2021年06月21日
リテールに特化したユニークな商品・サービスを提供する第二地銀、東京スター銀行への転職。採用面接は新卒の場合と違い、仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策しましょう。
経営破綻した東京相和銀行の経営を譲受し、2001年にスタートした東京スター銀行。個人・法人向けのリテールに特化した商品展開とサービス提供により、第二地方銀行としてユニークな立ち位置を占めています。外資ファンドの支援を受けて発足した同社は、2014年から台湾の中国信託商業銀行(台湾CTBC Bank)の傘下にあり、グローバルな視点を有する地銀として今後の事業展開に注目が集まります。
そんな東京スター銀行の社風は、実力主義でありつつも穏やか。口コミには「効率よく仕事をこなして成果を出せる優秀な人が出世する」「自分の意欲次第でいくらでも可能性を広げられる」「実力次第でなんでもできる環境」といった意見が多く寄せられ、能力や努力が評価に結びつく人事制度があることが分かります。「自由に自分の考えを形にすることが推奨され、それを上位者に伝える機会が多い」との声も見受けられ、銀行としては比較的自由でフラットな、設立当初から外国資本を背景に持つ企業ならではの文化が根づいているようです。スキルや能力に自信がある人にとっては、のびのびと働けるフィールドがあると言えるでしょう。しかし、昇給・昇格するためには「成績に加えて上司からの推薦が必要になる」ため(口コミより)、実力とともにコミュニケーション能力や社内政治力も求められます。
また、「女性だから管理職になれないという空気はない」といった声も多く、女性の活躍が推進されており、妊娠・出産を経ても働き続けられる環境が整っています。社内の雰囲気も全体的に穏やかで良好な様子。中途入社者が多いことから、さまざまなキャリアを持つ同僚と切磋琢磨し、金融知識をブラッシュアップする機会も多いようです。
一方、「理不尽な経営方針」「会社の将来を考えるなら(中途採用に頼るのではなく)新卒などの若い社員を大切に育てることも必要では?」といった、経営方針や採用姿勢を疑問視する声も。応募にあたっては、これらの方針が自分の考えに合っているかどうかを考慮する必要があるでしょう。
このように、外資系地銀ならではの社風が特色の東京スター銀行。この社風にフィットし能力を活かして成果を出せる人材かどうかは、採用面接において見極められる重要なポイントです。経営のバックグラウンドを踏まえた企業研究や、今後のキャリア形成まで含めた自己分析が欠かせません。十分に対策をおこないましょう。
東京スター銀行の選考フローは、書類選考→Webテスト→複数回の面接→オファー提示→内定、というものが一般的となっています。エントリーはコーポレートサイトより、職種ごとにおこなってください。エントリーページには職務内容や待遇とともに、その職種に求められる経歴やスキルが詳細に記載されています。自分のキャリアがそれに合致するか確認の上、応募しましょう。内定までは1~1ヶ月半と、選考はスピーディに進むことが多いため、限られた時間内でいかに対策を講じられるかが勝敗を分けそうです。
2020年5月現在、東京スター銀行では個人金融部門・法人金融部門・金融市場部門などで中途採用を募集中です。コーポレートサイト内のリクルーティングサイトには、同社の経営理念やビジョン、事業内容、人材育成など、さまざまな面から会社を紹介するコンテンツが用意されています。企業研究の一環としてしっかりと読み込み、面接対策に役立ててください。
東京スター銀行の面接では奇をてらった質問をされることは少なく、転職理由や経歴の確認など、中途採用面接としてはオーソドックスな内容が中心となるようです。自己分析は綿密におこない、「自分の強み・弱み」を整理しておく必要があります。これまでのキャリアの中から「東京スター銀行に入社したらできること」を明確にし、面接官にアピールできるよう準備しておきましょう。転職理由についてはネガティブさを排除して伝えられるよう、事前に回答を用意しておくことが望ましいです。
