2021年06月21日

【平均年収1353.3万円】日本M&Aセンターの給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【年収研究シリーズ】日本M&Aセンターの年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。


日本M&Aセンターは、1991年に公認会計士や税理士によって設立された、M&A仲介業では日本トップクラスの会社です。
主なクライアントは中堅・中小企業。手がけるM&Aはすべて友好的です。売上高は317.6億円、経常利益は100.3億円(2020年3月期・連結ベース)で、10期連続で過去最高益を更新しています。

また日本M&Aセンターは年収が高いことでも知られています。2020年1月に東洋経済オンラインで掲載された「平均年収が高いトップ500社ランキング」で11位に位置づけており、年収の高さを決め手に考えている就職活動中の学生や、転職を考えている社会人の間でも話題に上る企業です。

それでは、日本M&Aセンターの年収はいったいどれくらい高いのか、またなぜそんなに高いのか、そして就職・転職先として適しているのかを探っていきましょう。

日本M&Aセンターの平均年収はいくらか

それでは、はじめに日本M&Aセンターの平均年収について見ていきます。

日本M&Aセンターの平均年収は、2020年3月期の有価証券報告書によると、1353.3万円です。

キャリコネに寄せられた給与明細から算出した日本M&Aセンター年代別年収レンジは、20歳代で760〜810万円、30歳代で1210〜1260万円、40歳代で1560〜1610万円となっています。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は503.5万円(国税庁・令和元年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ2.69倍の額です。

社員個人の給与明細の内容がキャリコネには数多く寄せられています。

コンサルティング業界の給与明細(キャリコネ)

どの会社も年収の高さは国内トップクラス

日本M&Aセンター・30代・コンサルタント(非管理職) 給与明細

GCA・30代・コンサルタント(非管理職)の 給与明細

日本M&Aセンターの平均年収の推移

続いて、過去5年間における年収の推移を見てみましょう。

下は平均年収と平均年齢の推移を表したグラフです。

日本M&Aセンター過去5年の平均年収・平均年齢の推移

決算月平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数(単体)売上高(連結)純利益(連結)
2016年3月期1237.4万円34.7歳3.8年255人147.8億円47.4億円
2017年3月期1418.8万円35.5歳3.9年271人190.4億円61.5億円
2018年3月期1319.5万円35.7歳4.1年321人246.3億円81.5億円
2019年3月期1413.7万円35.1歳3.8年415人283.4億円89.8億円
2020年3月期1353.3万円34.7歳3.5年531人317.6億円100.3億円

出典:日本M&Aセンター・有価証券報告書

過去5年の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
日本M&Aセンターの平均年収はこの5年で約115.9万円と、大きく上昇しています。昨年からは-60.4万円減額しています。過去5年では3番目の額になりました。

2020年3月期は連結ベースで過去最高の売上と純利益を出していますが、平均年収は下がっています。業績連動型ではないのではないかと推測されます。

日本M&Aセンターの給与が高い理由

手数料収入のビジネスモデル 利益率は50%に迫る

日本M&Aセンターの業績は、この記事の冒頭でもお伝えした通り、売上高は317.6億円、経常利益は100.3億円(2020年3月期・連結ベース)で、10期連続で最高益を更新中。自社の目標を上回る好成績になっています。

M&A仲介成約件数は451組885件で、前期770件を上回っています。単純計算で成約件数1件あたり3588万円の売上です。
この事業がすごいのは、利益率が48%という驚異的なところです。他の業種には見受けられず、東証一部上場企業の中でもダントツです。
利益率の高さは原材料費、設備費、研究開発費などで巨額の費用がいらないこともありますが、この事業の収益モデルにもその秘密はあります。

M&A仲介事業の収益モデルの特徴は、譲渡企業・譲受企業双方から手数料を受け取ることです。

一般的な手数料相場については、売買価格に対する手数料率がレーマン方式と呼ばれる取引の規模ごとの料率で算出されています。例えば10億円の案件を成約させたとすると手数料として3000万円が収益となります。
(相場)
5億円以下・・・・・・・・5%
5億円超~10億円以下・・・4%
10億円超~50億円以下 ・・3%
50億円超~100億円以下・・2%
100億円超・・・・・・・・1%

またこの事業では少ない人数で数多くの案件を回しています。そのため、かなり優秀な人材を集めなければなりません。プレゼン能力、情報処理力、分析力、交渉力の高さといった能力、高度な専門知識と経験を持ち合わせているなど、転職市場でもそうそういない人材です。
そんな人材を確保するために、報酬額を高く設定しています。また巨額の案件を動かした成果に対しての見返りとしてインセンティブ制度も取っています。

日本M&Aセンターが求める人物像は「経営者視点からビジネスを捉えられる方。社会的使命という価値観を共有いただける方。自らの力で必要な措置・企画・解決策を起案し、それを実現する力があるイノベーター気質のある方。」としています。こういう人材はなかなか見つかりません。だからこそ優秀な人材を確保するために高い報酬を呈示していると考えられます。

日本M&Aセンター社員の口コミ(キャリコネ)

