2021年06月21日
総合通信大手、モバイルや光回線などを事業展開するKDDIへの転職。中途採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果などを具体的に問われる他、キャリアシートでは見えてこない「人間性」も見られます。即戦力として、そして一緒に仕事をする仲間としても多角的に評価されるので、事前にしっかり対策しておきましょう。
「au」として展開するモバイル事業で、NTTドコモに続き国内2位のシェアを誇るKDDI。2000年にDDI(第二電電)、KDD(国際電信電話)、IDO(日本移動通信)が合併したことにより、株式会社ディー・ディー・アイ(KDDI)として発足しました。
発足当初は通信事業が中心でしたが、現在はこれを基盤として、コンテンツ、コマース、エネルギー、金融、教育など、生活に不可欠な分野へと次々に事業拡大しています。特に、次世代モバイル通信「5G」は、医療機器や車の自動運転等でも活用が期待されるなど、通信会社の枠を超えた新しいビジネスを生み出しています。
こうした事業成長を支えているのは、設立以来10数社を超える企業と合併や連結子会社化を繰り返してきたからこその「ベンチャースピリット」。2018年4月に新社長に就任した高橋氏は、社長就任会見の中で、今後の目指すべき姿として「ワクワクを提案し続ける会社」と表現しました。その言葉通り、近年のKDDIは様々な事業機会を発掘し、「ワクワクする」ような新サービスを生み出すためのオープンイノベーションにも積極的に取り組んでいます。
中でも特徴的なのが、事業共創プラットフォームの「KDDI∞Labo」。これは、趣旨に賛同する多種多様な企業のアセットやノウハウを結集し、スタートアップ企業との事業共創を推進する構想で、社会にインパクトを与える新たなサービスやプロダクトの「共創」を目指すというものです。社員の口コミでも「通信という枠にとらわれず、いろいろなことにチャレンジできる」「世の中に大きな影響を与えられる、新しいサービスをどんどん出すことができる」という声が見られるなど、企業風土としても定着し、大きなやりがいにつながっています。
一方、多数の合併を繰り返してきたKDDIでは、その成り立ちゆえに「社内システムがつぎはぎ」「部署同士の横のつながりが希薄」「総じてドライ」「社内コミュニケーションが活発ではない」といった声も見られます。しかし合併時の組織としての順応ノウハウも蓄積されつつあり、「KDDIフィロソフィという、仕事に対する姿勢や考え方を、全社員に浸透させていこうという過渡期にある」という口コミもあるなど、多様な組織文化に横串を通すような全社的な取り組みも行われているようです。
また、合併前の会社の良い組織文化を寄せ集めているため、福利厚生が充実しいるほか、コンプライアンス意識の高い労働環境であると言えます。「休暇制度や住宅手当が充実」「ノー残業デーも設定されており、ワークライフバランスがとりやすい環境」など、社員からの評判も良いようです。
通信事業を核としながらも、ベンチャースピリットを持って「ワクワクする」ような事業に取り組み、新しい価値を生み出す。そして多様な組織文化の在り方を尊重しつつ、組織の一員として新たな風土を築いていく。そんな社風にフィットする人材かどうかを、採用面接では見極められます。
KDDIの中途採用プロセスは、書類選考と2回の面接です。1次面接は現場社員(主に部長クラス)が、最終面接は人事部長が担当するケースが多いですが、最終面接の前に現場社員の面接が2回行われることもあります。応募から内定までの所要期間は1ヵ月~1ヵ月半程度ですが、「内定通知後、入社の意思確認までの期限が2日間だった」という口コミもあるため、選考プロセスの途中でも、入社後の働き方等について具体的に考えておきましょう。
募集職種は、大きく「技術系総合職」と「業務系総合職」の2つに分類されます。「技術系総合職」では、主にネットワークインフラや、クラウド・アプリケーション等の開発・保守・運用を、「業務系総合職」では、主に営業、企画、管理、経営サポート等を担います。担当事業や商品等によって、職種はさらに細分化されるため、「その中でもなぜその職種に応募したのか」という点を明確に説明できるようにしておきましょう。
面接内容には、「ベンチャースピリットを持って『ワクワクする』ような事業に取り組み、新しい価値を生み出す」という社風が大いに反映されています。「1億円あったらどんなサービスを作りたい?」「入社したらどんなことにチャレンジしたい?」といった質問に代表されるように、仕事に対してワクワクした気持ちを持って、新しい価値を生み出せる人材かどうかが評価されます。
また、「あなたの長所を教えてください」「あなたができないことは何?」「友達は自分で作れますか?」のような、人間性や人柄を問う質問も多く見られます。多くの企業と合併を繰り返してきた背景から、様々なバックグラウンドを持つ社員や関係者と協力して仕事に取り組むことも多く、こうした文化に適応できるかを確認していることが分かります。
