【年収研究シリーズ】GCAの年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。
GCAは一般人にとって社名に馴染みがないかもしれませんが、日本のみならずアメリカやヨーロッパでも活動する、M&A(企業合併)について助言する独立系コンサルティング会社の1つです。
2004年に現社長である渡辺章博氏らによって設立され、2008年にはアメリカのSavvian LLCと経営統合し「GCAサヴィアン」に、2016年には欧州に拠点を置くAltiumと経営統合し現在の社名になりました。現在では世界10カ国22拠点・従業員数426人を有するグローバル企業へと成長しました。
GCAは2019年7月に新たにGCAアドバイザーズを設立。事業を継承してGCA自体は純粋持株会社に移行しました。
それでは、GCAの年収はいったいどれくらい高いのか、またなぜそんなに高いのか、そして就職・転職先として適しているのかを探っていきましょう。
GCAの年収はどれくらい高いのか
GCAから事業を移行したGCAアドバイザーズの平均年収は、推定2213万円です。
(※2019年12月期の有価証券報告書から従業員の状況が記載されなくなったため、過去の推移や独自入手の情報を元に編集部で算出しています。)
キャリコネに投稿された給与明細を参考にGCAの年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で1250〜1300万円、30歳代で1990〜2040万円、40歳代で2550〜2600万円という結果になりました。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は503.5万円(国税庁・令和元年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ4.4倍の額です。
上記の平均年収は日本国内のみでしたが、海外の連結子会社であるGCA Advisers(アメリカ)、GCA Altium(ヨーロッパ)などを含めた平均年収額は単純計算で3199.7万円となりました。
コンサルティング業界の給与明細(キャリコネ)
どちらの会社も日本トップクラスに高い給料
GCA・30代コンサルタント(非管理職)の
給与明細
日本M&Aセンター・30代コンサルタント(非管理職)の
給与明細
■GCAの平均年収の推移
続いて、過去5年間における年収の推移を見てみましょう。
下は平均年収と平均年齢の推移を表したグラフです。
GCA過去5期の平均年収/平均年齢の推移(2019年12月は推定値)
GCA過去5年の平均年収・平均年齢の推移
過去5年の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
GCAの平均年収はこの5年で約59.2万円と、大きく上昇しています。昨年からは149.7万円と、大きく増額しています。2019年度は過去5年で最高額になりました。
グラフをみても明らかに利益と給与に相関関係があります。業績連動型の給与制であることがうかがえます。
GCAの年収が高い理由
■顧問料収入は莫大
GCAの主たる事業はM&Aの助言(アドバイザリー)です。
M&Aを手がける会社には仲介業者・ブローカーが多いのですが、GCAの場合、企業がM&Aによって事業を譲渡したい、または譲受したいときに的確な助言をし成功に導くという、いわゆる顧問のような役割です。
GCAはリテイナー(顧問料)や着手金を受け取りますが、収益の大部分はM&Aが成約した時に支払われる「成功報酬」です。
成功報酬は企業の規模により異なりますが、買収価格の1~3%を受け取ります。
GCAの主要な顧客は大手上場企業が多いため、M&Aでやり取りされる単価が非常に高いのが特徴です。上場企業同士の場合は500億円以上、上場企業の部門や子会社では20~500億円程度。仮に買収価格500億円で成功報酬が1%とした場合、5億円が売上として入ってきます。
しかも、製造業と違い原価がほぼ存在せず非常に高い利益率になります。また設備投資や研究開発もないため、利益は社員に還元されます。「人に投資する」と言い換えても間違えではありません。
専門性や交渉力、実行力など高い資質は利益に直結するといっても過言ではなく、優秀な社員をつなぎとめておきたいからこそ高い報酬を支払っているのです。
GCAの職種別給与
■エグゼクティブ・ディレクターで年収2000万以上
続いてGCA内部に目を向けてみましょう。いったいどの職種や役職がどれくらいもらえるのでしょうか。
GCAの職種はM&Aファイナンシャルアドバイザーです。
職位は5つほどあり、最初はアナリストから始まり、、アソシエイト、ヴァイスプレジデント、ディレクター、エグゼクティブ・ディレクターと上がっていきます。
口コミによると、それぞれの職位には目安となる年収額があり、
・アナリスト 600万円前後
・アソシエイト 800万円前後
・ヴァイスプレジデント 1200万円前後
・ディレクター 1500万円以上
・エグゼクティブ・ディレクター 2000万円以上
上記の額に業績・評価に応じた賞与(ベースの10%~30%)が支給されます。
アナリストとヴァイスプレジデントではおそよ2倍の年収差があります。
CGAの給与は基本給と諸手当の他に年1回、3月に賞与が支給されます。
GCA社員の給与明細(キャリコネ)
早い人では30代で大台に!
