※本記事は、池上通信機株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
池上通信機は、情報通信機器の開発、生産、販売、サービスを一貫して手掛ける企業グループです。同社グループは、国内外で幅広い事業活動を展開しています。
単体従業員数は630名、連結従業員数は774名です。セグメントは情報通信機器の1つです。
主な国内グループ会社は、テクノイケガミ(情報通信機器のサービス、生産)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
池上通信機は、従業員一人ひとりの働きがいと生きがいを重視し、多様な人材が活躍できる職場環境の整備に力を入れています。経営戦略と連動した人材育成と活用を推進し、役割に応じた公正な報酬制度を設けていることが特徴です。ワークライフバランスの推進やハラスメント防止にも積極的に取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が長期にわたってキャリアを築いている傾向が見られます。平均勤続年数と平均年齢から、経験豊富な人材が多数活躍しており、安定した環境で専門性を深めていける職場であることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,661,526円 |
| 平均勤続年数 | 21.3年 |
| 平均年齢 | 46.7歳 |
| 単体従業員数 | 630人 |
| 連結従業員数 | 774人 |
| 単体のグループ内比率 | 81.4% |
同社は、従業員の退職給付制度として、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。この制度は同社および国内連結子会社に適用されます。退職一時金制度も設けられており、役職者に対しては給与と役職期間に基づいた一時金が支給されます。直近の退職給付債務は313百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
池上通信機は、中期経営計画の実現に向け、人材への積極的な投資を人材戦略の柱としています。技術力、営業力、グローバル力、プロジェクトマネジメント力の強化を図るため、最適な人材の獲得と育成に注力しています。具体的には、管理職教育や職種別教育の充実、キャリア自律の促進、シニア人材の活用に資する人事制度の整備を進めています。
給与は、従業員の役割の大きさや種類に応じて決定される方針です。基本給、諸手当、賞与で構成され、役割給は目標達成度と行動事実に基づく能力発揮度合いで調整されます。給与水準は社会情勢や物価動向を考慮し、定期的に見直されています。
同社グループは、経営ビジョンとして「その実現に携わるすべての人々が生き甲斐と働き甲斐を見出すことのできる企業であり続ける」ことを掲げています。失敗を恐れず挑戦し、情熱を持ってやり抜く、柔軟な発想で行動できる人材を育成目標としています。性別や国籍、採用方法に関わらず公正な選考を行い、多様な能力を発揮できる環境整備に努めています。
また、多様な従業員が働きやすい柔軟な仕組みを選択できるよう、ワークライフバランス推進に資する社内環境を整備しています。職場の安全と心身の健康、人権尊重、ハラスメント防止にも積極的に取り組み、教育・研修を実施しています。サステナビリティ推進体制として、サステナビリティ委員会、RC委員会、EMS連絡会を設置し、環境や人権を含むサステナビリティ課題への対応を強化しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。連結子会社は女性活躍推進法等による公表を行っていないため、記載を省略しています。正規雇用労働者の平均年齢は男性45歳、女性35歳であり、正規雇用労働者のうち35歳以下の男女の賃金の差異は90%、パートタイマーのみの男女の賃金の差異は113%です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 75.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 78.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 52.0% |
グループ全体(連結)
提出会社と連結子会社を合算したグループ全体の集計値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性社員比率 | 24.0% |
| 管理職の中途採用者比率 | 29.0% |
| 年次有給休暇取得率 | 79.0% |
| 社内リスク・コンプライアンス研修のeラーニング受講率 | 100.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
池上通信機は、情報通信機器の開発から生産、販売、サービスまでを一貫して手掛ける企業グループです。放送システムと産業システムを二つの柱として、幅広い分野で事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
池上通信機グループは、情報通信機器の開発、生産、販売、サービスを主な事業としています。同社は情報通信機器の開発、生産、および日本国内での販売・サービス活動を担っています。
子会社のテクノイケガミは、同社が生産した情報通信機器の修理・サービスの一部と、一部製品の生産を行っています。海外では、Ikegami Electronics(U.S.A.),Inc.が北米・中南米地域で、Ikegami Electronics(Europe)GmbHが欧州・中東・アフリカ地域で、Ikegami Electronics Asia Pacific Pte.Ltd.が西アジア・東南アジア・大洋州地域で、それぞれ製品の販売とサービス活動を展開しています。
同社グループの収益は、製品の販売、据付調整作業、製品の修理や点検といった「一時点で移転される財及びサービス」と、保守契約などの「一定の期間にわたり移転される財及びサービス」から得ています。同社グループの売上高は、日本が最も大きく、北米、欧州、アジアその他地域でも収益を上げています。
