門性(技術力、プロジェクト推進力、デジタル知見など)を活かして、精密部品の量産化や次世代エネルギー事業の立ち上げにどう貢献できるか」を具体的に語ることが重要です。単なる素材メーカーにとどまらず、高機能部材で社会課題を解決しようとする姿勢への共感を示すと良いでしょう。
面接での逆質問例
- 御社は中期経営計画で戦略事業の収益化を掲げていますが、私が配属される予定の部署において、その実現に向けた最大のハードルは何だとお考えでしょうか。
- モノづくりの現場で製造DXの推進に注力されていますが、中途採用者に対して、技術の伝承とデジタル変革の融合についてどのような役割を期待されますか。
- 洋上風力や安全保障関連など、新たな事業領域の開拓が進んでいますが、社内の異なる部門間での技術交流や越境配置はどのように行われていますか。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
結婚して産休を経て復帰される方も多い
結婚して産休を経て復帰される方も多いので、女性は働きやすいと思います。全社的にも女性の人数は少ないので、大事にされているように感じます。
(20代前半男性・ルートセールス・正社員) [キャリコネの口コミを読む]借り上げ社宅が激安で住める
報酬は平均的な金額だと思います。ただ、借り上げ社宅が激安で住めるので、目に見えない部分の金額をカウントするとそれなりの額になると思います。査定は上司のさじ加減です。制度と言えるような制度はないです。
(20代前半男性・ルートセールス・正社員) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 三菱製鋼 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 三菱製鋼 2026年3月期 決算および中期経営計画説明資料



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