2021年06月21日
キヤノングループの中で、国内マーケティングとソリューションの提供をおこなう、キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)への転職。中途採用面接では、これまでの仕事内容や成果、今後のキャリアビジョンを具体的に問われるほか、「人となり」も評価されます。事前対策をしっかりして自分を出し切り、転職を成功させましょう。
1968年、キヤノンにおける製販を分離し、その販社機能を担うキヤノン事務機器販売が設立されました。2006年には情報サービス中心のビジネス展開を目指し、付加価値創造型企業としての体を表すべく「キヤノンマーケティングジャパン」に社名を変更。現在ではキヤノングループの代表的企業として、日本国内のマーケティング、およびキヤノンの強みであるイメージング技術や独自のITを駆使したソリューションの提供をおこなっています。
キヤノンの看板を背負う同社社員の口コミからは、「大規模な商談のキーとなる仕事ができる」「販売のみならず総合的な提案をできるのが面白い」など、重要案件に携わることへの誇りが感じられました。社風については「昭和の気風を残している」「年功序列で、個人の裁量権は小さい」といった声が見られます。出世のハードルも比較的高く、担当案件の重要度や安定的な成果などにくわえ、協調性や部署内での立ち回り方など、組織としての合理性が重要視されるようです。
一方、ワークライフバランスを追求した環境も見えてきました。とくに「有給休暇や長期休暇がとりやすい」という声が多く聞かれます。女性の働き方においては、管理職などのキャリアを望むのは簡単ではないものの、「産休・育休、時短勤務は当たり前に利用でき、復職者は多い」「平均以上の報酬がもらえる」とのこと。キャリア志向の強い人には物足りない可能性もありますが、プライベートも大切にしながら安定して長く働きたい人には、好環境であると言えます。
保守的な文化を残しつつ、大規模組織ゆえの安定感と制度面で社員を大切にし、長く働ける環境を担保する同社。このことは、プレッシャーを背負い大きな仕事に臨む社員の基盤となっています。採用面接では、このような社風にフィットする人材であるかを見極められます。
2021年5月現在、コーポレートサイトに募集情報の掲載はありませんが、エージェントサービスを介した中途採用が実施されています。キャリコネにも、法人営業、セキュリティ関連の商品企画、ITプロジェクトリーダー、経理など複数の求人情報が掲載されています。なお、コーポレートサイトの採用情報ページには、採用に関する相談窓口が設けられており、採用課へのコンタクトが可能です。
選考内容は、口コミ情報によると書類審査と数回の面接となっています。また、適性検査が実施される可能性もあるようです。選考期間は2週間から1ヶ月と考えておくとよいでしょう。
いずれの職種においても、関連分野での一定期間以上の職務経験が求められています。経験10年以上の人材を募っている職種や、海外への拡販支援など中級以上の英語力を条件とする職種もあるので、まずは募集要項を見て詳細を確認しましょう。
同社の面接を受けるにあたり理解しておきたいのが、「長期経営構想」です。2020年までの長期経営構想の中で同社は、事業ポートフォリオの見直しと強化を図ってきました。
その結果、2019年には過去最高の純利益をあげ、2020年にはコロナ禍の影響で減収となったものの、レンズ交換式カメラやレーザープリンターなど4つのカテゴリで国内シェア1位を堅持。利益率においては前年比増を記録しています。これを踏まえ同社は、2021年からの5年間を対象とした「2021-2025長期経営構想」を新たに策定しました。
同社コーポレートサイトより
この構想では、社会課題の解決による企業価値の向上を戦略の柱としています。同社の製品とITソリューション、それぞれの持てる力を最大化し、解決可能な社会課題の領域を広め、社会貢献につなげていくという考え方です。
この実現に向けて、ポートフォリオの継続的な最適化、事業やシステム、人材への投資を通じた高収益体制と好循環の創出に注力するとしています。同社の企業理念を知ることで、この構想の背景に対する理解を深められるでしょう。
同社コーポレートサイトより
また、1988年に提唱されたキヤノングループの理念は、全ての人類が永く幸せに暮らせる社会の追求を掲げたものです。同社が社会課題解決への寄与を強く望む理由はそこにあり、企業活動の根幹となっています。
こうした中長期的な展望や具体的な取り組みについては、同社が公開している経営計画の資料などから読み解くことができます。企業研究で得た知見を志望動機に落とし込み、社会貢献への意欲やそのためのアイデアなどにも考えを広げておければ有利になるでしょう。あわせて、キヤノングループの行動指針である、三自の精神「自発・自治・自覚」も自己分析のヒントとなります。
面接を受けるにあたっては、「なぜキヤノンMJなのか」について熟考しておくことが大切です。面接官はこの質問により、候補者のキャリアや人間性を活かす場として、同社が本当にふさわしいかを確認します。そして、これは企業理解の度合いを見極める質問であることを念頭に置きましょう。
同社に対する理解を深める手段としては、競合他社についての研究が有効です。まずは、国内のみならず海外市場をも分けあう、日系大手メーカーの特性や動向について知見を深めてみてください。一度業界マップを描いてみるのもよいでしょう。キヤノンの独自性や立ち位置を把握した上で、同社でなければならない理由を論理的に導き出し、情熱を持って伝えしたいところです。
具体的には、以下のような大手メーカーが研究対象となるでしょう。
株式会社ニコン
リコージャパン株式会社
セイコーエプソン株式会社
ソニーマーケティング株式会社
ここまでの研究を通し、同社の方向性や求める人材像について理解が深まってきたのではないでしょうか。
同社の場合、「保守的な文化を残しつつも、制度面が整った安定感のある社風」の中で、「社会課題解決への貢献意欲と三自の精神を持ち、プロジェクトに誇りをもって取り組める人材」であると印象づけられるよう、正直かつ戦略的に自身を売り込んでいきましょう。その際、具体的なエピソードを用意しておくとより効果的です。
以下、面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。面接対策の一環として、自分ならこれらにどのように答えるかシミュレーションしてみてください。
キヤノンマーケティングジャパン株式会社の面接で聞かれた質問内容(キャリコネ)
キヤノンMJの中途採用面接を受けるにあたって、押さえておきたいことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3点です。
「保守的な文化を残しつつも、制度面が整った安定感のある社風」の中で、「社会課題解決への貢献意欲と三自の精神を持ち、プロジェクトに誇りをもって取り組める人材」であると印象づけられるよう、具体的なエピソードを用意する。
同社の「長期経営構想」とキヤノングループの「企業理念」を理解し、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
競合他社についてもよく研究し、「なぜキヤノンMJなのか」に対する答えを明確にしておく。
これらを軸に入念に面接対策をおこない、自身のキャリアや入社に対する意欲を存分にアピールできる面接にしましょう。
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