※本記事は、九州旅客鉄道株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
九州旅客鉄道は、九州全域を中心に運輸サービス、不動産・ホテル、流通・外食、建設、ビジネスサービスといった多岐にわたる事業を展開しています。九州新幹線をはじめとする鉄道ネットワークを基盤に、駅ビル運営などを通じた地域活性化にも貢献しています。
単体従業員数は6,483名、連結従業員数は15,365名です。セグメントは運輸サービス、不動産・ホテル、流通・外食、建設、ビジネスサービスの5つです。
主な国内グループ会社は、JR九州バス(運輸サービス)、JR博多シティ(不動産・ホテル)、JR九州リテール(流通・外食)、九鉄工業(建設)、キャタピラー九州(ビジネスサービス)などです。
建設グループでは、昨年4月に明治建設及び昭和テックスを連結子会社化しました。また、ビジネスサービスグループでは、JR九州サービスサポートを存続会社としてJR九州リネンを吸収合併する組織再編を実施しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
九州旅客鉄道は、鉄道事業を基盤としつつ、不動産、ホテル、流通・外食など多角的な事業を展開する企業グループです。地域に根ざした事業展開を通じて、安定した事業基盤と多様なキャリアパスが期待できる環境と言えるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が比較的長く、従業員の定着傾向が見られます。幅広い年齢層の従業員が活躍しており、長期的なキャリア形成が可能な環境であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,399,403円 |
| 平均勤続年数 | 13.4年 |
| 平均年齢 | 42.5歳 |
| 単体従業員数 | 6,483人 |
| 連結従業員数 | 15,365人 |
| 単体のグループ内比率 | 42.2% |
当社及び連結子会社は、確定給付型の制度として退職一時金制度及び確定給付企業年金制度を設けており、確定拠出型の制度として確定拠出年金制度及び中小企業退職金共済制度等を設けています。退職給付債務は419億円、年金資産は46.9億円となっています。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
九州旅客鉄道は、人的資本の拡充が経営理念の実現に繋がるという認識のもと、「わたしたちの夢を実現するためのJR九州の人材戦略」を制定しています。中期経営計画(2025-2027)では「価値創造の源泉である人づくり」をマテリアリティの一つに掲げ、事業の持続可能な成長と生産性向上を図ることを目指しています。社員一人ひとりが創出した収益は、賃金の引上げを含め、処遇改善や教育訓練等の人への投資に積極的に充て、労働条件の改善やエンゲージメント向上につなげる方針です。
具体的には、「安全を最優先し、お客さま視点で考える社員を育む組織づくり」として、経営陣と社員の対話型意見交換会を継続しています。また、「意欲と能力のある社員への挑戦・成長の機会の提供と支援」として、一般社員約5,000名を対象としたキャリアデザイン研修や、組織の将来を担うリーダー育成のためのリーダー研修を実施しています。「一人ひとりが持つ価値観や能力を活かせる風土と仕組みづくり」では、「明るく楽しい会社づくりプロジェクト」を立ち上げ、DE&Iの浸透に取り組んでいます。
さらに、「努力と成果に応じたメリハリのある評価と報酬」として、評価者によるフィードバック面談や昇進試験における面接評価、昇給・賞与の通知時に理由を伝えることで、社員の納得感向上に努めています。評価者や面接官を対象とした研修も実施し、公平で納得感のある人事評価と信頼関係に基づくマネジメントの浸透を図っています。「健康経営の推進とライフプランに合わせた柔軟な働き方が選択できる環境整備」として、人間ドック費用補助対象の拡大や配偶者への補助制度を新設し、男性社員の育児休暇取得促進にも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。女性管理職比率は2026年4月1日現在の数値であり、男性育児休業等取得率は育児休業と育児目的休暇を取得した男性労働者の割合を示しています。男女賃金差異は、男性労働者の賃金に対する女性労働者の賃金の割合であり、正規労働者における「社員」と「地域社員」の役割や給与水準の違い、非正規労働者における「嘱託再雇用社員」と「期間契約社員」の構成が主な要因となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 6.4% |
| 男性労働者の育児休業等取得率 | 148.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 79.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規労働者) | 72.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(非正規労働者) | 84.8% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。労働者の男女の賃金の額の差異については、労働者の勤続年数及び雇用形態別の人数構成の差等によるものであり、職種及び等級が同一である者の賃金は、人事考課による調整前においては男女とも同一です。
▼ JR九州バス
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業等取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 80.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規労働者) | 82.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(非正規労働者) | 77.9% |
▼ JR博多シティ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 33.3% |
