0
編集部が注目した重点ポイント
① 主要指標で過去最高を更新し5期連続増収増益を達成
2026年3月期第2四半期は、営業収益2,376億円、営業利益408億円となり、売上・営業利益・経常利益・EBITDAの全てで中間期としての過去最高を更新しました。2025年4月の運賃改定効果や不動産販売の好調が寄与しており、通期の営業利益予想も731億円へ上方修正されるなど、極めて力強い成長フェーズにあります。
② 博多駅空中都市プロジェクトの中止と投資戦略を転換する
2025年9月、建築費高騰により「博多駅空中都市プロジェクト」の中止を決定し、撤退損約87億円を特別損失として計上しました。しかし、これにより浮いた資金は福岡や熊本などの成長エリアへの投資に再充当する方針です。開発の軸足をより収益性の高い案件へ機動的にシフトさせることで、不動産開発担当者の活躍フィールドはむしろ拡大しています。
③ 熊本エリアのまちづくりを加速し輸送力強化を推進する
世界的な半導体企業の進出に伴い、豊肥本線(ほうひほんせん)エリアの重要性が急増しています。2025年10月には熊本県と空港アクセス鉄道の整備および輸送力強化に向けた合意を締結しました。新駅設置や土地区画整理、オフィスビル開発などが同時並行で進んでおり、地域活性化とインフラ整備を一体で担うダイナミックなキャリア機会が生まれています。
1
連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第2四半期決算説明会資料 P.4
当中間期は、2025年4月に実施した29年ぶりの運賃改定が鉄道事業の収益を大きく押し上げ、さらに不動産セグメントでの物件売却が重なったことで大幅な増益となりました。親会社株主に帰属する中間純利益が微減となったのは、博多駅の線路上で計画していた開発中止に伴うプロジェクト撤退損87億円を計上したという特殊要因によるものです。この損失は現金の流出を伴わない会計上の処理が主であり、経営の基礎体力は非常に強固です。
通期予想に対する進捗状況については、営業利益実績408億円に対し、上方修正後の通期予想731億円に対する進捗率は約55.9%となっており、中間決算として「順調」な推移と言えます。
2
事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第2四半期決算説明会資料 P.8
運輸サービス
事業内容: 九州新幹線・在来線の運行、バス事業。グループの基幹事業として交通インフラを支える。
業績推移: 営業収益 922億円(前年比+12.2%)、セグメント利益 185億円(+50.8%)。
注目ポイント: 運賃・料金改定による増収に加え、インバウンド収入が前年超えで推移しています。西九州新幹線の定期利用者が対前年で増加傾向にあるほか、大村線へのICカードエリア拡大など利便性向上策を継続しており、デジタル活用や営業施策の企画人材が求められています。
不動産・ホテル
事業内容: 駅ビル・マンション賃貸、分譲マンション販売(MJR)、ホテル(THE BLOSSOM等)運営。
業績推移: 営業収益 766億円(前年比+25.3%)、セグメント利益 178億円(+35.9%)。
注目ポイント: 私募REIT(特定の投資家向けの投資信託)への保有物件売却が124億円の増収要因となり、利益を大きく押し上げました。ホテルの客室単価(ADR)も高水準を維持しており、今後はインバウンド富裕層向け観光事業の強化など、アセットマネジメントやホスピタリティ分野での専門家需要が高まっています。
流通・外食
事業内容: コンビニエンスストア(JR九州リテール)、駅弁、ファストフード等の飲食店展開。
業績推移: 営業収益 346億円(前年比+7.0%)、セグメント利益 20億円(+9.4%)。
注目ポイント: 前期に出店したフランチャイズ店舗が寄与し、既存店売上高も前年を上回って推移しています。新規出店も計画通り進捗しており、リテール営業や多店舗展開のマネジメント経験者にとってチャンスが広がっています。
建設
事業内容: 鉄道関連工事、一般土木・建築、住宅施工。明治建設等が新たに加わった。
業績推移: 営業収益 406億円(前年比+11.1%)、セグメント利益 6億円(+186.5%)。
注目ポイント: (注:当中間期より重要性が高まった明治建設、昭和テックスを新規連結したため単純比較不可)。グループ内工事の増加に加え、外部受注も堅調です。特に豊肥本線の輸送力強化に伴う設備工事など、鉄道特有の高度な技術を要する現場での施工管理人材の必要性が増しています。
ビジネスサービス
事業内容: 広告事業、設備メンテナンス、人材派遣、システム開発等のBtoBサービス。
業績推移: 営業収益 393億円(前年比+7.3%)、セグメント利益 23億円(+16.6%)。
注目ポイント: 受注の増加により増収増益を達成。新たに北九州市と「跨線道路橋の包括的維持管理に関する協定」を締結するなど、官民連携(BtoG)市場での業務拡大に成功しています。公共インフラの維持管理という社会課題解決に直結する分野で、コンサルティングや営業の力が求められています。
3
今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第2四半期決算説明会資料 P.33
JR九州は今後、単なる鉄道会社から「地域をプロデュースする企業」への進化を鮮明にしています。特にTSMCが進出する熊本・豊肥本線エリアでは、空港アクセス鉄道の整備(上下分離方式を採用)や輸送力強化の早期実現に向け、自治体と足並みを揃えて取り組んでいます。質疑応答資料によると、博多駅の開発中止で余剰となった資金は、これら熊本や福岡の有望な開発案件へ成長投資として充当される基本方針が示されています。
また、新たな収益源として「未来への種まき」を強化。インバウンド富裕層向け観光事業を展開するエクスペリサス株式会社との資本業務提携(2024年4月開始事業の強化)や、北九州市との橋梁維持管理に関する協定など、従来の鉄道の枠を超えた領域での事業拡大が加速しています。これらのプロジェクトを推進できる「多角的な視点を持つ事業開発人材」が、今後の採用における中心となると見込まれます。
4
求職者へのアドバイス
「博多駅空中都市プロジェクト」の中止という大きな経営判断を経て、投資戦略がより福岡・熊本などの成長エリアへ機動的にシフトしています。特にTSMC関連の熊本開発などは、一企業の枠を超えた九州全体の経済発展に寄与するものです。この「ダイナミックな開発戦略への共感」や「地域インフラの維持管理における官民連携への意欲」を自身の経験と結びつけることが、説得力のある志望動機に繋がります。
「博多駅プロジェクト中止による投資余力を活用し、今後は福岡や熊本以外にも具体的に注力したいエリアや開発アセット(物流、オフィス、住宅等)の構想はありますか?」
「インバウンド富裕層向けの観光事業や、自治体インフラの包括管理など、新領域の事業拡大において、中途採用者に最も期待される役割やスキルは何でしょうか?」
5
転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
業績・将来性に問題を感じる
コロナ禍でもJR他社に比べて不動産業などがあったためそこまでの落ち込みはなかったが、ボーナスが大幅にカットされた。
(30代前半・物流サービス・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料:
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年3月期 第2四半期決算説明会資料
- 2026年3月期 第2四半期決算説明会 主なQ&A



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。