2021年06月21日
日本国有鉄道から分化し、九州地方を中心に運営するJR九州(九州路客鉄道)への転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、「人となり」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策をすすめ転職を成功させましょう。
日本国有鉄道の分割により1987年に発足した同社、九州地方を中心に、別府温泉や博多をはじめとする人気の観光地を結んでいます。旅行客の利用が多いことから、JRグループの中でも特に観光事業に注力しており、日本初のクルーズトレイン「ななつ星」やホテル事業、「マチナカ」開発などの事業でも飛躍を見せています。
国鉄時代を含めると70年以上もの歴史があるため、「古風な考え方は否めない」「施設の設備が不十分」「女性採用数が少なく、男性社会だ」などの口コミからも、まだ古い体制が抜け切れていない様子がうかがえます。一方で、「ボーナスが大幅に下がることや、給与支払いが遅れることはない」など、大手ならではの安定した給与体制が整っていることもわかります。
鉄道好きにはたまらない仕事ですが、「人の命に関わるためミスは許されない」「事故やトラブルの際はどうしても仕事量が多くなる」などの声も見られます。お客様の命を預かるという重要な任務や仕事量の多さに、強いプレッシャーや責任感を感じている従業員も多いようです。
これらから、同社は「安全第一で誠実なサービスを提供し、活気溢れる地域づくりに貢献する」社風であることがわかります。この社風に合致し、長く勤めていける人材であることをアピールしましょう。
2020年7月現在、中途採用では客室乗務員の募集をおこなっています。しかしコロナ禍の影響により、まだ完全なる再開には至っておらず、募集は少ない状況にあるようです。キャリア情報を登録しておくことで、適したポジションがある場合に個別オファーを受けることもできるため、希望職種で現在募集していない場合は登録しておきましょう。
選考フローの詳細は掲載されていませんが、口コミによると適性検査と4回程度の面接おこなわれるようです。面接回数の多さから、採用までには1〜2カ月程度の期間を要するうえ、本社に何度も足を運ぶ必要があります。根気と粘り強さが求められますので、環境を整えて臨むようにしましょう。
質問は一般的なものが中心となりますが、「どのように会社に貢献するか」など、入社後のビジョンやキャリアプランについても尋ねられます。具体的な目標を伝えられるよう、自己分析や企業研究をしっかりおこなっておきましょう。
また、「心に残る列車の旅は?」「九州の良いところは?」など、列車に関する知識や九州の魅力に関する質問もされます。九州の観光地や列車の種類・役割などについても学んでおくとよいでしょう。中には「社長の名前を知っているか」と確認された人もいます。同社に関する知識も求められるようですので、コーポレートサイトにもしっかり目を通しておいてください。
接客業がメインとなるため、清潔感や人柄、笑顔も重視されます。面接では身だしなみに気をつけ、「愛社精神が強く、自主的に学び、真面目に仕事に取り組む人材」であることをアピールしましょう。
面接を受けるにあたり、同社の「中期経営計画2019-2021」を理解しておきましょう。
コーポレートサイト「中期経営計画2019-2021」より
この中期計画では、2030年長期ビジョンへつなげるための3つの取り組みを掲げています。
●更なる経営基盤強化
メインとなる鉄道事業以外において、従来のセグメント区分を大きく変更します。今まで別々だったホテル事業と不動産事業を統一し、「駅ビル・ホテル事業」として持株会社を設立。収益や費用を一本化することで、より合理的に損益を認識できるとしています。
●主力事業の更なる収益力強化
主力事業=鉄道事業の改革を図るべく、インターネット予約システムの導入や他交通業者との連携、外国人観光客向けの情報発信などをおこないます。さらに、駅ビルのリニューアルやまちづくり、博多駅空中都市構想などを実現させることで、大幅な増収を見込んでいます。
●新たな領域における成長と進化
自動運転や運行管理のAI化、5Gを活用した建設の省力化など、新技術を導入。また、九州で培ったノウハウや強みとなる事業を国内・海外に展開し、鉄道事業の拡大と変革を目指します。
増益や事業拡大はもちろんのこと、博多を中心とした街の発展や観光事業に力を入れるなど、九州の活性化に務める同社。この方向性を把握し、自らも貢献していけることをアピールできるとよいでしょう。
面接を受けるにあたっては、「なぜJR九州なのか」という質問に対する回答を明確にしておく必要があります。面接官はこの回答から、「同社についてどれくらい理解しているか」「理念や社風に合致した人材か」「経歴やスキルを同社で活かせるのか」などを見極めたいと考えているでしょう。
同社の特徴や業界での位置づけなどを把握し、より理解を深めるためには、他社研究をおこなうことが必要不可欠です。以下に競合となりうる企業をあげましたので、他社研究の参考にしてみてください。
●東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)
●西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)
●東海旅客鉄道株式会社(JR東海)
●四国旅客鉄道株式会社(JR四国)
他社研究や企業研究を通じて、同社が求める人材像のイメージが掴めてきたのではないでしょうか。「安全第一で誠実なサービスを提供し、活気溢れる地域づくりに貢献する」社風であることを理解し、これに合致した人材であることをアピールできるよう、さまざまなエピソードを準備しておきましょう。
ここからは面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。どのように答えると好印象を与えやすいのか、しっかりとシミュレーションしておきましょう。
JR九州の採用面接を受けるにあたって、押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「安全第一で誠実なサービスを提供し、活気溢れる地域づくりに貢献する」社風であることを理解し、愛社精神が強く、自主的に学び、真面目に仕事に取り組む人材」であることをアピールする。
●「中期経営計画2019-2021」を理解し、これに沿った自己分析をおこなうことで有益な自己PRにつなげる。
●競合他社についての理解を深め、「なぜJR九州なのか」に対する答えを明確にしておく。
これらを参考に準備をすすめ、面接当日は身だしなみに気をつけ、笑顔を忘れずにハキハキとした受け答えを心がけましょう。
この記事の執筆者