KDDIの面接対策についてもっと具体的な情報を知りたい場合は、引き続きこの記事をお読みください。面接攻略法や、過去の面接で実際に聞かれた質問内容とその回答例をご紹介します。
KDDIの面接を受ける上では、「KDDIフィロソフィ」と呼ばれる行動指針を理解しておくことが不可欠です。この「KDDIフィロソフィ」は、全5章で構成されていますが、面接の際に特に理解しておく必要があるのは、第3・4・5章の3つです。
●第3章 仕事の流儀
高い志を抱き、具体的な目標を立てる。絶対に達成するという強烈な願望を持ち、
成功するまであきらめずにやり抜く。そして、達成した喜びを分かち合う●第4章 行動の原則
自ら燃える
ジブンゴト化する
スピード感をもって決断し行動する
目線を上げる
チャレンジ精神を持つ
どんな仕事も地道に一歩一歩、たゆまぬ努力を続ける
原理原則に従う
フェアプレイ精神を貫く
闘争心を燃やす
本気、本音でぶつかる
一丸となってやり抜く
外を見て内を知る
常に創造的な仕事をする
能力は必ず進歩する
現地現物で本質を見極める
小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり●第5章 人生の方程式
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
利他の心で考える
常に謙虚に素直な心で
人間として何が正しいかで判断する
感謝の気持ちを持つ
常に明るく前向きに取り組む
これは、KDDIの企業カルチャーの土台となる価値観。しっかりと理解した上で自己分析に落とし込み、面接でこの「KDDIフィロソフィ」に合致する人材であることをアピールしましょう。
第3章「仕事の流儀」は、まさに「ベンチャースピリットを持って「ワクワクする」ような事業に取り組み、新しい価値を生み出す」という社風を表しています。また、第4章「行動の原則」では、チャレンジ精神、責任感、スピード、チームワークが大切にされていることが分かります。
これらを踏まえて、これまでの経験の中で「チャレンジングな目標を立て、しっかりと具体的な計画に落とし込んで実行してきた」というエピソードや、それを遂行する上で「ワクワクする気持ちを持って取り組んだ」「困難な場面もチームワークを発揮して乗り切ってきた」というエピソードがあれば、ぜひ積極的にアピールしましょう「仕事の流儀」「行動の原則」に合致した人材であることが伝わります。
また、第5章「人生の方程式」では、人生を見据えた上での、仕事に対する価値観の共有が求められています。目先の面接だけにとらわれるのではなく、もっと長いで見たキャリアプラン、さらには人生設計をしっかりと描いておくことが大切だと言えるでしょう。ここは特に自分の言葉でしっかりと語ることが必要ですが、その際に「多様性」というキーワードやそれに付随するエピソードを盛り込めば、数多くの合併を繰り返してきたKDDIならではの企業カルチャーとも絡めたアピールにつながるでしょう。
KDDIの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜKDDIか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、KDDIという企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
●株式会社NTTドコモ
●ソフトバンク株式会社
このように、KDDIの採用面接を受ける前には、「KDDIフィロソフィ」の行動指針に基づいた自己分析や、他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、「ベンチャースピリットを持って「ワクワクする」ような事業に取り組み、新しい価値を生み出す」という社風を意識して、チャレンジングな目標を立て、チームワークを発揮しながら着実に実現できる人材であることを印象づけられるよう、様々なエピソードを準備しておくと良いでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
KDDIの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「ベンチャースピリットを持って『ワクワクする』ような事業に取り組み、新しい価値を生み出す」という社風を意識して、「チャレンジングな目標を立て、チームワークを発揮しながら着実に実現できる人材」であることを自分の言葉でアピールする。
●KDDIの行動指針「KDDIフィロソフィ」を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●競合他社について研究し、「なぜKDDIか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
この記事の執筆者