20代コンサルタント(非管理職)の
給与明細
30代コンサルタント(非管理職)の
給与明細
賞与があるとないとでは……
30代コンサルタント賞与あり(非管理職)の
給与明細
30代コンサルタント賞与なし(非管理職)
給与明細
GCAに就職・転職する際に留意点や課題はないのか
確かに年収の高さは非常に魅力的ですが、実際働くとなると考慮しておかなければならない点がいくつかあります。
M&Aでは譲渡側、譲受側双方が、いかに自分が有利にことを運ぼうとあらゆる手段を講じてきます。アドバイザリーはどちらか一方の立場に立って活動しますが、いろいろな思惑をどう実現したり、または交わしていくか常に思考はフル回転です。
そして動くお金は巨額でその一部が会社の利益として入ってくることや、対象企業に勤める社員の殺生与奪を握っている状態に置かれるかもしれず、案件が稼働中は緊張状態が長く続いていくでしょう。常に大きなプレッシャーの中で仕事を進めなければなりません。
また、顧客企業に提出する説明資料づくり、戦略の立案、交渉の準備などでかなりの業務量になり、80時間以上の残業が常態化しているとも聞きます。肝心な残業手当ですが、働いた分出るわけではなく、裁量労働制なので給与に上乗せという形で支払われています。この流れでついでにいえば、住宅手当や退職金といった制度もないことにも注意が必要です。
GCAは2018年2月14日に決算を発表。2017年12月期の連結経常利益は前期に比べ71.1%減の7億6900万円に大きく落ち込みました。
GCA単体で見ると前期比60%減の8億3400万円でした。原因は日本のM&A市場が金額ベースで前年比24%減少したことにあります。これに伴い平均年収が大きく下がりました。
新卒・中途問わず「年収が高い会社」として人気がありますが、思わぬ状況に求職者の間では不安が募ります。
結局GCAは就職・転職先として選んでもいいのか
ここまでGCAを見てきました。結局、就職・転職先として選んでもいいかどうかと言うことですが、結論から言うと「選ぶべき」です。就職・転職先として非常に魅力的だと言っていいでしょう。
確かに2017年度期は業績が振るいませんでしたが、好調な欧州に続き、税制面で懸念を抱えM&Aを控えていた米国のIT企業が、今年は活発に行動に出ると予測されていますし、日本国内だけにとどまらずグローバルなM&Aの動きがあったりするなど、M&A市場は活況の様相を呈しています。
そもそもコンサルティング会社は様々な知見があり、困難な状況を乗り切るのが得意です。
そしてなにより、会社の歴史を変えて、記憶に残る仕事ができるというのはかなりの醍醐味と言えるでしょう。
GCAと競合他社の平均年収を比較
GCAの同業界であるM&A仲介・アドバイザリーのM&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、GCAの4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、M&Aキャピタルパートナーズが2269.9万円、ストライクが1357.4万円、GCAが2213万円です。
この4社の中で最高額はM&Aキャピタルパートナーズの2269.9万円で、最低額がストライクの1357.4万円。その差はおよそ913万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中ではGCAは2番目に位置します。
出典・参考
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2019年企業活動基本調査速報-2018年度実績-」
国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2020年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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