【年収研究シリーズ】アステラス製薬の年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。
アステラス製薬は2018年3月18日、花粉症ワクチン「ASP4070」の最終臨床試験を行うと発表しました。
このワクチンは、国民の4人に1人が苦しめられているスギ花粉症の根本治癒を目指す「次世代型ワクチン」です。数カ月の治療期間内に一定間隔で注射をし、アレルギー反応を徐々に弱めていく免疫療法製剤で、現在他社が販売している舌下式でまれに起こる「アナフィラキシー」の危険性がないため、このワクチンにより、患者の負担が少ない花粉症の治療法が数年後に確立するのではないかと期待されています。
2005年4月1日に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して誕生した、アステラス製薬。
現在は医療用医薬品のみを扱っており、近年では眼科や再生医療など事業領域を広げていますが、元々がん治療薬の開発に強く、前立腺がんの薬「イクスタンジ」が北米を中心に伸びており好調です。
さらには鳥取大学との共同研究により、がん細胞だけを攻撃する「腫瘍溶解性ウイルス」を開発し、新たながん治療薬として製品化に取り組むなど、積極的に事業展開しています。
それでは、アステラス製薬の年収はいったいどれくらいもらっているのか、またなぜそんなに高いのかを探っていきましょう。
アステラス製薬の平均年収は1064.4万円
アステラス製薬の有価証券報告書によると、平均年収は1064.4万円と記載されています。キャリコネに投稿された給与明細を参考にアステラス製薬の年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で630〜680万円、30歳代で880〜930万円、40歳代で1100〜1150万円となりました。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ2.15倍の額です。
■アステラス製薬の平均年収推移
アステラス製薬・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
アステラス製薬の平均年収は前年を上回り1064.4万円でした。
過去5年間では2番めに低い額になりました。
アステラス製薬の年代別平均年収と中央値
■アステラス製薬の年収中央値は30代で902.2万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
アステラス製薬と競合他社の平均年収を比較
アステラス製薬の競合や同業界である第一三共、武田薬品工業、エーザイ、中外製薬の5社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、アステラス製薬が1064.4万円、第一三共が1094.9万円、武田薬品工業が1105.1万円、エーザイが920.1万円、中外製薬が1155.8万円です。
この5社の中で最高額は中外製薬の1155.8万円で、最低額がエーザイの920.1万円。その差はおよそ236万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中ではアステラス製薬は4番目に位置します。
アステラス製薬の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
アステラス製薬の年収が高い理由
■国内2位の売り上げ
製薬メーカーは軒並み平均年収が高いことで知られています。
業界の傾向として、
・グローバル規模で活動しているため売上高が大きい
・特許により独占的収益を確保できることから利益率が高い
ということが、平均年収が高い理由です。
アステラス製薬は、日本国内売上高トップの武田薬品工業に次いで、国内2位の売上高を誇ります。2018年度の売上高は1兆3063億4800万円、営業利益は2439億1200万円で、武田薬品工業の営業利益2049億6900万円よりも高く、さらに利益率は18.6%と業界の中でもトップクラスです。
その利益を社員に還元する仕組みが整っているため、ボーナスが高いことも高年収の理由のひとつです。早い人は30代で1000万円の大台に達しますが、平均的には40代で超え、その頃から徐々に年収の差がついてきます。
その中でも、同業他社と同じくMR(営業)職が他の職種に比べて高く設定されています。
アステラス製薬社員の給与明細(キャリコネ)
一気に倍近くに!
20代・MR(非管理職)の
給与明細
30代・MR(非管理職)の
給与明細
ボーナスの存在はやはり大きい!
20代・MR・賞与あり(非管理職)の
給与明細
20代・MR・賞与なし(非管理職)の
給与明細
年収の高さばかりに目を奪われがちですが、就職・転職を検討するにあたり気をつけなければならないことはないのでしょうか。
アステラス製薬で働く上での懸念点・課題
■MR職は休日出勤が多い
アステラス製薬の中でもとりわけ年収が高いMR(営業)職は、休日に講演会を組むことがあり、拘束時間が不規則かつ長くなりがちな側面があります。仕事のスケジュールは顧客である医師に合わせざるを得ないため、早朝深夜に仕事を強いられることもしばしばあります。
そういった点が人によっては懸念材料となるかもしれませんが、逆に言えばそれ以外に気がかりになりそうな点は、とくに見当たりません。
ただし口コミを見てみると、
「社員のレベルが全般に高くてついていけない」
「周りにいる社員がレベルが高く、ついていくのに大変」
「仕事ができなくても辞めさせられることはないが、居づらい気持ちになる」
といった、優秀な社員が多いゆえの悩みが書かれています。
その他、努力をすれば必ず数字に表れるといった性質の仕事ではなく、「運」がモノをいうといった口コミも複数あり、営業の場においては、自分が上手に説明しないと、競合他社に負けてしまう可能性や自社の薬品を採用してもらえなくなるという不安やプレッシャーを感じる人が多くいます。
結局アステラス製薬は就職・転職先として選んでもいいのか
ここまでアステラス製薬を見てきました。結局「就職・転職先として選んでもいいのか」なんですが、
結論から言うと「選ぶべき」です。
もちろん大変な分、製薬会社で働く醍醐味はあります。
医師や患者から感謝されることが多く、仕事としてやりがいを感じられますし、また給料や福利厚生については文句のつけどころがありません。
アステラス製薬は、約1割の家賃負担をしてくれることや、男性の育児休暇制度、有給休暇を積極的に消化させようとする流れもあり「ホワイト企業」と言い切って間違いないです。
さらに医薬品は人を治療して終わりではなく、その治療で患者を救うことで患者とその周囲の人に「喜び」を与えることにもなります。それゆえにアステラス製薬に就職する難易度は高く、優秀な社員が揃っていると言われています。
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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