| 男性労働者の育児休業等取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 88.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規労働者) | 81.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(非正規労働者) | 66.1% |
▼ JR九州ビルマネジメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 4.0% |
| 男性労働者の育児休業等取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 76.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規労働者) | 75.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(非正規労働者) | 118.5%
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
九州旅客鉄道は、九州全域を中心に、鉄道事業を核とした多角的な事業を展開しています。地域に根ざした鉄道ネットワークを基盤に、駅ビル運営やホテル事業、流通・外食、建設、ビジネスサービスなど、幅広い分野で収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、運輸サービス、不動産・ホテル、流通・外食、建設、ビジネスサービスの5つの事業セグメントで構成されています。九州新幹線をはじめとする鉄道ネットワークを基盤とし、各主要都市の駅ビルを管理・運営することで、地域に密着したまちづくりを推進しています。収益は、各事業におけるサービス提供や商品販売から得られています。海外での売上高は連結損益計算書の90%未満であり、主要な顧客に売上高の10%以上を占める相手先はありません。
運輸サービス
鉄道事業とバス事業を主に行っています。鉄道事業では九州の主要都市間を結ぶ新幹線や在来線を運営し、地域住民の生活を支えるとともに、「ななつ星in九州」などの観光列車を通じて九州のブランド価値向上と誘客促進に貢献しています。収益は、鉄道やバスの運賃・料金収入から得ています。運営は、九州旅客鉄道、豊肥本線高速鉄道保有、JR九州バスなどが行っています。
不動産・ホテル
不動産賃貸業、不動産販売業、ホテル業を展開しています。不動産賃貸業では、九州旅客鉄道が保有する駅ビル等の管理運営を関係会社が行い、オフィスビルや物流施設の取得も進めています。不動産販売業では「MJR」ブランドで分譲マンションを販売し、ホテル業では宿泊特化型ホテルを九州各地や東京、京都、沖縄、タイ・バンコクで運営しています。収益は、不動産の賃料収入、販売収入、ホテルの宿泊収入などから得ています。運営は、九州旅客鉄道、㈱JR博多シティ、JR九州ホテルズアンドリゾーツなどが行っています。
流通・外食
小売業と飲食業を行っています。小売業では土産専門店「銘品蔵」やコンビニエンスストア「ファミリーマート」を展開し、飲食業ではファーストフード店などを展開しています。収益は、商品の販売や飲食サービスの提供から得ています。運営は、JR九州リテール、JR九州ファーストフーズなどが行っています。
建設
建設業を主に行っています。鉄道の専門技術を活かし、鉄道に係る土木・軌道・建築工事やメンテナンスを事業の主体としています。官公庁工事や民間工事も手掛けており、生産性向上や人材確保への投資を通じて安定した事業運営体制を維持しています。収益は、各種建設工事の請負収入から得ています。運営は、九鉄工業などが行っています。
ビジネスサービス
建設機械販売・レンタル事業などを展開しています。建設機械やディーゼルエンジン、発電機等の販売・レンタル、メンテナンス及び教習を行っています。また、広告業や清掃整備業、システム関連事業なども手掛けています。収益は、建設機械の販売・レンタル収入や各種サービスの提供から得ています。運営は、キャタピラー九州、JR九州セコム、九州旅客鉄道などが行っています。
| セグメント | 営業収益(2025年3月期) | 営業収益(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 運輸サービス | 1,643億円 | 1,857億円 |
| 不動産・ホテル | 1,384億円 | 1,515億円 |
| 流通・外食 | 667億円 | 714億円 |
| 建設 | 431億円 | 481億円 |
| ビジネスサービス | 419億円 | 437億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの連結業績は、過去5期にわたり営業収益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも増加傾向を示しています。特に直近の当連結会計年度においては、営業収益が前期から大きく伸び、それに伴い経常利益も大幅に増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益も堅調に増加しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 3,295億円 | 3,832億円 | 4,204億円 | 4,544億円 | 5,004億円 |
| 経常利益 | 92.4億円 | 357億円 | 489億円 | 596億円 | 740億円 |
