【面接対策】独立行政法人国際協力機構(JICA)の中途採用面接では何を聞かれるのか

【面接対策】独立行政法人国際協力機構(JICA)の中途採用面接では何を聞かれるのか

外務省が所管する、政府開発援助の実施機関であり、開発途上国の「国創り」を仕事とする独立行政法人国際協力機構(JICA)への転職。中途採用面接では、これまでの仕事内容や成果、今後のキャリアビジョンを具体的に問われるほか、「人となり」も評価されます。事前対策をしっかりして自分を出し切り、転職を成功させましょう。


独立行政法人国際協力機構(JICA)の採用面接前に知っておきたいこと

社風への理解

「開発協力大綱の下、人間の安全保障と質の高い成長を実現する」ことをミッションとする、独立行政法人国際協力機構(以下JICA)。自らの仕事を、「開発途上国を舞台とした『国創り』」と定義し、10年20年先を見据えた国家・地域レベルでの協力戦略の策定や具体的なプロジェクト実施など様々な業務を展開しています。

「子供のころから国際協力を志していた」という職員は多く、そのミッションに対する共感と志の高さが同機構の特徴の一つ。当然、仕事に対する情熱と熱意も高く、「開発途上国の国作りの一助になっているという実感を得られる」「通常の仕事では味わえない緊張感ややりがいがある」という声が多く寄せられます。

仕事のスケールの大きさ、個々人に与えられる仕事の裁量についても、「全世界、全分野の事業を限られた人員で行っているため、若くても責任ある仕事を任せられる」「一人当たりの扱う金額、社会に与えるインパクトいう観点では、若手の裁量の大きさは群を抜いている」との口コミが多く見られ、それが「数億円から数百億円の事業を”自分でマネージしている”実感」と「大きなやりがい」につながっています。

若手のうちから大きな裁量を与えられるとともに、「若手でも自由に発言できる」「全体として自由闊達という雰囲気であり、比較的『議論が好き』な人が多い」ことも同機構の風土の特徴。仕事の進め方の上では、「官僚的」であったり「基本的に前例を踏襲する」という声も見られますが、自由闊達な風土は根付いているようです。

国際協力に対する高い志と情熱を持ち、自由闊達な風土の中で大きな裁量を持って国家的プロジェクトに取り組む。こうした社風にフィットする人材かどうかを、採用面接では見極められます。

選考は何次まで?

JICAのキャリア採用(社会人採用)は例年、6月~8月頃に選考が実施されます。2020年の場合は、以下のようなスケジュールでした。
①エントリー・応募:WEB上にてエントリーシート提出およびWEBテスト受験。2020年6月10日14:00締め切り。
②第一次面接:6月下旬ごろ。会場は東京のみ。テレビ会議も個別対応可能。
③第二次面接:7月上旬ごろ。同上。
④最終面接・健康診断:7月中~下旬。会場は東京のみ。
⑤内定:8月中を目途に通知。
⑥入構:9月1日付、10月1日付、11月1日付、1月1日付 のいずれかのタイミングで調整。

口コミによると、一次面接は1対1の個人面接で時間は約20分間、二次面接は部長~理事クラスの面接官で、面接官は2名、最終面接は役員クラス(複数名)によるもの、とのこと。また、「WEBテストで高得点を取らなければ面接にたどり着けない」「TOEICは860点以上ないと厳しい」という口コミも見られるため、しっかりとした準備が必要であると言えます。

面接内容の傾向は?

JICAの面接内容には、「国際協力に対する高い志と情熱を持ち、自由闊達な風土の中で大きな裁量を持って国家的プロジェクトに取り組む」という社風が大いに反映されています。質問内容には「どのような人物に今後なりたいか?」「あなたのキャリアプランは?」「JICAの国内事務所の役割はなんだと思うか?」といった質問が多く見られ、具体的な仕事内容というよりも、その人が持つ仕事観、キャリア観、そして「志」があるかを問われます。実際に面接を受けた人の口コミを見ても、「自分のやりたいことをアピールするよりは、国際協力という大きな志に心から共感していることを伝えるべき」とのことです。

応募者の口コミの中で多く見られたのが、「実際に機構で働いている職員に会って話を聞いた」というもの。仕事の進め方や独自のカルチャー、どんな「志」を持って働いているのか、生の声を聴くことは大変有効だということです。

また、高い英語力を求められるのはもちろんですが、面接の際に「今伺った志望動機を英語で言ってください」と言われることも。こうしたケースも想定して面接に臨みましょう。

独立行政法人国際協力機構(JICA)の面接攻略法(面接対策)

独立行政法人国際協力機構(JICA)の『ビジョン』と『アクション』を理解した上で自己分析をする

JICAの面接を受けるにあたり、同機構の『ビジョン』と『アクション』を理解し、共感を示すことが肝要です。

●ビジョン
信頼で世界をつなぐ
JICAは、人々が明るい未来を信じ多様な可能性を追求できる、自由で平和かつ豊かな世界を希求し、パートナーと手を携えて、信頼で世界をつなぎます。

