2021年06月21日
鉄道を中心にレジャーサービスや不動産など幅広い分野で事業を展開している富士急行への転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われるほか、「人がら」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策をすすめ転職を成功させましょう。
1926年に富士山周辺の観光開発を目的として設立された富士急行。1929年に鉄道事業が始まり、ホテルやバスなど観光事業を中心に成長してきました。1969年には自社のアミューズメントパークである富士急ハイランドがオープンし、現在に至るまで多種多様なアトラクションで訪問する人びとを魅了しています。
同社は経営理念として「いつも喜び・感動」を掲げており、富士山を中心とした地域から複合的なアミューズメントとホスピタリティを提供して世界の人びとの心を豊かにすることを目指しています。口コミを見ると「いつも喜び・感動という経営理念があり、社員全員それを胸に働いている」「社風はアウトプットを大切にし、新しいエンターテインメントの創出が求められる」という声があることから、社内に経営理念が浸透していることが分かります。
同社の事業柄、イベント企画や運営の仕事が多いため、拘束時間は長く残業が多くなる傾向にあります。配属先によっては土日出勤もあるのでワークライフバランスを重視したい場合は、自身の理想とする働き方とのギャップなどを踏まえて検討することをおすすめします。
一方で、「運輸、テーマパーク、レジャーなど事業展開が多岐にわたるため、自身の希望する異動がかなえば自己実現が可能です」「仕事量は多いが、自分が成長することのみに焦点を当てた場合、非常に良い経験になると思う」という前向きな口コミも多く見られます。自分のキャリアを広げるために「新しいことへの挑戦を歓迎する」社風で、若いうちから責任のある仕事を任されることもあるようです。
同社は近年のインバウンドの増加により国内だけでなく海外からのお客様にも目を向けています。富士山という世界遺産を持つ地域で、世界から訪問するお客さまに喜びと感動を提供していく。そのために、新しいサービスやエンターテインメントを創り、自身の成長にもつなげる。このことに共感し、経営理念と社風に合致した人材であるかを面接では見極められます。
富士急行の採用ホームページには選考の流れの記載はありませんが、各種求人サイトによると書類選考、1次面接、最終面接、内定といった流れが一般的のようです。
2020年5月現在、中途採用では富士急グループの経営幹部候補として総合職を募集しています。
募集要項によると、入社後は、おおむね3~5年に一度のジョブローテーションがあり、運輸、レジャー、不動産と幅広い分野に携わります。本社や関連会社(出向)をローテーションして現場管理、営業、広報、人事などさまざまな職種を経験し、マネジメント能力を身に付けることを目的としています。
また、事業や職種によって勤務地も異なるため、異動ごとに山梨、東京、静岡、神奈川などが勤務地の候補になります。
仕事とプライベートを含めた今後の自分のキャリアを考えた上で、同社の事業や仕事内容をしっかりと確認しておきましょう。
同社の面接は、志望動機や入社後やりたいことを確認する一般的な質問が多いようです。口コミによると、レジャー施設での勤務もあることから「これから流行しそうなものは?」「屋外に出て勤務する場合もあるので体力に自信はあるか?」といった質問もされています。
また、お客さまと直接コミュニケーションを取る業務も多いため、基本的なあいさつや適切なふるまいができているかどうかも評価のポイントになるようです。
近年では外国人観光客も増えているので、高い英語力やコミュニケーション力が求められています。語学力や対人スキルをアピールできるような具体的なエピソードを用意しておくとよいでしょう。
中途採用では経営幹部候補を募集しているということもあり、面接官は厳しい基準を持って面接を担当しています。自己分析を入念におこない、「自分の目標は何か」を明確にした上で、富士急行でできること、今後のキャリアを語れるように自己PRの準備をしてください。
面接に臨む前におさえておきたいのが、富士急行グループの中期経営計画です。上記でも紹介しているとおり、富士急行は経営理念に「いつも喜び・感動」を掲げています。この経営理念を実現するために、以下のような経営ビジョンを策定しています。
出典:富士急行 中期経営計画資料より
運輸事業の鉄道・バスの安全運行を徹底することはもちろん、レジャーや不動産事業でのホスピタリティを充実させてアメニティビジネスのリーディングカンパニーになることを目指しています。そのためには、周辺の自然や地域社会との共生が欠かせません。
同社は2018~2020年度の中期経営戦略を「Greater Mt.Fuji・Fusion戦略」と名づけ、以下の図のとおり地域と融合(Fusion)して新しい共通価値を作り出し、同社グループの利用者数2000万人を目標としています。
この戦略のために、今後は「リアルとデジタルの融合」「生産性の向上」を推進していく予定です。同社は、鉄道やレジャー施設などのリアルでの体験に強みをもっていましたが、近年の技術革新によりデジタルテクノロジーやデジタルマーケティングの領域にも注力していきます。COVID-19の影響により、リアルとデジタルの融合は加速していくと推測されます。富士急行としての新たな付加価値の創出が求められていくでしょう。
また、事業拡大のためにはヒト・モノ・カネの効率化による生産性の向上が必要です。組織マネジメントや資産効率、財務戦略など、経営の根幹に関わる部分での改善を目的としています。
出典:富士急行 中期経営計画資料より
中途採用者には、経営幹部候補としてこの戦略を十分に理解して実行することが期待されています。それゆえ「会社・地域・自身の成長のために新たなことへの挑戦ができる人材」が求められると考えられます。経営戦略を自分の仕事に落とし込んで業務を進めてきた経験をアピールできると有利になるでしょう。
中期経営計画の研究を通して富士急行への理解がより深まったのではないでしょうか。中途採用面接では、「なぜ富士急行か」という質問に対して的確に回答することが重要です。志望動機に関する質問では、「富士急行の経営理念、目指す姿を理解しているか、実現できる人材なのか」を見極めようとしています。
同社をさらに深く研究するために、競合先と比較して分析することをおすすめします。他社研究から、同社の強み・弱み・独自の戦略が見えてきます。「富士急行だから実現できること」という視点を志望動機に取り入れると、入社への意欲・熱意が伝わりやすくなるでしょう。
富士急行の事業は幅広いですが、売上高のうち約50%をレジャー・サービス事業が占めています。同分野の競合先を以下にあげますので、比較分析してみてください。
同社の求める人材像や目指している方向性が、企業研究を通じて見えてきたかと思います。経営理念と中期経営計画を意識して「地域社会との融合やリアルとデジタルの融合といった新しい付加価値を創出できる人材」であると印象づけられるよう、これまでの経験を振り返り具体的なエピソードを用いてアピールできるようにしておきましょう。
以下、過去の面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされた場合、自分ならどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
ここまで、富士急行の採用面接を受けるにあたって押さえておきたいポイントをご紹介してきました。これらを踏まえて、次の3点を準備しておきましょう。
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