アイルランドに本社をおく、外資系コンサルティング会社「アクセンチュア」。
世界最大のコンサルティングファームとして、世界56カ国で事業を展開。日本には前身となる会社を1989年に設立。現在ではITコンサルティングを中心に事業展開しています。
アクセンチュアが就活生・転職希望者に高い人気を誇っている理由のひとつが「高収入」。30代で1000万を超えるという話もあります。しかし一方では膨大な仕事量をこなさなければならない「激務」であるということも有名です。「アクセンチュア=ブラック企業」とみなされる向きもあることは確かです。
そんなアクセンチュアもここ数年状況が変わってきています。アクセンチュア独自の働き方改革なるプロジェクトを推進。これまでの組織風土を改め、全社員の意識をイノベーションを図ろうとしています。
このプロジェクトにより、一体どのように労働環境が変わっていったのでしょうか。「残業」の面から見ていきましょう。
減った残業時間 1日の労働時間はどれくらいまでに縮まった?
そもそも、これまでアクセンチュアの労働時間はどれくらいだったのでしょうか。
繁忙期や部署によっても違いますが、月あたりの残業時間が100時間程度と言われていました。
ひと月の営業日を20日とすると、1日あたり5時間。法定労働時間8時間と合わせると1日平均13時間労働です。実に半日以上仕事をしていることになります。
労働組合がある会社で、労使が36協定を結んでいる場合は月の残業時間が45時間~60時間程度ですからどれだけ多かったのかのかがわかります。
アクセンチュアはこの状況を憂慮し、2015年より社長自らが音頭をとって「プロジェクト・プライド」と呼ばれる働き方改革で、ワーク・ライフ・バランスの適正化を推進してきました。2017年より、本格的に労働時間の改善が行われ、月45時間以上の残業は原則禁止に。これにより大幅な残業時間の削減が達成できたとしています。
本当にそれほどまでに改善されたのでしょうか?
社員の口コミを見ると残業時間については厳しく管理されていることがうかがえます。
アクセンチュア社員の口コミ(キャリコネ)
労働時間短縮とともに推進されてきたこととは
「世間で思われているような激務ではなくなってきた。働き方改革が進んでいる。 単純に「労働時間を減らせ」というのではなかった。 」
残業手当を申請したら上司から驚愕の返答が
「プロジェクトにもよるが、残業なしでこなせる業務量ではないものばかり。働いた分はきっちりともらおうと申請したら、 上長からこんなお達しがきた。 」
以前よりはだいぶマシになったものの、トラブルやシステムリリース直前、プロジェクトが山場を迎えるタイミングの時など、業務として避けて通れないときは、状況に身を任せるしかありません。
あわせて気になるのは休日出勤ですが、こちらも残業と同様、顧客ののっぴきならない事態の時にはあるとのこと。激務から完全に逃れられるわけではないようです。
長時間労働からの解放は着実に進んでいるようですが、その代わりにデメリットを被った社員もいるようです。
残業時間減少により月収が減り… それに困る社員も
アクセンチュアは激務の代わりにしっかりと対価である「残業手当」が支払われていました。この点では「激務薄給」である中小企業に比べれば全然ブラックではないのですが。
残業時間には、いちおう月79.5時間というキャップがなされていたようで、その時間分残業手当は支払われていました。その制限を超えた分については、翌月に回して支払われたようです。
しかし、2017年からは残業は月45時間と定められたため、それ以上は働けなくなってしまいました。正確に言えば、45時間を超過した分について残業手当を請求できなくなったのです。もちろん仕事は残っているので、サービス残業になってしまったという声が上がっています。
一般社員の口コミを見ると、残業手当があるとないとではかなりの差があるらしく、落胆した声が聞かれました。
アクセンチュア社員の口コミ(キャリコネ)
残業手当は月給の大きな割合を占めていた
「年棒制のためボーナスもなく、唯一稼ぐことができるのが残業でした。 残業がない月と忙しい月では月収が大きく変動。どれくらいかというと… 」
同業他社にもまして支給されていた残業手当
「残業が多い会社だというのはわかっていました。それだけ激務であることも。しかし残業代がしっかり支払われるということでそれを当てにしていたんです。 だって、他社のコンサルティング会社と比べて… 」
残業理由の見える化がもたらした苦慮
「管理者は部下の残業理由について説明しなければならず、大きな負担となっている。 現場社員には具体的説明が求められ、その分余計な… 」
役職者はそもそも残業手当が支給されないので直接的な影響はほぼありませんでした。
しかし、別の負担が大きくなったとの嘆きが聞こえます。
労働時間短縮=薄給化?アクセンチュアの給与・年収は大きく下がってしまったのか
若手社員に取って、残業手当が少なくなったことは事実です。しかしながら、元々給与が高いと言われるアクセンチュア、年収そのものが大きく下がり、いわゆる「薄給」になってしまったのでしょうか?
答えはNOです。
アクセンチュアの給与体系は変わっておらず、いままで通り高収入を維持しています。
働き方改革で残業手当が減っても、年収がさほど下がらないような給与制度に変更されました。
ところで、アクセンチュアの給与は部門に支給額が違います。
給与的にざっくりと
・ストラテジー部門
・非ストラテジー部門
(・コンサルティング・デジタル・テクノロジー・オペレーションズ・セールス・ファンクションズ(管理部門))
の2部門に分類されます。ストラテジー部門の給与が高く、同じ職位でも非戦略系部門と比べて15%程度の違いがあるようです。
非ストラテジー部門でもセールスにはインセンティブがあり、場合によってはストラテジー部門よりも給与が高くなります。
また職種でも給与格差があるようで、コンサルタントがいちばん高く、続いてエンジニア、事務職となっています。
アクセンチュア社員の給与明細(キャリコネ)
同年代でも職種が違うとこれほど賃金格差がある
20代経営コンサルタント職の 給与明細
20代システムアナリスト職の 給与明細
年代が上がってもその差は埋まらず
30代システムコンサルタント職の 給与明細
30代営業事務・管理事務職の 給与明細
職位による年収の違いも気になるところです。
アクセンチュアの職位は下から
・アナリスト
・コンサルタント
・マネージャー
・シニア マネージャー
・マネージングディレクター
となっています。マネージャーから先が管理職です。
目安では30代前半がマネージャーで年収は1000万を超えます。また管理職にはインセンティブがあり非管理職の年収差が大きくなってきます。
どれくらい違うものなのでしょうか?具体的な給与明細を見てみましょう。
アクセンチュア社員の給与明細(キャリコネ)
同年代でも管理職と非管理職とではこれほど賃金格差がある
30代経営コンサルタント(管理職)の 給与明細
30代経営コンサルタント(非管理職)の 給与明細
年齢よりも管理職と非管理職の違いでの差が大きい
30代コンサルタント関連職(管理職)の 給与明細
40代品質管理、テスト、評価職(非管理職)の 給与明細
会社を挙げての取り組みで、労働環境は随分と変わってきたことに間違いはないようですし、高収入であることも変わっていないようです。 そもそも優秀な人材が集まっていると言われるアクセンチュアですが、今後は一層就職先・転職先としての競争率が高くなっていくかもしれません。
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