| 経常利益率 | 2.8% | 9.3% | 11.6% | 13.1% | 14.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 132億円 | 312億円 | 384億円 | 437億円 | 455億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 84.34 | 198.36 | 244.68 | 278.96 | 295.39 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり営業収益(連結)は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も同様に増加しており、同社グループ全体の生産性が向上している傾向が見られます。これは、事業活動の効率化や収益性の改善が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり営業収益(連結) | 29.9百万円 | 32.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.9百万円 | 4.8百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている状況です。財務基盤の厚みや資金の流れから、経営の安定性について確認できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率とROEの数値から安定していることがうかがえます。自己資本比率はプライム市場の非製造業平均を上回っており、強固な財務体質を示しています。ROEもプライム市場平均を上回る水準で推移しており、収益性も確保されています。手元資金も十分に確保されており、事業運営の安定性につながると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 4,586億円 | 4,949億円 |
| 自己資本比率 | 40.0% | 40.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.7% | 9.6% |
| 現金及び預金 | 351億円 | 368億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期に729億円のプラスとなりました。これは棚卸資産にかかる支出が増加したことなどにより、前期からは減少しています。投資活動によるキャッシュフローは、固定資産の取得支出が減少したことなどにより、当期は△871億円のマイナスとなりました。この結果、フリーキャッシュフローは当期もマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る積極的な投資を継続している状況を示しています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入れによる収入が増加したことにより、前期の支出から当期は収入に転じています。
これらの資金の流れから、同社グループは事業で安定的に資金を創出しながら、将来の成長に向けた投資を積極的に行っていることがわかります。これは、長期的な視点での事業拡大を目指す姿勢を示しており、入社後の事業成長やそれに伴う雇用・給与の安定性にも期待が持てる状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 967億円 | 729億円 |
| 投資CF | △1,074億円 | △871億円 |
| 財務CF | △69.3億円 | 125.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △107.4億円 | △142.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主な事業エリアである九州では、人口減少と少子高齢化が進むと予測されています。これにより、鉄道事業の定期収入や定期外収入、駅ビル等の商業施設やマンションの利用者減少が、運輸サービスグループや不動産・ホテルグループ、流通・外食グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、各事業は競争に晒されています。運輸サービスグループでは他の輸送機関との競合があり、不動産・ホテルグループでは他のデベロッパーやホテル事業者と、流通・外食グループでは類似の小売・飲食事業者と競合しています。顧客の嗜好変化や競争力維持ができない場合、同社グループの事業に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループはグループ会社に対するガバナンス強化に取り組んでいますが、グループ会社において安全や法令順守意識の欠如、安全管理体制の不備等により、社会的影響の大きい事象が発生した場合、同社グループの信用失墜や事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
九州旅客鉄道は、九州の活力を高め、世界へと発信することを目指しています。安全を最優先に、顧客視点でのサービス提供と地域との共創を重視する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、経営理念として「わたしたちの夢」、「使命」、「おこない」を掲げています。その中で「わたしたちの夢」は「九州の元気を、世界へ」と定められています。
魅力あふれるまちづくりを通じて九州を活性化し、九州に住む人、訪れる人、そして同社グループを利用する世界中の人々を元気にすることを目指しています。また、「使命」として「安全を最優先し、お客さま視点で考え、安心で快適な毎日と“わくわく”するときをつくる。」ことを掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営理念の「おこない」として「誠実」「共創」「挑戦」の三つの価値観を重視しています。「誠実」は常に誠実さを貫き、社会に誇れる仕事を行うことを指します。
「共創」は人や地域、多様な仲間と未来につながる価値を共に創り出すことを意味します。また、「挑戦」は柔軟な発想を持ち、成長のための挑戦を続ける姿勢を示しています。
同社は「価値創造の源泉である人づくり」をマテリアリティの一つとして掲げ、社員がやりがいを持ち、いきいきと活躍できる会社づくりを目指しています。さらに、「明るく楽しい会社づくりプロジェクト」を立ち上げ、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の浸透にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは「JR九州グループ中期経営計画2025-2027」において、経営基盤強化の取り組みを進めています。その一つとして、「労働市場の変化を踏まえた人的資本拡充」を掲げ、待遇や働きやすさの改善への投資を拡充し、持続的な成長を支える人材育成を推進しています。
また、「環境課題への統合的なアプローチ」として、「JR九州グループ環境ビジョン2050」に基づき、気候変動、資源循環、生物多様性を含めた統合的な取り組みを進めています。