また、応募者の考え方や価値観を掘り下げる傾向もあります。「ミッションを遂行する上で何が一番重要だと考えますか?」「これまで『もっとできる』と思っていたことはなんですか?」といった質問を通じて、応募者の仕事に対する価値観や意欲を探掘り、人物理解を深めることを重視していると考えられます。対話を通じて「面接官は人間的に素晴らしい人であった」と感じた人もいるように、誠実に応募者の人柄と向き合う面接内容であることが多いため、こちらも真摯な姿勢で臨みましょう。
面接に臨む前に必ずおさえておきたいのが、東京スター銀行の中期経営計画です。2017年~2022年3月期までを対象としたこの中期経営計画では、難題を抱える経営環境の中、独自性を高めて生き残りを図る東京スター銀行の戦略が展開されています。
東京スター銀行 中期経営計画資料より
顧客研究やサービス拡充、徹底した差別化により、「顧客から信頼される相談相手」(=Trusted Advisor)となることをビジョンとして掲げる同社。この中期経営計画の骨子である成長戦略推進プロジェクトを「Project Trust」と名づけ、多方面から施策を進めていきます、
東京スター銀行 中期経営計画資料より
そして、個人ビジネス・法人ビジネスともにターゲット層を明確に設定し、そのニーズを浮き彫りにした上でソリューションを展開する方針です。特に個人ビジネスでは、30~40代層に加えてリタイアメント層をターゲットとし、同社の売りであるリバースモーゲージ商品を筆頭に、独自色の強いサービスを充実させていくとしています。
また、CTBCを親会社に持つ強みを活かして、アジアを中心に、企業の資金管理や海外進出支援にも積極的に取り組んでいく姿勢です。個人向け・法人向けともに、インターネットバンキングシステムを刷新し、顧客との接触チャネルの強化を目指します。
東京スター銀行 コーポレートサイトより
ユニークな商品を抱え、地銀として独特の立ち位置にある東京スター銀行。しかしこの中期経営計画では、「プロダクトセールスから脱却・進化し、カスタマー/セグメントにフォーカスしたサービスを提供すること」「プロダクトで獲得した顧客と総合取引関係を結ぶこと」に重点を置いています。
こうした戦略により「Trusted Advisor」のポジションを獲得したい同社は、中途採用においても「顧客に寄り添い、信頼を得られる人材」「ミッション(上図)実現に向け、顧客のサポーターとして積極的に業務に取り組める人材」を求めていると考えられます。能力やスキルに加え、誠実な人格をアピールできると有利でしょう。
一般的に、中途採用面接では「なぜ当社か」と問われることが多く、東京スター銀行もその例外ではありません。志望動機を問うことで面接官が知りたいのは、企業研究の度合いはもちろん、「東京スター銀行の特色や戦略を理解した上で、業務に取り組める人材かどうか」という点です。こうした面接官の意図に的確に応えるためには、同業他社の研究を通じて企業研究の奥行を広げておく必要があります。具体的には、以下のような企業について調べておくことをおすすめします。
東京スター銀行の経営戦略や、どういった人材を求めているのかが具体的に掴めてきたのではないでしょうか。東京スター銀行の場合、中期経営計画やビジョン、ミッションを理解した上で、誠実さをもって業務に取り組む姿勢が重視されます。
「外資系地銀ならではの実力主義かつ穏やかな社風」を踏まえた上で、「顧客が人生の確かな見通しを立てるための手助けができる、誠実で有能な人材」であると印象づけられるような自己PRを作成してみましょう。過去の経験の中から、PRとして効果的なエピソードをいくつかピックアップしておくと役立ちます。
以下、面接経験者が実際に聞かれた質問を口コミの中からご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、シミュレーションすることで面接対策の完成度を高めましょう。
東京スター銀行の採用面接を受けるにあたって、押さえておくべき重要なポイントをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
この3点についてしっかりと事前準備をおこなった上で、自分なりの考えを交えた誠実な内容に再構築し、面接当日は落ち着いた対応を心がけましょう。
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