2021年06月21日
私たちの生活に欠かせない乳製品を作り続ける老舗メーカーの雪印メグミルクへの転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策をすすめましょう。
1925年、北海道の酪農家の悲願を果たすため、バターの製造と販売から始まった雪印メグミルク。翌年には「雪印」を商標と定め、これまでに「さけるチーズ」や「ネオソフト」、粉ミルクの「ぴゅあ」「たっち」など、数々のヒット商品を生み出してきました。2020年現在では、乳製品だけでなく、特定性表示食品やデザート、コーヒーやジュースなどの飲料製品など、さまざまな商品を製造・販売しています。
雪印メグミルク コーポレートサイト「企業理念」より
同社の企業理念では、「消費者の重視経営の実践」「酪農生産への貢献」「乳(ミルク)にこだわる」の3つの使命を掲げています。消費者の声に耳を傾け、安心・安全な商品を提供するという義務を守り続けなければならないということ。日本の酪農の維持と発展のため、乳製品や牛乳のさらなる需要拡大に努めること。これらはすべてミルクにこだわり続けることで得られるものであり、ミルクの可能性や価値を世界中に広めていくことを使命としています。
口コミでは「福利厚生が充実している」「査定の制度が整備されている」などの待遇の良さを評価する声が多くあがっています。コンプライアンスの徹底や女性活躍の推進などに注力していることからも、従業員が働きやすい環境であることがうかがえます。基本的には穏やかな雰囲気の職場が多いようですが、中には体育会系の工場も存在しており、配属先によって環境はやや異なるようです。
「未来は、ミルクの中にある。」をモットーとする同社では、乳製品を通じて日本の酪農や消費者、社会へ貢献することを信念としています。これらの企業理念や信念に共感し、「ひとつのことにこだわり続ける粘り強い探究心、商品を提供することへの強い責任感」を持った人材であるこということをアピールしましょう。
同社の中途採用はコーポレートサイトに掲載されていないため、転職サイトで検索する必要があります。2020年6月現在、募集をおこなっている職種は生産技術職です。勤務地は全国転勤型と地域限定型から選択できますが、どちらも入社後2年経過すると転換が可能になりますので、生活環境の変化などに合わせて選びましょう。コロナの影響などもあり募集が少ない状況ですが、順次募集は再開されていきますので、希望職種がない場合はこまめにチェックしてください。
選考フローの詳細は、書類審査通過後に筆記試験、面接は2〜3回を予定しています。面接は主に人事部や勤務地の所長ら2〜3名とおこなわれ、最終には取締役が参加することもあるようですが、圧迫面接とは無縁の非常に穏やかな雰囲気だといいます。特に変わった質問などはないものの、筆記試験もあるため、しっかりと準備しておく必要があります。
同社の面接では、志望動機やキャリアプランなどに関する一般的な質問が多いようです。口コミによると、「数字は得意ですか?」「原料を輸入し、国内で乳製品を作るとしたら、円高と円安どちらが有利か」など、数学や経済に関する一般教養があるかを問われることもあるようです。他には「当社の好きな商品」を聞かれた経験者もいるため、あらかじめ同社の商品をいくつか購入し、食べた感想などを話せるようにしておくと良いでしょう。
このように、質問内容に関してはどの企業でも出されるような一般的なものです。ただし、中途採用者の面接では「転職理由」についてかなり詳しく聞かれるとの声がありますので、志望動機と合わせて明確に回答できるようにしておくと良いでしょう。実際に採用された人によると、商品知識や明確な目標を語れる人が、面接官に好印象を与えやすいようです。同社に入社したいという誠実な思いや具体的なキャリアプランを伝えられるよう、準備しておきましょう。
面接を受けるにあたり、中期経営計画について理解しておくことが重要です。
雪印メグミルクグループ コーポレートサイト「グループ中期経営計画」より
2022年度までに実行すべき目標として定められたのは「Transformation(変革)の加速」と「グループ経営の展開強化」です。乳製品事業、市乳事業、ニュートリション事業、飼料・種苗事業の4つの事業における生産・販売の拡大に向けた、具体的な取り組みは以下の通りです。
・バター専門工場の稼働
・健康効果に注目したチーズ製品の需要拡大や機能性ヨーグルトの展開強化
・AI自動検品導入による効率化
・牛乳類事業の黒字化に向けたコストダウンや価値向上
・合併会社設立と新工場建設による飼料の高品質化
2020年現在、乳製品の家庭消費量が増加傾向にあり、それに伴い生乳生産量も増産に転じる見通しが立てられています。また、TPPや日米貿易協定の発効によって乳製品の輸出入が盛んになり、世界での消費も拡大すると見込まれているのです。これらを受け、同社では2026年度末までに営業利益の黒字化達成を目指す方針です。
同社の中期経営計画を理解しておくことは、即戦力となる人材かどうかの判断として採用に大きく影響します。同社はどんな局面に立っているのか、改革によって実現すべきビジョンは何かということを理解し、同社に適した人材であることをアピールしましょう。
面接では「なぜ雪印メグミルクに入社したいのか」という、志望動機に関する質問が必ず出されます。面接官は「この人のキャリアプランは当社で実現可能か」「経歴やスキルは当社で活かせるのか」「どれだけ当社を理解しているのか」など、志望動機だけではない側面も見ようとしています。
同社について、より深く理解するためには他社研究が不可欠です。競合の経営状況や経営方針を知ることで、目標達成のための即戦力となる人材だとアピールすることができます。以下に競合となりうる企業を2社あげましたので、ぜひ参考にしてみてください。
●株式会社明治
●森永乳業株式会社
同社が求める人材像について、少しずつイメージが湧いてきたのではないでしょうか。乳製品への強いこだわりと信念を持った企業であることを理解し、面接では「ひとつのことにこだわり続ける粘り強い探究心、商品を提供することへの強い責任感」を持った人材であることを印象付けられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくことをおすすめします。
以下に、面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。自分ならどう回答するかを考え、シミュレーションしながら面接対策をおこないましょう。
同社の採用面接を受けるにあたり、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●企業理念に共感し、「ひとつのことにこだわり続ける粘り強い探究心、商品を提供することへの強い責任感」を持った人材であることをアピールする。
●同社の中期経営計画を理解し、これに沿った自己分析を行うことで有益な自己PRにつなげる。
●競合他社についても研究し、「なぜ雪印メグミルクなのか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備をおこない、面接では誠意ある言葉で入社への強い思いを伝えましょう。
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