競合他社を意にも介さない自信の理由とは

「中小企業のM&Aに参入する企業は多く、最近はここが目立っていると感じるが、 日本M&Aセンターが他社と比べて圧倒的に勝ってることがある。それは……

自己責任&自己責任&自己責任の世界

「全て自己責任で、会社は最大限自分の背中を押してくれる環境を作ってくれていた。 ただし、生き残りをかけて全社員が必死なので、それ相応の……

日本M&Aセンターの職種別年収と給与の内訳

日本M&Aセンターの募集要項には、職種別の初年度想定年収と給与の内訳が書かれています。

職種想定初年度年収内訳
M&Aコンサルタント500~1,200万円月給(50hの時間外手当を含む)+賞与2回+上限のないインセンティブ
M&Aアドバイザー600~1200万円月給(20hの時間外手当を含む)+賞与2回+業績連動賞与+定性評価賞与
M&Aコンシェルジュ400~800万円月給(50hの時間外手当を含む)+賞与2回+インセンティブ
コーポレートアドバイザー・税理士/会計士 700~1200万円
・弁護士/司法書士 500万円~
・法務 400~700万円
・税理士/会計士 月給(20hの時間外手当を含む)+賞与2回+スタッフインセンティブ+案件成約インセンティブ+決算賞与
・弁護士/司法書士/法務 月給(20hの時間外手当を含む)+賞与2回+案件成約インセンティブ+決算賞与
ドキュメントデザイナー400~700万円月給+賞与2回+業績賞与+定性評価賞与
案件審査
市場分析・リサーチ
500~1,000万円月給(20hの時間外手当を含む)+賞与2回+スタッフインセンティブ+決算賞与
WEBエンジニア400~800万円月給(20hの時間外手当を含む)+賞与2回+業績賞与+定性評価賞与
社内SE500~800万円月給(20hの時間外手当を含む)+賞与2回+業績賞与
総務・法務600~900万円月給(20hの時間外手当を含む)+賞与2回+決算賞与

出典:日本M&Aセンター・採用募集要項

M&AコンサルタントとM&Aアドバイザーの違いは、M&Aコンサルタントがソーシング業務・提案・企業評価・マッチング・条件調整・クロージングなど、M&Aに関わる一切の業務を担当するのに対し、M&AアドバイザーはM&Aにおける一連のプロセスの実行・管理を行うエグゼキューション・サポートを担当することです。M&Aコンシェルジュは会計事務所・税理士事務所への営業フォローが業務となっています。

他の特徴としては、日本M&Aセンターは基本給が高く賞与が少なめな構成になっていることです。業績変動分が少ないので安定した高収入を得られます。

日本M&Aセンターで働く上での課題・懸念点は

激務とプレッシャーに挟まれ

M&A仲介の仕事は激務であり、能力の高さが求められます。

仕事はプロジェクト単位で動き、人によっては2つ~3つ掛け持ちすることもあります。そのため調査や資料作りのために休日まで使うこともあるようです。
顧客は全国にいますから出張も度々、会社の机に座っている暇もありません。
資料提出などクライアントの急な要求に答えなければならないこともあります。
そういった理由から100時間を超える残業が常態化しているといわれます。

そして、M&Aの仕事には大きなプレッシャーが掛かります。

譲渡、譲受側の思惑をうまく調整すること、多額のお金のやり取りを扱うことなど気が休まることがありません。M&Aによって会社や事業部が存続させることは、そこに働く社員を守ることにも繋がります。ややもすればその人達の人生を変えてしまう仕事になりうるのです。

日本M&Aセンター社員の口コミ(キャリコネ)

社員のほとんどが仕事の糧にしていることは?

「この仕事は、人の人生を左右出来るから面白いという面はある。 圧倒的多数の社員が使命感や大きな仕事に対するやりがいで働いていると言うが……

自己責任&自己責任&自己責任の世界

「とにかく派手好き。パーティが大好き。社内会議も有名ホテルをワンフロア貸し切り。 社員は仲が良い。当然自分の仕事を円滑にするためであるが、ただし……

日本M&Aセンターの年収以外のメリットは

まだまだ成長を続けるM&A

日本M&Aセンターが主戦場としているのは中小企業のM&A。近年、中小企業は経営者の高齢化と共に、後継者がおらず会社を畳んでしまうという事態が増えてきています。
M&Aは事業継承という重要な役割を担っており、またM&A市場も順調に成長を続けています。M&A仲介業の需要はますます高まっていくことが予想されます。

そして、日本M&Aには優秀な社員が集い、その環境の中で同僚と切磋琢磨していけること、その成果として大きなお金を動かせたという自信が得られること、そしてなにより、事業を継承するお手伝いができたことにより、技術の灯火を消すことがなかったことに加えそこに働く従業員の生活を守ったという社会的意義を感じることができることがこの会社で働くことの醍醐味と言えるのではないでしょうか。

日本M&Aセンターと競合他社の平均年収を比較

平均年収1300万円超でも業界では4番手

社名平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数(単体)従業員数(連結)売上高(連結)
M&Aキャピタルパートナーズ2269.9万円31.4歳3.1年122人199人118.71億円
GCA2213万円38.1歳5.5年141人446人237.19億円
ストライク1357.4万円35.5歳2.6年140人140人69.17億円
日本M&Aセンター1353.3万円34.7歳3.5年531人582人320.1億円

日本M&Aセンターの同業界であるM&A仲介・アドバイザリーのM&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、GCAの4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、M&Aキャピタルパートナーズが2269.9万円、ストライクが1357.4万円、GCAが2213万円です。
この4社の中で最高額はM&Aキャピタルパートナーズの2269.9万円で、最低額が日本M&Aセンターの1353.3万円。その差はおよそ917万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では日本M&Aセンターは一番下ですが、それでも年収は1300万円を超えているので十分高いと言えます。

出典・参考
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2019年企業活動基本調査速報-2018年度実績-」
国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2020年版 業種別 モデル年収平均ランキング」

転職系アフィリエイトサイト・転職エージェントサイトらによる模倣・盗用・剽窃を一切禁止します。 悪質なサイトの特徴はこちらでご確認ください。もし模倣・盗用・剽窃を発見された方は「お問い合わせ」よりお知らせください。


この記事の執筆者