2021年06月21日
軽自動車や小型車の製造で知られる自動車メーカー、スズキへの転職。中途採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、一緒に仕事をする仲間として、多角的に評価されるので、事前にしっかり対策しておきましょう。
軽自動車・小型車、二輪車の販売台数において、国内第3位のスズキ。数々の人気車種を有し、特に軽自動車市場では大きな存在感を放ちます。
そんなスズキの口コミには、福利厚生制度への不満が多数見られます。給与そのものには満足しているという声も見られる中、福利厚生の手薄さから「社員を大事にする気がない」と感じる人も。本社は静岡県浜松市に所在するため、都心部と同等の福利厚生を望むのは難しいと思われますが、就労において福利厚生制度の充実を最優先事項と考える人にはおすすめできない環境と言えそうです。
国内自動車メーカーには珍しく、創業一族が経営中枢に名を連ねる一族経営体制であり、企業として自主独立を重んじることから、社外からの意見が反映されにくい環境があるようです。トップダウン傾向が強く、そこに不満を感じる社員もいるようで、上層部の方針を「天の声」と揶揄する口コミも見受けられます。
一方、自動車の完成品メーカーとして知名度が高い点や、軽自動車などの分野に特化した独自路線の自動車づくりを展開しているため、技術系職種では部品の構想設計から自動車完成までの工程に関わることができる点にやりがいを感じるという声も多く見られます。女性の活躍の場が少ない、年功序列といった古い面はあるものの、安定的な雇用状況があることから社内の雰囲気はのんびりしており、マイペースに自動車製造のキャリアを積みたい人にはうってつけの企業風土と言えるでしょう。
こうして見ると、自動車市場における立ち位置同様、スズキには「制度の古さや閉鎖的な体質はあるものの、独自路線の自動車づくりを重んじる自主独立の社風」があると言えます。採用面接では、こうした社風にフィットする人材かどうかを見極められます。
書類選考通過後、通常2回の面接があります。原則として1次面接は部門管理職者が、2次(最終)面接は役員が面接官となりますが、ケースによっては面接回数や面接官は変更となることもあるようです。最終面接通過後、正式オファー承諾と健康診断受診を経て、内定が出る流れとなっています。
面接では、技術的な質問よりも人柄や質疑応答の態度を見られることが多いようです。事前にしっかりと準備し、落ち着いて面接に臨みましょう。面接内容の傾向については次項でご紹介します。
スズキでは、法務や監査といった職種から技術系職種まで、幅広く中途採用を行っています。コーポレートサイトには、現状の「スズキらしい自動車づくり」に新風を呼び込む存在として中途採用者を求めるメッセージが掲げられています。自分のどのような面がこの採用ポリシーに合致し、即戦力としてスズキの今後に貢献できるのか、アピール方法を考えてみるとよいでしょう。
「なぜスズキに転職したいのか」「前職の退職理由は?」なとの、中途採用面接ではオーソドックスと言える質問が多く、高度に専門的な質問によってスキルをはかるというよりは、質疑応答を通じて応募者の人柄や態度を見る傾向があるようです。「なぜ」「どのように」「どう思うか?」といった、イエス・ノーでは答えられない質問も多く見られました。企業研究をしっかりとした上で、仕事や転職に対する自分の考え方をもう一度確認し、自分自身の言葉で語れる準備をおくと役立ちます。事前に予想される基本的な質問に対しては理路整然と答えられるようにしておき、実際の面接時には落ち着いてハキハキと受け答えするように心がけましょう。
また、その他散見されたのが、面接の雰囲気を「高圧的に感じた」という口コミです。当然ですが、面接官によって面接の雰囲気は大きく変わります。多少当たりの強い面接官であっても、その雰囲気にのまれることのないよう心の準備をしておきましょう。
スズキの面接を受ける上では、中期経営計画を理解しておくことが不可欠です。スズキは現在、「SUZUKI NEXT 100」という中期経営計画に基づく事業展開を行っています。
『SUZUKI NEXT 100』
2020年に創立100周年を迎えるスズキ。社是のうち第一に掲げられる「消費者の立場になって価値ある製品を作ろう」をスローガンに、顧客第一主義をベースに次の100年へ飛躍するための土台作りとして立案された戦略です。品質や商品展開といった「ものづくり面」はもちろん、社内体制や経営基盤の面でも「チームスズキ」として向上に取り組む姿勢が打ち出されています。
『SUZUKI NEXT 100』
マネジメントについては攻守の姿勢を使い分けてさらに堅固な体制を目指し、グローバル経営の推進と経営基盤強化に取り組みます。特に、インド進出に成功し、現地で高いシェアを誇るスズキのノウハウと生産力をよりグローバルに進化させ、軽自動車・小型車生産性の向上と市場拡大を狙っています。これに加えて、赤字が続く二輪車分野でも生産性向上に注力し、収益性を拡大したいところです。
これまでスズキは経営戦略において、自社の強みをよく把握し、軽自動車・小型車と二輪に特化した事業展開とコスト集中を行ってきました。「スズキといえば軽自動車」というイメージを持つ人は多いと思います。しかし、今回の中期経営計画では、その路線を踏襲しつつ新たな市場開拓へも舵を切ろうとしています。中途採用においても、「『スズキらしさ』を大切にしながらも新しいフィールドに飛び込んでいけるような人材」が求められています。面接に挑むにあたっては、中期経営計画をしっかりと理解しておくことが必要です。その根本にある社是にも目を通し、自己分析に落とし込んでおきましょう。
スズキの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜスズキか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人物は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、スズキという企業についてしっかりと理解する。そのためには競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
●ダイハツ工業株式会社
●日産自動車株式会社
●本田技研工業株式会社
このようにスズキの採用面接を受ける上では、経営戦略に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では「制度の古さや閉鎖的な体質はあるものの、独自路線の自動車づくりと自主独立を重んじる」という社風を意識して、「スズキらしさを重視しつつ、組織に新風を送り込むことができる人材」であると印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくといいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
スズキの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「制度の古さや閉鎖的な体質はあるものの、独自路線の自動車づくりを重んじる自主独立の社風」を理解し、それに合致した行動がとれる人材であることをアピールする。
●スズキの中期経営計画および社是を理解して、これに沿った自己分析を行い、自己PRへとつなげる。
●競合他社についての理解を深め、「なぜスズキなのか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールできるよう心がけましょう。
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