2021年06月21日

「アマゾンはAmazon」唯一無二のEC企業に転職するにはコツがあった

【企業経験者インタビュー】有名企業や話題企業に勤務経験のある方に、社風・選考対策・年収など、転職の参考になるようなお話を伺います。今回はアマゾンジャパンです。


GAFAの一角を成し、Eコマースの雄としてグローバルスケールで事業を展開するAmazon。 転職業界でも人気があり目指す人も多いが選考難易度が高く、生半可では入社できない企業であることも知られています。
また、知名度の高さとは裏腹に同社は社内の情報を表に出さないことも有名で、伝え聞こえてくることだけで断片的に社風を判断するしかありませんでした。 そこで今回は元社員の方にお話を伺い、入社のきっかけ、選考過程、面接内容などアマゾンジャパンの実情を明らかにします。今回は本社に勤務経験のあるやまざきさんからお話いただきます。(オペレーション&カスタマーサービス部門とは異なる場合があります)

今回お話を伺ったOB

やまざきさん
日系の大手企業にて営業や企画を経験。その後Amazonに入社、取引先向けコンサルタントとバイヤーの業務を担当。2020年に退職し、現在は大手IT企業で勤務する傍ら、シェアリングエコノミーサイト「タイムチケット」で、アマゾンへの転職希望者向けの情報を販売しています。

アマゾンジャパンに入社したきっかけと担当した業務

私は、日系企業の営業や企画に携わってきましたが、「新しい経験をして見聞を広め、キャリアップしたい」という思いにかられ転職を決意しました。転職活動をする中で転職エージェントからの紹介を受けアマゾンに興味を持ち、チャレンジすることにしました。 アマゾンジャパンでは取引先企業へのコンサルタントやバイヤーといったポジションを経験しました。
アマゾンにはL1〜L12まで職務に応じたジョブレベルがあり、私の場合はL5でした。中途入社は主にL5で入社される方が多いです。 ポジションレベルについてもう少し触れると、L4は新卒入社、L6は管理職(一般企業で言うと部長クラス)です。目黒の本社にはほとんどいませんでしたが、L1~L3はバイト、パート、契約社員です。もちろんこのジョブレベルによって年収や部下の有無が変わってきます。部下を持つのはL6以上で、このレベルからビジネス英語のスキルが求められます。

東京・目黒にあるアマゾンジャパン本社には社員食堂がいくつかある。「メニューは和食、中華などもある。居酒屋チェーンの企業が委託で入っているのでどれも美味しい」(やまざきさん)※写真はアマゾンジャパンのサイトより

アマゾンジャパンの選考過程

アマゾンジャパンの応募経路には直接応募、転職エージェント経由、ヘッドハンティングの3つがあり、私の場合は転職エージェント経由での応募です。
小売業やEコマースの経験はあればベターですが、あまり重要視されません。ポテンシャルを見ている傾向があります。

選考は書類選考、1次面接、論文試験、2次面接と進み、晴れて入社となりました。

私の場合は初めての転職だったので、まずは自分がこれまでやってきた業務と成果についての棚卸し、職務経歴書を作るところから始めました。無事書類が通り、1次面接となるのですが、その時は自分の上司となる人との面接でした。

1次面接通過後に英語の論文試験があります。テーマは「これまでで最も大きな仕事の成果は何か」「困った状況において下した決断はどのようなものか」といったこれまで経験にまつわるものでした。成果やそのときにそのように判断した理由とその結果どうなったか、結果の評価などをA4サイズ2枚にびっしり書いて提出しました。

論文がOKとなると2次面接に続きます。2次面接はループ面接と呼ばれ、自分のポジションレベルから-1した人数と面接します。私の場合はL5なので-1して4人の面接官と面接するといった具合です。同日にということもありますが、それぞれ別の日に行われます。
ここでは自分が所属する事業部以外のL6クラスと面接をします。その中にはバーレイザーと呼ばれる、採用可否に強い決定権を持つ面接官が必ず1人は入ります。誰がバーレイザーかはわからないので注意が必要です。

2次面接まで終わると、アマゾン社内で採用するか否かのミーティングが行われます。ここでバーレイザーが採用に賛成しないと合格になりません。

採用決定となると、雇用条件の調整となり、条件が合えば入社となります。年収はおおまかに前職の1.2~1.4倍程度の額が提示されます。なお、入社後2年間はサインインボーナスと呼ばれる賞与が毎月支給され、それを合算したL5の年収は900万〜1200万のレンジです。それに加えてRSU(譲渡制限付き株式)が3〜4年目の2年間に渡り、一定の割合で付与されます。株式数は前職の雇用条件を元に算出されるため、個人個人バラバラです。L6以上であれば普通のサラリーマンでは考えられないような高年収になります。