●アクション
1.使命感:誇りと情熱をもって、使命を達成します。
2.現場:現場に飛び込み、人びとと共に働きます。
3.大局観:幅広い長期的な視野から戦略的に構想し行動します。
4.共創:様々な知と資源を結集します。
5.革新:革新的に考え、前例のないインパクトをもたらします。

「志の高さ」が社風の特徴ですが、それは上記の『ビジョン』『アクション』にも表れています。「信頼」や「使命感」といったキーワードから読み取ることができます。採用面接の際には、これらに共感していることを、具体的な職務経験をもとにアピールすることが有効です。応募した職務内容に活かせるキャリア・経験について、それが具体的にどのように活かせるのかを志望動機に落とし込むことはもちろん重要です。さらにその中で、仕事に取り組む姿勢として、「大局観」を持って目標設定をし、「使命感」を持ってそれを完遂したこと、そしてその中でも「革新」的な取り組みをしたことについて紹介するとよいでしょう。

「なぜ独立行政法人国際協力機構(JICA)に転職したいのか」の明確化には他社研究を

JICAの採用面接では、「なぜJICAなのか」という質問を必ずと言っていいほど投げかけられます。この質問の意図としては、「この人はJICAの事業内容を理解しているのか」「JICAで何を実現しようとしているのか」を確認するとともに、数ある国際協力機関や民間企業の中で、「なぜJICAを選んだのか」についても確認しようとしています。この質問に対して明確に回答するためには、他機関および民間企業についての研究が不可欠です。

同じく国際協力機関である国際連合や世界銀行、日本ユネスコ協会連盟や、ビジネスの側から国際的な課題を解決するという意味では総合商社などについても研究しておくことも有益でしょう。これらの研究を通し、JICAならではの強みや独自性、ここでしか実現できないことについて明確にし、それを志望動機に落とし込むことが大切です。

  • 国際連合
  • 世界銀行
  • 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟
  • 三菱商事株式会社
  • 三井物産株式会社

独立行政法人国際協力機構(JICA)の採用面接で実際に聞かれた質問内容

ここまで、JICAの社風、面接内容、『ビジョン』及び『アクション』についてご紹介してきました。JICAの求める人物像について、イメージが掴めてきたのではないでしょうか。

JICAの採用面接を受ける際には、「国際協力に対する高い志と情熱を持ち、自由闊達な風土の中で大きな裁量を持って国家的プロジェクトに取り組む」社風を意識して、「『大局観』を持って目標設定を行い、それを実現するために『使命感』と『革新的』に取り組める人材」と印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくとよいでしょう。

面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。

独立行政法人国際協力機構(JICA)の面接で聞かれた質問内容(キャリコネ)

[20代後半・男性/その他] 【結果:入社】

質問

どうして○○地域でのキャリアを積んでいきたいんですか?

回答

公募内容と自身の専門性との重複や類似性がしっかりと説明できる…(口コミの続きとアドバイスを見る

[30代前半・男性/その他] 【結果:内定を辞退】

質問

自分の専門分野以外の分野の部署に異動になった場合どうするか

回答

この組織で働いている友人がいたので事前に会って話を聞いた…(口コミの続きとアドバイスを見る

[20代後半・男性/その他] 【結果:入社】

質問

最終面接の最後で、「最後に1分間で自己アピールしてください」

回答

開発に対するやる気をみせるのが重要。それを裏付ける経験があると強い…(口コミの続きとアドバイスを見る

[30代後半・女性/その他] 【結果:一次面接で不採用】

質問

今伺った志望動機を英語で言ってください

回答

緊張のあまり全て表現しきれなかった…(口コミの続きとアドバイスを見る

独立行政法人国際協力機構(JICA)の採用面接に向けて

JICAの採用面接を受けるにあたって、押さえていただきたいことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下3つのポイントです。

  • 「国際協力に対する高い志と情熱を持ち、自由闊達な風土の中で大きな裁量を持って国家的プロジェクトに取り組む」社風を意識して、「『大局観』を持って目標設定を行い、それを実現するために『使命感』と『革新的』に取り組める人材」であることを、具体的なエピソードをもってアピールする。

  • JICAで大切にされる『ビジョン』と『アクション』に沿った自己分析を行い、有効な自己PRにつなげる。

  • 他機構および民間企業についても研究することで、「なぜJICAなのか」という質問に対する答えを明確にしておく。

これらを参考に準備を進め、面接当日は、JICAで働くこと、自分が実現したいことについて、情熱と志を持って、自分の言葉で伝えましょう。

この記事の執筆者

東京大学卒業後、大手自動車メーカー入社。人事部門に配属。女性の働き方プロジェクトリーダーを担当。