マスコミといえば就活生にとって人気の業界であり、採用人数の少なさや人とは違った個性を見られることもあって非常に狭き門となっています。転職においてはよりその傾向が強く、求人はほぼ直接応募ばかり。企業そのものの情報についても参考になるようなものがあまり出回っていません。今回はマスコミの中でも新聞業界に注目し、元新聞記者に毎日新聞社の話題を中心に転職するコツや業界の実態などをお伺いします。
2021年06月21日
【企業経験者インタビュー】有名企業や話題企業に勤務経験のある方に、社風・選考対策・年収など、転職の参考になるようなお話を伺います。今回は毎日新聞社です。
マスコミといえば就活生にとって人気の業界であり、採用人数の少なさや人とは違った個性を見られることもあって非常に狭き門となっています。転職においてはよりその傾向が強く、求人はほぼ直接応募ばかり。企業そのものの情報についても参考になるようなものがあまり出回っていません。今回はマスコミの中でも新聞業界に注目し、元新聞記者に毎日新聞社の話題を中心に転職するコツや業界の実態などをお伺いします。
今回お話を伺ったOB
サイトウユキコさん
1991年 毎日新聞社入社。一般記者として西部本社大分支局に赴任後、整理記者として西部本社、大阪本社を経て2013年東京本社情報編成総センター編集部長に就任。2019年秋に選択定年制度を利用し退職。現在は女性のキャリアを応援するコーチングを軸として活動。シェアリングエコノミーサイト「タイムチケット」でも相談を受付中。
ーー新聞記者になろうとしたのはなぜですか?
私が学生だった当時は、「女性」「四大卒」「下宿」は就職先のない「三重苦」なんて言われていました。女性は就職した会社の社員と結婚して退職するというのが当たり前とされていたので、高学歴は好まれず、また下宿している女性は"ふしだらに違いない"のようなレッテルを貼られるような時代でした。私はそのいずれにも当てはまっていて(笑)。で、唯一門戸が開かれていたのがマスコミ業界でした。募集要項は男女同条件だったので毎日新聞社を受けることにしたんです。
註)さらに毎日新聞社の応募条件には「大学卒業」がない。大学中退であっても入社可能。現在の定期採用にも「4月1日までに入社可能で入社時満30歳までの方」のみが条件としてあげられている。
ーージャーナリズムに携わりたいという気持ちはありましたか?
それは特になかったですね。新聞社に入社してくる人には2つタイプがあって、バリバリ報道をやりたいタイプと、そうでないタイプ。私のようにただ文章に携わる仕事がしたいと思って入ってくるタイプもいます。
ーー全員が全員ジャーナリスト魂に燃えた人というわけではないんですね。
毎日新聞社の組織図(採用資料より)
ーー毎日新聞社の選考はどのように行われているんでしょうか?面接ではかなり厳しく突っ込まれそうなイメージがあります。
選考はペーパーテストと面接です。面接はイメージされているのは随分と違いますよ(笑)。
最初は編集部長クラスとの面接になりますが、面接官は事前に研修を受けさせられます。彼らも採用のプロではないので、例えば「圧迫面接をしてはいけない」とか基本的なことを教えられてから臨みます。なので激しく突っ込まれるといったことはないですね。どちらかといえば、自分の部下としてどう振る舞ってくれるのかをみます。これは新聞業界共通ですが、記者ならばフットワークが軽くてネタを持ってこれる人であるかどうかをポイントとしています。文章がうまい、頭がいい、分析力があるというよりかは、取材力がある方が好まれます。
ペーパーテストは難しいには難しいですが、点が良いと逆に「頭が固すぎるのではないか」という懸念が沸いてくるんです。
「テストで1番になった人は採用しない」とまことしやかに言われています。
なのでテストはほどほどに、面接では理屈ばっかり言わない、腰が重そうにしない、好奇心旺盛で活動的なところを見せられるような受け答えをするようにしましょう。
毎日新聞社東京本社の入るパレスサイドビル(東京・千代田区)
このビルの3〜5Fに毎日新聞社が入る。全国紙には珍しく共同通信加盟社となったため、フロアには速報音(通称:ピーコ)が流れる。
ーー毎日新聞社は立ち位置でいうとリベラルという風に世間では捉えられている節があるのですが、実際に働いていてそういったスタンスを感じますか?
はっきりいって毎日新聞社は「リベラル」です。といっても政治志向的にという意味ではなく「社風」がです。
毎日新聞社は組織を優先せず個人を優先してくれ、また肩書きではなく全員「さん」付けで呼んだり、対等な立場で意見を言えたりと風通しの良さがあります。記事も記者の考えが尊重されます。入社当初「この記事はなにがポイントなのか」とともに「自分はこれについてどう思い、何を伝えたいのか」をデスクから厳しく問われました。それは、もちろん客観報道・両論併記という姿勢は保ちつつも、記者の目を通して伝えたことを、読者が受け取って一緒に考えるという姿勢を大切にするからなんです。なので様々な意見が紙面に溢れています。
私は整理記者として長らく紙面編集を担当していましたが、その姿勢は構成にも表れています。記事一つ一つの価値を判断し、扱いを決め、見出しをつけていきますが、中には社説と方向性の違う記事を扱うこともありました。社の論調を気にせず仕事ができるのは毎日新聞のいいところだと思います。
競馬欄は一部社員がどうしてもやりたくて始めた企画です。「馬小屋」と呼ばれるチームが担っていて、中には整理部の室長となった人もいますし、社内の競馬好き記者数名が入れ替わり立ち代りで関わっています。やりたいを形にできるのは自由であるからでしょうね。
ーー続いて年収についてお聞きしたいのですが、毎日新聞社は新聞社・通信社系の中では低いと言われていますが、実際安いのでしょうか?
私自身が他社と比べたことがないのでよくわからないですが、あくまで私の話としては、デスクになったところで1000万円は超えていました。編集者は時間外手当が多いからです。編集局の中でも政治部、経済部、社会部は時間外勤務が多いので収入も多くなります。
現在はいわゆる働き方改革で、時間外勤務も減少傾向にありますから、そのため年収が下がる恐れもあります。ボーナスやベースアップは労働組合と経営陣で行われる労使交渉で決められます。最近ボーナス額が減っているのでそれも響いてくるかもしれません。
註:新聞社の多くは年功序列型の給与体系なので毎年昇級。ボーナスは夏冬の年2回、多いところでは4回でることも。全国各地に転勤のある記者は引越し代が会社負担に加え、しばらくの間は家賃補助も受けられます。役職手当や残業代など各種手当がありますが、変わったところでは、取材でヘリコプターに乗った時には危険手当のようなものがもらえるのだとか。
また、他社との差は年収のみならず「向こうは移動手段が1人1台ハイヤーなのにこっちは相乗りタクシー」、「美味そううなぎ弁当を支給された他紙記者を横目に冷えた幕内を食べる」といった取材時の経費の使われ方にもあったようです。
サイトウユキコさんのお話で、毎日新聞社についての理解は深まりましたでしょうか?
ここではお伝えできないような内容もたくさんお聞きしました。
もっともっと深いお話や具体的な情報を知りたい方はタイムチケットからサイトウユキコさんに尋ねてみてはいかがでしょうか?
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