社員の年齢層ですが、私と同じL5には35〜43歳ぐらいの年齢が多く思ってたよりも幅広い印象でした。長く勤務されている方には前職がスーパー、家電量販店といった小売業経験者が多かったと記憶しています。

アマゾンジャパンの面接内容

一般的に面接の難易度が高いと言われていますが、合否の基準が明確なため対策はしやすかったことを覚えています。

1次面接も2次面接も、「Customer Obsession」や「Ownership」など14項目からなる「Our Leadership Principles」に基づいて行われます。これはアマゾンの採用ページにも掲載されているので必ず確認してください。
「Our Leadership Principles」は社員全員がリーダーであるというアマゾンのカルチャーを象徴するもので、これにフィットする人物であるかどうか評価することに重きを置かれています。

1次面接では14項目を満遍なく聞かれる聞かれ、2次面接は面接官1人1人が2~3つのテーマを突っ込んで聞いてきます。例えば「Dive Deepとはこういうものなのですが、あなたの経験でDive Deepした経験があればお聞かせください」のような質問をされ、回答後に「なぜそうしたか」「最大の課題は何だったか」「うまくいかなかったらどうするつもりだったか」など、隙を与えないような質問を矢継ぎ早に出してきます。ここで、職務経歴書を作る際に棚卸しをしっかりして、それぞれの項目に当てはめておくことが大切です。もう一つ大切なのは必ず「数字」を問われます。例えば営業職であれば、どれくらいの売上、利益を上げたのかなど定量的な情報を盛り込んで説明できなければ面接通過は難しいです。

楽天のようなEコマースの同業他社を研究して対策するというのはほとんど必要ありません。アマゾンはアマゾンという企業であり、アマゾンのカルチャーやビジネスモデルを体に浸透させることの方が重要です。私の場合、この面接対策に20-30時間程度使いました。

アマゾンの「Our Leadership Principles」

アマゾンジャパンに入社する前に知っておきたいこと

私も勘違いしていたところがあるのですが、GAFAの一角ということでIT企業だと思いがちですが、Amazonは完全な「小売業」です。Amazonには「Flywheel」というビジネスモデルの概念があります。「取引社数を増やす」→「品揃えを増やす」→「安い価格で提供する」→「顧客満足度を高める」→「顧客を増やす」のサイクルを延々と続けて行くことです。このサイクルの中にKPIが置かれますので、日常業務はこれを常に意識しなければなりません。

私も小売出身ではなかったので、慣れるために結構苦労しました。入社後3ヶ月間はバディー制度というものがあり公に相談できる人がいるのですが、4ヶ月目からは独り立ちしなければならず、質問しようにもしづらい空気になります。なので3ヶ月のうちに覚えるべきことを覚え、実行しなければなりません。ドキュメントやツール類はほとんどが英語なので、ある程度の英語力は必要です。 またKPIの評価は毎週行われます。売上と利益が予算にどれだけ近づけられているか、達成できていないのであれば「なぜ達成できていないのか」の理由とその対策についての説明を求められます。体感的には日本企業の数倍のスピードで成果を求められます。

現在はテレワークで出社義務はありませんが、何百社という会社と取引し、何万点というアイテムを扱うため、やろうと思えばいくらでも仕事があります。なのでどこに重点をおいてどこの力を抜くかというさじ加減がうまくできないとかなりハードな仕事を続けなければならなくなります。 こういった面もあることを覚悟しておくことも大切です。

反面、優秀なメンバーとスピード感を持ったビジネスに携わることで自己成長でき、待遇も極めて恵まれているのがアマゾンの醍醐味です。興味のある方は自身のキャリア構築やアマゾンの文化理解を入念に行い、チャレンジすることをお勧めします。

やまざきさんのお話で、アマゾンジャパンについての理解は深まりましたでしょうか?
ここではお伝えできないような内容もたくさんお聞きしました。
もっと生々しいお話や具体的な情報を知りたい方はタイムチケットからやまざきさんに聞いてみてはいかがでしょうか?

アマゾンへ転職をお考えの方に。元社員が本当の実態お話します。 | タイムチケット

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チケットをご覧いただきありがとうございます。私は元アマゾンジャパンの正社員(2020年退職)です。アマゾンでは営業職(ベンダーマネージャー、ブランドスペシ...

やまざきさんが実践した職務経歴書のブラッシュアップや面接対策をサポートしてくれるエージェントサービスのご利用も転職には非常に心強いです。特にL6〜L8のハイレイヤーポジション(シニア〜本部長クラス)への転職にはエージェント経由での応募がほぼマストになっています。

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