特定の顧客としては、日本放送協会への販売が一定の割合を占めています。当連結会計年度では、放送システム事業の売上高が前年同期を上回り、産業システム事業の売上高は前年同期を下回りました。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
池上通信機グループの業績は、過去5年間で売上高に変動が見られます。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、一時的に損失を計上した期もありましたが、直近の当連結会計年度では増益となりました。売上高は当連結会計年度で増加傾向を示し、利益も改善しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 185億円 | 221億円 | 216億円 | 207億円 | 213億円 |
| 経常利益 | 2.9億円 | △10.0億円 | 9.0億円 | 2.9億円 | 3.6億円 |
| 経常利益率 | 1.6% | △4.5% | 4.2% | 1.4% | 1.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.8億円 | △10.7億円 | 6.8億円 | 2.4億円 | 3.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 27.98 | △167.96 | 106.15 | 36.82 | 58.69 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
池上通信機グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期と比較して増加しており、生産性の向上がうかがえる結果となっています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 25.5百万円 | 27.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.3百万円 | 0.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
池上通信機グループの財務状況は、事業活動を通じて安定した資金を生み出し、堅実な財務基盤を維持していることを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均と比較して同程度の水準を維持しています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っています。手元資金である現金及び預金は増加傾向にあり、事業運営の安定性を示す要素の一つです。これらの財務状況は、同社グループの事業継続性や将来の成長投資の余力に影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 137億円 | 143億円 |
| 自己資本比率 | 47.4% | 47.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 1.7% | 2.7% |
| 現金及び預金 | 42.0億円 | 46.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは収入となっています。これは税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費、棚卸資産の減少などが主な要因です。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得や定期預金の預入による支出が上回り、支出となっています。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の純減少や長期借入金の返済による支出が収入を上回り、支出となりました。結果として、フリーキャッシュフローは収入を確保しており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金がある状態を示しています。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資余力を維持していることを示唆しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △35.3億円 | 15.2億円 |
| 投資CF | △5.3億円 | △9.9億円 |
| 財務CF | 11.1億円 | △1.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △40.5億円 | 5.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、国際情勢の変動による販売活動への影響や為替相場の変動リスクを認識しています。また、市場での競合激化により製品競争力が相対的に低下する可能性も事業構造・収益性に関するリスクとして挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、コンプライアンス・リスクとして、法令違反や社会的要請に反した行動等により社会的制裁を受ける可能性を認識しています。このリスクに対し、従業員への法令遵守意識の醸成と徹底を推進しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
池上通信機は、「技術」のチカラを通じて社会に貢献し、持続可能な社会インフラ構築の一翼を担うことを目指している会社です。創業以来の理念を大切にしながら、常に時代を先取りする技術革新に挑戦する企業風土があります。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
池上通信機グループは、社会における存在意義(パーパス)を「『技術』のチカラで、あなたをしあわせに。」と定めています。卓越した技術と匠の技で社会が求める新たな価値を創造し、持続可能な社会インフラ構築に貢献することを目指しています。
