【年収研究シリーズ】三井海洋開発の年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。
「三井海洋開発」という会社名を耳にしたことはあるでしょうか。
三井海洋開発は、実はコアビジネスの独自性において日本で唯一の企業なのです。我々の生活を支えているエネルギー、石油・天然ガス事業の分野で展開しており、海洋での石油やガス開発プロジェクトのための「浮体式海洋石油・ガス生産設備」の設計や建造、リース、そしてメンテナンスサービスまでを手がけています。この分野に特化した事業を展開する国内の企業は、三井海洋開発のみです。
また海外にも多くの拠点があり、浮体式石油・ガス生産設備の分野で世界2強の一角を誇ります。1968年に設立された当時、旧三井海洋開発株式会社の英文名称は“Mitsui Ocean Development and Engineering Co.”でしたが、その略称の「MODEC(モデック)」の認知度が上がったため、現三井海洋開発の英文名称は“MODEC, Inc.”に変更され、現在も「MODEC」の名は海外で広く知られています。
また三井海洋開発は年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。
三井海洋開発の平均年収は854万円
三井海洋開発の有価証券報告書によると、平均年収は854万円と記載されています。キャリコネに投稿された給与明細を参考に三井海洋開発の年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で500〜550万円、30歳代で700〜750万円、40歳代で880〜930万円となりました。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.73倍の額です。
■三井海洋開発の平均年収推移
三井海洋開発・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
三井海洋開発の平均年収は前年を上回り854万円でした。
過去5年間では2番めに低い額になりました。
三井海洋開発の年代別平均年収と中央値
■三井海洋開発の年収中央値は30代で724.2万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
三井海洋開発と競合他社の平均年収を比較
三井海洋開発の競合や同業界である栗田工業、千代田化工建設、東洋エンジニアリングの4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、三井海洋開発が854万円、栗田工業が909.5万円、千代田化工建設が926.6万円、東洋エンジニアリングが684.7万円です。
この4社の中で最高額は千代田化工建設の926.6万円で、最低額が東洋エンジニアリングの684.7万円。その差はおよそ242万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では三井海洋開発は3番目に位置します。
日東電工の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
三井海洋開発の給与が高い理由
■リスク回避することで安定性を担保
年収が高い理由として根源にあるのは、石油というリスキーな事業の中でも、三井海洋開発は安定領域に特化したビジネスモデルを確立していることでしょう。三井海洋開発が手がける石油の「開発・生産」の分野は商業採算性の評価が得られた後に行われること、そして、この分野は原油価格の影響を受けにくいキャッシュ源であることがその所以です。概してリスキーな石油事業と目され、原油価格の影響を直に受ける探鉱分野とは一線を画しているといえるでしょう。
さらに2017年度は、大型チャータープロジェクトを2件受注したことが大きく影響し、受注高は前年比756.1%増の7009億2400万円となっています。新規受注のうち1件は、ブラジルの国営石油会社ペトロブラスから「浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)」と呼ばれる大型洋上設備を受注し、その受注金額は1500億円程度とみられています。この設備の新規受注は3年ぶりということです。この大型洋上設備は2020年度後半には完成の見通しで、ブラジルへの貸出期間は21年間を予定しているため、今後も安定した収入が見込めるでしょう。
■海外勤務組は高年収の傾向
職種や役職ごとの年収や違いについて、三井海洋開発から正式に公開された情報はありませんが、海外転勤時の手当は厚く年収にも大きく影響するようです。海外に駐在をする場合は、手当が充実しており、15~50%程の給与アップが見込めるようです。
ちなみに海外出張や海外勤務で駐在する国は、主要子会社や関係会社があるシンガポールやアメリカ(ヒューストン)、ブラジル(リオデジャネイロ)のほかに西アフリカ(ガーナ等)、ベトナム、そして中国等が挙げられます。三井海洋開発の勤務地は原則として東京ですが、顧客や事業フィールドがほぼ海外ということもあり、プロジェクトがある国であれば、どこへでも赴任する可能性があることを理解しておくとよいでしょう。
三井海洋開発社員の給与明細(キャリコネ)
20代と30代で年収に違いが!
20代・技術職(非管理職)の
給与明細
30代・技術職(非管理職)の
給与明細
年収の高さばかりに目を奪われがちですが、就職・転職を検討するにあたり気をつけなければならないことはないのでしょうか。
三井海洋開発で働く上での懸念点・課題
■事業規模の大きさからくるプレッシャー
三井海洋開発の業務において、デメリットになるかもしれない点は2つあります。まず1つ目は、たった数人の日本人で外国人チームを率いて、1千億円規模のプロジェクトを動かすことへの重責を担わなければならないことです。しかしながらこれは、少人数で大規模なプロジェクトに携わることにより「自分がプロジェクトを動かしている」実感を得ることができるため、やりがいにもつながるメリットにもなり得るでしょう。
2つ目は、いつでもどこにいても即時対応が求められることです。三井海洋開発は顧客に対して24時間365日安定して石油を生産するという責任があり、一時も生産を止めることはできないため、障害に対する即時対応を求められます。常に緊張感を持って生活を送らなければならないという点は留意しておくとよいでしょう。
三井海洋開発には年収以外にメリットはある?
ここまで三井海洋開発の年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?
三井海洋開発で働く場合、数名の日本人で大勢の外国人を率いて大規模プロジェクトを動かすという非常にタフな環境にあります。しかし言い換えれば、少数精鋭たる環境だからこそ、一人ひとりが「自分がプロジェクトの主役である」という気概を持って仕事に取り組み、その結果として 世界から選ばれるものづくりができているのかもしれません。
さらに三井海洋開発は、顧客も事業フィールドも100%海外という真のグローバル環境を一つの特徴としています。ものづくりを志す人にとって、これほどフィールドが広く、大きな責任を背負い自らの力を試せる場がどれだけあるでしょうか。ものづくり大国日本において、真のグローバルリーダーは、こうした会社から生まれるのかもしれません。
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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