さらに、「DX活用範囲の拡大と深堀り」では、生成AIやAIエージェントの積極活用により、オペレーションの変革と生産性向上を図るとともに、セキュリティ基盤の強化にも取り組んでいます。
「グループガバナンス強化・適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築」も重点テーマです。グループ全体の監査体制強化やリスクマネジメント推進室の新設を通じて、安全を最優先とした事業運営を目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
九州旅客鉄道は、取締役会の監督機能強化と経営意思決定の迅速化、効率的な会社運営を目指しています。経営の意思決定・監督機能と業務執行の分離を目的として、監査等委員会設置会社へ移行し、執行役員制度を導入しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)を筆頭株主とし、複数の信託銀行や海外の金融機関が上位株主として名を連ねています。特定の事業会社や創業家が上位を占める形ではなく、幅広い機関投資家によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 12.80% |
| JP MORGAN CHASE BANK 385642 | 4.18% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.75% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は15名(男性10名・女性5名)で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長執行役員は古宮洋二氏が務めています。社外取締役比率は53.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 森 亨弘 | 代表取締役 専務執行役員 事業開発本部長 | 1991年4月 同社入社、2009年6月 ドラッグイレブンホールディングス代表取締役社長、2017年6月 同社取締役旅行事業本部長、2025年6月 同社代表取締役専務執行役員事業開発本部長より現職。 |
| 松下 琢磨 | 取締役 常務執行役員 最高財務責任者 総合企画本部長 フロンティア創造部長 広報部、財務部担当 | 1991年4月 同社入社、2014年5月 JR九州ドラッグイレブン代表取締役社長、2017年6月 同社取締役事業開発本部副本部長、2022年6月 同社取締役常務執行役員兼最高財務責任者兼総合企画本部長、2026年4月 同社取締役常務執行役員兼最高財務責任者兼総合企画本部長兼フロンティア創造部長より現職。 |
| 赤木 由美 | 取締役 常務執行役員 総合企画本部副本部長 経営企画部長 デジタル変革推進部担当 | 1991年4月 同社入社、2012年6月 ジェイアール九州ファーストフーズ代表取締役社長、2019年6月 同社執行役員熊本支社長、2023年6月 同社取締役常務執行役員総合企画本部副本部長兼経営企画部長、2025年6月 同社取締役常務執行役員総合企画本部副本部長兼経営企画部長より現職。 |
| 貞苅 路也 | 取締役 常務執行役員 鉄道事業本部長 北部九州地域本社長 | 1992年4月 同社入社、2019年6月 同社執行役員大分支社長、2021年6月 同社上席執行役員鉄道事業本部副本部長兼安全創造部長、2025年6月 同社取締役常務執行役員鉄道事業本部長兼北部九州地域本社長より現職。 |
| 青柳 俊彦 | 取締役会長 取締役会議長 | 1977年4月 日本国有鉄道に入る、1987年4月 同社入社、2014年6月 同社代表取締役社長、2023年6月 同社代表取締役会長、2025年6月 同社取締役会長より現職。 |
社外取締役は、山本ひとみ氏(元全日本空輸取締役常務執行役員・ANA総合研究所非常勤顧問)、田中卓氏(東洋テック相談役・元りそな信託銀行代表取締役社長)、小笠原浩氏(安川電機代表取締役会長兼社長・福岡経済同友会代表幹事)、藤林清隆氏(三井不動産顧問・元三井不動産レジデンシャル代表取締役社長)、小澤浩子氏(PR TIMES社外取締役・サンコール社外取締役)、小田部耕治氏(元警察庁生活安全局長・監査等委員会委員長)、藤田ひろみ氏(税理士法人さくら優和パートナーズ代表社員税理士)、大神朋子氏(國武綜合法律事務所パートナー弁護士)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監督機能強化と経営の意思決定の迅速化を図っています。独立社外取締役を8名選任し、指名・報酬諮問委員会の答申を踏まえて取締役の選任を決定しています。議決権を有する監査等委員である取締役を取締役会の構成員とすることで、監査・監督機能を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役報酬は、定額の基本報酬と業績連動報酬で構成されています。業績連動報酬は金銭報酬と株式報酬からなり、短期および長期のインセンティブとして機能します。役位が上がるにつれて業績連動報酬の割合が高まるように設定されており、取締役社長の場合、標準時で報酬総額の概ね35%が業績連動報酬となります。
業績連動報酬の評価指標には、毎事業年度の連結営業利益が金銭報酬と短期株式報酬に設定されています。中長期的なインセンティブとして、中期経営計画期間における株主総利回り(TSR)と同業他社のTSR比較、および従業員意識調査結果が株式報酬の評価項目となっています。これにより、中長期的な企業価値向上への貢献意識を高めることを目的としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 7名 | 3.7億円 | 52.3百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 35百万円 | 35.0百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 1.1億円 | 13.4百万円 |
なお、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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