創業理念は「技術の向上、開発へのたゆまざる意欲と不屈の精神を支えとし、使って喜ばれる製品を作り出し、世の中に寄与してゆく。その実現に向け、常に努力し、責任を以て事に当たる社員を育てる。」です。この理念をベースに、「Ikegami Way」の追求による技術優位性の確立、顧客満足と社会の信頼に応える経営基盤の構築、ステークホルダーへの還元と成長投資の好循環、そして全ての人が生き甲斐と働き甲斐を見出す企業であり続けることを経営ビジョンとして掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
池上通信機グループは、創業理念と経営ビジョンに基づき、技術の研鑽と顧客ニーズの具現化を重視する企業風土があります。特に「Ikegami Way」を追求し、技術革新に果敢に挑戦し続ける姿勢が求められています。
同社グループが望む人材像として、失敗を恐れず何事にもチャレンジする好奇心旺盛な人材、情熱を持って仕事をやり抜く責任感ある人材、環境の変化に応じて柔軟な発想で行動し役割を達成できる人材を挙げています。性別、国籍、年齢、職歴、障害など多様性に富む従業員が、各々の生活環境や生活スタイルに合わせた働きやすい柔軟な仕組みを選択できる社内環境の整備にも取り組んでいます。職場の安全と心身の健康を守り、人権を尊重し、差別のない健全な職場環境の確保に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
池上通信機グループは、成長戦略推進のための人材および成長事業への積極的な投資を実現することを課題としています。また、地政学的リスクへ対応するため、サプライチェーンの多様化を推進しています。
さらに、ESG経営の推進により、企業価値の向上と持続的な成長・発展を追求していくことを重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
池上通信機は監査役制度を採用しており、取締役会が経営の基本方針や重要事項の決定・監督を行っています。また、執行役員制度を導入し、経営会議や月次執行会議を通じて業務執行の迅速化と企業体質の変革を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
池上通信機の株主構成を見ると、筆頭株主は合同会社センスです。上位には、INTERACTIVE BROKERS LLCのような機関投資家や、池上通信機従業員持株会、池上通信機取引先持株会といった同社グループの関係者が名を連ねています。これにより、幅広いステークホルダーに支えられている資本構成であることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社センス | 4.79% |
| INTERACTIVE BROKERS LLC (常任代理人 インタラクティブ・ブローカーズ証券) | 4.15% |
| 池上通信機従業員持株会 | 3.98% |
| 池上通信機取引先持株会 | 3.29% |
| 豊嶋 唯充 | 2.64% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
池上通信機の役員は12名(男性11名・女性1名)で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長最高経営責任者は清森洋祐氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 清森 洋祐 | 代表取締役社長 最高経営責任者 | 1976年東京芝浦電気入社、2008年同社入社、取締役、常務取締役、専務取締役、取締役副社長を経て、2012年より代表取締役社長最高経営責任者。 |
| 青木 隆明 | 取締役 社長補佐 総務、法務、人事、経理、情報システム、DX推進、ESG経営推進担当 (兼)専務執行役員 経営管理本部長 | 1984年同社入社、放送通信事業本部放送システム営業第二部門長、経営戦略統括部経営戦略部長、経営管理本部長、執行役員、取締役、常務取締役を経て、2025年より専務執行役員経営管理本部長。 |
| 小島 睦 | 取締役 技術・開発・知的財産戦略、生産・調達担当 (兼)常務執行役員 システムセンター担当 | 1983年東京芝浦電気入社、2016年同社入社、生産調達統括本部付主席技監、執行役員、取締役、常務執行役員を経て、2025年より常務執行役員システムセンター担当。 |
| 篠田 広司 | 取締役 営業・マーケティング、CS推進担当 (兼)上席執行役員 営業・マーケティング本部長 | 1985年同社入社、放送通信事業本部放送システム第一部門長、営業本部副本部長、執行役員、取締役を経て、2023年より上席執行役員営業・マーケティング本部長。 |
| 荒川 潤 | 取締役 経営戦略、IR、広報、秘書担当 (兼)上席執行役員 社長室長 | 2001年同社入社、社長室経営戦略部長、執行役員社長室長兼経営戦略部長を経て、2025年より取締役上席執行役員社長室長。 |
社外取締役は、永井研二氏(元日本放送協会専務理事技師長)、薄田賢二氏(元不二越代表取締役社長)、安田明代氏(寺本法律会計事務所弁護士)、秋津勝彦氏(元日本アビオニクス代表取締役執行役員社長)です。
同社は監査役制度を採用しており、社外取締役4名と社外監査役2名を含む体制で、経営の健全性・透明性の維持向上を図っています。社外役員は、企業経営の経験や専門知識を活かし、経営の監督機能を強化する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
池上通信機の役員報酬は、企業価値の持続的な向上と株主利益との連動を基本方針としています。社内取締役には、固定的な基本報酬に加え、単年度業績に連動する賞与、中長期経営計画に連動する業績連動報酬、および譲渡制限付株式報酬が支給されます。社外取締役に対しては、その職務に鑑み基本報酬のみが支払われる仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 1.5億円 | 20.9百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 13百万円 | 13.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 31百万円 | 5.2百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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