アンリツの転職研究 2026年3月期3Q決算に見るキャリア機会

アンリツの転職研究 2026年3月期3Q決算に見るキャリア機会

アンリツの2026年3月期3Q決算は、営業利益が前年比31%増と大幅な伸びを記録。DEWETRON社の買収完了やCESへの初出展など、EV計測や非通信領域への進出が加速しています。「なぜ今アンリツなのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

オーストリアDEWETRON社を買収しEV計測事業を強化する

2025年10月に電力計測器メーカーのDEWETRON社の株式取得を完了し、当3Qより連結対象としました。重点領域であるEV・電池市場への展開をグローバルで加速させる狙いがあり、計測技術のシナジーによるキャリア機会の拡大が期待されます。なお、新規連結に伴い前年同期との単純比較ができない点に留意が必要です。

通信計測事業の収益性が大幅に改善し利益成長を牽引する

主力である通信計測事業において、徹底したコストコントロールと棚卸資産の圧縮により、セグメント営業利益が前年同期比46.6%増と大幅な増益を達成しました。投資慎重姿勢が続く市場環境下でも、データセンター関連などの成長領域を確実に捉え、効率的な経営への転換が進んでいる点は求職者にとってもポジティブな材料です。

PQA事業が自動化需要を捉え2桁の増収増益を達成する

食品・医薬品向けの品質保証事業(PQA)が、人手不足を背景とした自動化・省人化投資を背景に好調です。国内では計量法改正による更新需要やインバウンド関連の増産需要も重なり、売上高は前年同期比12.1%増と力強く成長しています。生活基盤を支える安定性と成長性を兼ね備えたフィールドとして注目されます。

1 連結業績ハイライト

前年同期比で大幅な増益を達成。コスト構造の改善が進み、利益体質の強化が鮮明になっています。
連結決算概要 業績サマリー

出典:2026年3月期第3四半期業績概要 P.5

売上収益 811億円 +0.3%
営業利益 84億円 +31.1%
四半期利益 63億円 +28.9%

2026年3月期第3四半期の連結累計実績は、売上収益が前年同期並みを維持する中で、営業利益が31.1%増と大きく伸長しました。これは通信計測事業における不採算案件の抑制やコスト管理、PQA事業の好調な増収による利益貢献が主因です。受注高も前年同期比6%増の868億円となっており、先行きの需要回復を示唆しています。

通期予想に対する進捗率は、売上収益が約65.9%、営業利益が約56.1%となっており、基準となる75%を下回っているため、現時点では進捗が遅れている状況です。ただし、同社は例年4Qに売上が偏重する傾向があり、データセンター向け800GE生産拡大や光海底ケーブル需要などのビジネスドライバーにより、通期目標の達成を目指しています。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

通信計測の収益改善、PQAの成長に加え、M&Aによる環境計測のグローバル展開が加速しています。
事業別売上高・営業利益

出典:2026年3月期第3四半期業績概要 P.6

通信計測事業

【事業内容】 5G/6Gモバイル通信、データセンター向け光・無線通信、電子部品等の研究開発・製造用計測器を展開。

【業績推移】 売上高482億円(5.4%減)、営業利益65億円(46.6%増)。

【注目ポイント】 生成AI普及に伴うデータセンターの800GE化が進展しており、高度な技術力が求められる製造用計測器の需要が拡大しています。また、次世代規格「6G」の基礎研究も始まっており、中長期的な技術開発を担うエンジニアの重要性が高まっています。

注目職種: 高速通信プロトコル開発、RF回路設計、ソフトウェア開発エンジニア

PQA事業

【事業内容】 食品・医薬品ライン向けの自動重量選別機やX線異物検出機などの品質保証システムを提供。

【業績推移】 売上高222億円(12.1%増)、営業利益21億円(31.5%増)。

【注目ポイント】 日本国内のインバウンド需要に伴う食品増産や、人手不足を解消するための品質保証プロセスの自動化が強い追い風です。海外でも北米市場を中心に自動化ニーズは高く、グローバルに製品を展開できるサービス・営業人材への期待が大きくなっています。

注目職種: 産業用ロボット・FAシステム開発、海外営業、カスタマーサービス

環境計測事業

【事業内容】 EV/電池向け試験装置、電力計測器、モニタリングソリューションを展開(注:前年同期はDEWETRON社未連結)。

【業績推移】 売上高56億円(1.7%減)、営業利益 △0.1億円(赤字転落)。

【注目ポイント】 米国関税政策の影響で一時的に投資の延伸が見られますが、買収したDEWETRON社との連携により、北米・欧州での電源ソリューション販売を本格化させます。自動車業界以外の顧客開拓も進めており、事業構造の変革期における挑戦的なキャリアが可能です。

注目職種: パワーエレクトロニクス設計、システム統合エンジニア、新規事業開発

地域別動向:日本・欧米・アジア

【内容】 全世界での地域別売上報告(日本、米州、EMEA、アジア他)。

【推移】 日本売上は263億円(7.6%増)、米州208億円(1.4%増)、アジア他222億円(9.8%減)。

【注目ポイント】 日本国内の成長が際立っており、インバウンド需要や計量制度改正が寄与しています。米州ではデータセンター向け投資が堅調です。アジア他(中国含む)はスマホ市場の停滞があるものの、地域を横断したグローバルな開発体制への参画チャンスが豊富です。

注目エリア: グローバルサプライチェーン管理、地域戦略企画

3 今後の見通しと採用の注目点

4Qはデータセンター向け1.6TE等の新技術投入や、CES出展を通じた非通信領域の開拓が鍵となります。
第4四半期の事業別ビジネスドライバ

出典:2026年3月期第3四半期業績概要 P.15

第4四半期に向けて、通信計測事業では800GE光トランシーバーの増産に加え、次世代の1.6TE光トランシーバーの生産立ち上がりに伴う需要獲得を見込んでいます。また、2026年1月には世界最大級の展示会「CES 2026」に初出展し、自動車業界や農機・建機分野の新規顧客へのアプローチを開始しました。「非通信領域でのプレゼンス向上」は全社的な重要課題であり、計測技術を異業界へ横展開できる企画力がこれまで以上に求められています。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

アンリツは通信計測という確固たる基盤を持ちつつ、今まさに「環境計測(EV/電池)」や「食品・医薬品QA」といった新領域を主軸に据えようとしています。「既存の高度な技術を他分野へ応用し、脱炭素や食の安全という社会課題を解決したい」という軸は、同社の戦略と強く合致するでしょう。特にDEWETRON社の連結に伴うグローバルな事業開発に貢献したいという意欲は高く評価される可能性があります。

Q&A

面接での逆質問例

・「DEWETRON社や高砂製作所との技術シナジーにより、具体的にどのような次世代型試験プラットフォームの開発を構想されていますか?」
・「CESへの初出展という大きな転換点を迎え、情報通信業界以外(自動車・農機等)の顧客基盤を構築するために、中途採用者に最も期待する専門性やマインドセットは何ですか?」
・「食品市場での省人化ニーズに対し、AIやIoTを活用したさらなるソリューションの高度化をどのように計画されていますか?」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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女性エンジニアも活躍されている

やる気がある人にはチャンスが与えてもらえる環境だと思う。女性エンジニアも活躍されている人が結構いる。

(40代前半・機械設計・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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人事考課制度の基準は見えにくい

人事考課制度の基準は担当側からは見えにくい。結局は直属の上司の評価次第で決まっているように思う。

(40代前半・機械設計・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • アンリツ株式会社 2026年3月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)
  • アンリツ株式会社 2026年3月期 第3四半期業績概要

この記事の執筆者

上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。

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