【平均年収909.5万円】栗田工業の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

栗田工業といえば「総合水処理の大手」として知名度が高い企業です。1949年に海軍出身の栗田春生氏により水処理薬品事業の会社として栗田工業が設立され、海軍の汽缶技術を活用したボイラ薬品の販売が行われました。それでは栗田工業は、どんな水を提供しているのでしょうか。同社は「産業の水」に特化しており、主な事業は水処理装置事業と水処理薬品事業です。

水処理装置事業では、半導体製造の工場などで使う超純水や医療用、飲料の製造水など用途に応じた水製造システムを納入しています。また汚れた産業排水の浄化処理、回収まで行っています。そして水処理薬品事業では、工場やビルなどで使われるボイラ水や冷却水のトラブルを未然に防ぐための薬品や、工場などから排出される産業排水の処理に使われる薬品を提供しているのです。このように創業から71年を迎えた現在まで一貫して、栗田工業は水に関わる事業を展開する企業として活躍しています。

また栗田工業は年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。

栗田工業の年収は、基本的に順当な年功序列の色が濃く現れます。個人の業績は多少考慮されますが、査定による年収の差は10万円程度のようです。年収の事例としては、役職に就かない35歳の場合で750万円程度です。30歳前後から主任試験を受けて管理職に登用された場合は、30代前半でも年収が800万円に上がる例もあります。その後は主任クラスで45歳になると1000万円を超えていき、50～55歳で年収のピークを迎えると考えておくとよいでしょう。

短期的に業績をあげることで年収を急速に上げるのではなく、長期就業により受ける評価の結果として、昇進し年収を上げることが可能な年収体系であるといえます。

年収の高さばかりに目を奪われがちですが、就職・転職を検討するにあたり気をつけなければならないことはないのでしょうか。

栗田工業で働く場合の留意点は、一部の職種を除いて転勤が多いことです。東京本社勤務の管理部門を除いては転勤が多く、とくに工事部門はプロジェクト毎に全国各地を転々とまわることになるようです。また営業職も転勤が多く、入社時から水処理薬品事業の営業に関わる現課長の場合は、新入社員として福岡の九州支店に配属された後、宮崎や大阪への転勤を経て現在は本社勤務となっています。

2015年度の事例では、ケミカル事業・プラント事業の営業・設計・施工管理に所属する新入社員の配属先は、本社、東北、名古屋、大阪そして九州の支店・支社および各営業所でした。ただし管理部門業務の配属は本社のみで、また研究開発は栃木にある開発センターに配属となります。

ここまで栗田工業の年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか？

転勤が多いという面はありますが、栗田工業には年次で順当にあがる年収など、長期的な就業が可能な環境がそろっています。栗田工業の2019年3月期の平均勤続年数は16.9年です。東洋経済が算出した上場企業（100人未満の企業を除く）の平均年数である13.6年を超え、また大卒から定年までの38年間勤務する場合の平均年数19年に近い年数ですから、同社社員の定着率の高さがわかります。

この長期就業可能な職場環境の理由の一端となるのが、若手の成長を促すOJT教育です。入社5年目程度の社員がマンツーマンで新人社員を指導する他、各課の所属人数は多くても10人程度のため課長の目が届きやすく、きめ細やかで成長しやすい環境といえます。顧客のパートナーとして各自が裁量権を持って働ける社員を育む栗田工業は、水と環境のサービス事業を今後も進化させ続けることでしょう。

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