0 編集部が注目した重点ポイント
① ShellおよびExxonMobilから大型案件を新規受注し、受注残高は過去最高水準に到達しました
ブラジル沖合のGato do Matoプロジェクトおよび南米ガイアナのHammerheadプロジェクトにおいて、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)の建造および操業契約を新たに獲得しました。これにより受注残高は約190億ドル(前年末比47.4%増)に達し、中長期的な収益基盤が極めて強固なものとなっています。
② マレーシアとインドにプロジェクト実行拠点を新設し、グローバル供給体制を大幅に強化しました
2025年度上期より、マレーシア(クアラルンプール)とインド(ベンガルール)にエンジニアリングおよびプロジェクト管理を担う新拠点を相次いで開所しました。東洋エンジニアリングとの合弁によるこの構造的変化により、キャリア採用を含む専門スタッフを1,500名規模にまで拡大する計画で、世界各地の巨大プロジェクトを支える体制を構築しています。
③ 建造プロジェクトの順調な進捗を受け、通期利益予想の上方修正と増配を決定しました
主力のEPCI(設計・調達・建造・据付)事業において複数の大型案件が順調に進捗しており、通期の親会社利益予想を年初の270百万ドルから350百万ドルへ上方修正しました。これに伴い、年間配当予想も140円(前期比60円増)に引き上げるなど、株主還元と事業成長の両立を高い次元で実現しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期 上半期 決算説明会資料 P.5
売上収益(3Q累計)
3,351百万ドル
前年比 +11.9%
営業利益(3Q累計)
305百万ドル
前年比 +19.5%
当第3四半期連結累計期間は、FPSOの建造プロジェクトが計画通り着実に進展したことにより、売上収益3,351百万ドル、四半期利益284百万ドル(前年同期比38.3%増)と、大幅な増益を達成しました。特に、新規受注案件の初期工事開始や既存案件の建造進捗が収益を力強く牽引しています。
通期業績予想に対する進捗状況は、売上収益で76.1%、営業利益で69.3%となっており、期末にかけての建造マイルストーン達成を見据えると、売上は「順調」、営業利益は「概ね順調」に推移しています。また、2025年4月にはFitch Ratings社より信用格付が「BBB/安定的」に格上げされるなど、財務基盤の強化も高く評価されています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期 上半期 決算説明会資料 P.12
EPCI事業(設計・調達・建造・据付)
事業内容:世界最大級の浮体式生産設備(FPSO)を一気通貫で設計・建造し、洋上へ据え付ける同社のコア事業です。
業績推移:上半期の売上収益1,397百万ドル(前年同期比+10%)。新規大型案件の受注により、建造フェーズの収益が拡大しています。
注目ポイント:マレーシアとインドに新拠点を開設し、プロジェクトマネジメント機能を強化中。自社工場を持たない「ファブレス企業」として、グローバルなサプライヤー管理や高度なエンジニアリング能力が不可欠な領域です。
O&M事業(オペレーション&メンテナンス)
事業内容:FPSOの完工後、洋上での操業と保守点検サービスを24時間体制で提供し、安定稼働を支えます。
業績推移:上半期の売上収益628百万ドル(前年同期比+13%)。西アフリカやブラジル向けサービスが堅調に推移しています。
注目ポイント:Shell社の新規案件でも20年間にわたる長期操業契約を同時受注。安定した収益源であると同時に、現場のフィードバックを設計に活かす「デジタル・フィードバック・ループ」の中核を担います。
Charter事業(リース・チャーター)
事業内容:関連会社を通じてFPSOをエネルギー会社に長期貸し出し、傭船料(チャーター料)を得るビジネスです。
業績推移:上半期の事業利益125百万ドル(前年同期比+2%)。平均12.1年の残存契約期間を誇り、極めて安定した収益を生んでいます。
注目ポイント:全案件が米ドル建ての固定レート契約であるため、原油価格や石油生産量に左右されない強固なキャッシュフローを実現。グローバルなファイナンス知識が求められる高度な事業管理領域です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期 上半期 決算説明会資料 P.6
三井海洋開発が主戦場とする「超大水深(水深2,000m以上)」の油田開発は、コスト競争力が極めて高く、原油価格が1バレル40ドルを下回る状況でも採算を確保できる強みがあります。この良好な事業環境を背景に、中南米(ブラジル・ガイアナ)や西アフリカでの豊富なプロジェクト・パイプラインが積み上がっています。
注目すべきは、化石燃料の安定供給と並行して推進されている「脱炭素化」への投資です。FPSOへの搭載を目指した小型二酸化炭素回収設備(CycloneCC)や燃料電池(SOFC)の研究開発、さらに浮体式洋上風力向けの独自プラットフォームでの基本設計承認取得など、次世代の海洋エネルギー技術を牽引する動きが加速しています。これらの新領域では、従来の石油・ガス業界の枠を超えた技術者の活躍が期待されています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
世界に数社しか存在しない「巨大FPSOのEPCIプレイヤー」としての誇りと、マレーシア・インド拠点新設に見られるグローバルな実行体制の進化を紐づけるのが効果的です。「日本発のリーディングカンパニーとして、世界最高難度の巨大プロジェクトを主導したい」「脱炭素社会を見据えた次世代洋上技術の開発に挑戦したい」といった、スケールの大きさと変革への意志を明確に伝えてください。
面接での逆質問例
・「受注残高が過去最高を更新する中、マレーシアとインドの新拠点において、日本本社のエンジニアはどのように現地のエンジニアと協調し、プロジェクトの品質を担保されているのでしょうか?」
・「CycloneCCやSOFCといった脱炭素技術のFPSO搭載において、現在直面している技術的なブレイクスルーのポイントは何ですか?」
・「Fitchの格上げなど財務の柔軟性が高まる中、今後FPSO以外の海洋再生可能エネルギー分野への投資の優先順位について教えてください。」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
住宅手当が36歳まで一律支給
住宅手当が36歳まで支給される。これは実家からの通勤や海外駐在中でも一律で支給される。旅行の宿泊補助があり、一泊5000円、年間7日まで家族の分も支給される。
(30代後半・プラント施工管理・男性) [キャリコネの口コミを読む]アフリカや南米にも女性駐在員はいる
女性でも海外赴任は普通にある。ただし、アメリカやシンガポールといった先進国だけでなく、アフリカや南米にも女性駐在員はいる。女性だからといって、治安や衛生状態等が良い国だけに行けるわけではない。
(30代後半・プラント施工管理・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2025年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)
- 2025年12月期 上半期 決算説明会資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。