【年収研究シリーズ】KDDIの年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。
KDDIは2018年11月、楽天との業務提携を発表し世間の話題を一気にさらいました。
この提携により、KDDIが全国の通信網を提供する代わりに、楽天は物流インフラを提供することになります。
双方のメリットは、KDDIはスマートフォン決済で楽天の持つインフラを利用することができ、対して楽天はローミング契約も結んだことで、2019年秋の携帯電話事業への参入時にKDDIの通信設備を活用することが可能となるのです。携帯電話の基地局の整備にはコストと時間を要しますが、楽天にとっては開始当初から全国規模でサービスを提供する目途がついたということになります。
これまではNTTドコモ、ソフトバンクとともに、3社で独占し続けていた国内携帯電話事業ですが、自ら崩しにかかったKDDIに大きな注目が集まっています。大規模な3社へ挑戦を仕掛けていた楽天と、逆に手を組んだKDDIの今後の動向に期待したいところです。
またKDDIは年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。
KDDIの平均年収は945.4万円
KDDIの有価証券報告書によると、平均年収は945.4万円と記載されています。キャリコネに投稿された給与明細を参考にKDDIの年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で480〜530万円、30歳代で740〜790万円、40歳代で950〜1000万円となりました。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ1.91倍の額です。
■KDDIの平均年収推移
KDDI・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
KDDIの平均年収は前年を下回り945.4万円でした。
過去5年間では3番目の額になりました。
KDDIの年代別平均年収と中央値
■KDDIの年収中央値は30代で755.2万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
KDDIと競合他社の平均年収を比較
KDDIの競合や同業界であるソフトバンクグループ、楽天グループの3社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、KDDIが945.4万円、ソフトバンクグループが1322.3万円、楽天グループが774.1万円です。
この3社の中で最高額はソフトバンクグループの1322.3万円で、最低額が楽天グループの774.1万円。その差はおよそ549万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中ではKDDIは2番目に位置します。
KDDIの競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
KDDI社内で年収が高い職種・役職は?
■半期毎の個人評価で年収が変わる
KDDIの役職別における年収の目安は、課長補佐で700万円、マネージャーで1000万円前後です。
学士卒で早ければ8年目あたりで課長補佐になることができ、早くて35歳くらいからマネージャーになるようです。ちなみにグループリーダーになると手当てがつくため、給与アップにつなげることができると考えてよいでしょう。
賞与は会社の業績賞与と個人の業績賞与の合算で決まり、その割合はランクによりますが半々と考えてよさそうです。会社の業績賞与は全体の大きな目標達成状況によって決まり、個人の業績賞与は半期ごとの評価で決まります。個人の評価は段階によって金額が異なるため、たとえ同じ役職であっても年収に差がついてくることは理解しておく必要がありそうです。
KDDI社員の給与明細(キャリコネ)
20代から30代に向かって、高いまま推移!
20代・技術関連職(非管理職)の
給与明細
30代・技術関連職(非管理職)の
給与明細
賞与があれば、さらに年収アップは確実!
30代・パートナーセールス(賞与なし)の
給与明細
30代・パートナーセールス(賞与あり)の
給与明細
伊藤忠エネクスの見落としがちな留意点、課題は?
■政府が推し進める料金値下げでどうなるか
懸念点は、やはり政府が推進している携帯電話料金の値下げです。これまで総務省から幾度と料金値下げを求められてきました。それを受けて、携帯端末代金と通信料金の分離、安い料金プランの設定などで対応してきましたが、結果、携帯端末の買い替えを頻繁にしない人、携帯電話をあまり使わない人がやすくなるといったものでお茶を濁すことに。携帯電話代金の割引が無くなったため逆に割高になった利用者も増えてしまいました。その状況に業を煮やした政府は通信料金そのものを欧米並みに引き下げを迫っています。
通信事業の減収が見込まれるなか、頼りとなるのは非通信事業ですが、大手3社の中でもKDDIはその分野がもっとも弱いことが不安材料です。
ソフトバンクは傘下のヤフーが手がける「ヤフオク」や「Yahoo!ショッピング」、NTTドコモは「dマガジン」や「dショッピング」などを展開しており、さらにこれらのサービスに付加価値をつけ、消費者を引き込んでいます。
一方のKDDIは、子供向け施設「キッザニア」の運営会社や英会話のイーオンホールディングスを買収したものの、散発的であることは否めません。またネット通販の「Wowma!(ワウマ)」の知名度は低いままです。スマホの決済サービスでも、大きく出遅れている手痛い現状があります。
KDDIには年収以外にメリットはある?
ここまでKDDIの年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?
懸念点はあるものの、冒頭で紹介した楽天との業務提携が非通信事業の救いとなるかもしれません。楽天はネット通販で9870万人もの会員を持ち、楽天スーパーポイント制度を浸透させています。この存在がKDDIの弱点を補う可能性は大いになるでしょう。
ライフシーンを幅広くカバーする、さまざまなサービスを共通IDで利用することができる「楽天エコシステム(経済圏)」を構築してきた楽天と手を組むことで、KDDIが楽天の利点を活用して目指すのは、通信とライフデザインの融合による新たな顧客価値の創出に他なりません。
金融サービスにEコマース、それに最新の技術を組み合わせた先には、通信の枠を超えたKDDIならではのさらなる発展が垣間見えます。この経済圏の最大化という新たな成長戦略こそ、3大企業の中におけるKDDIならではの特質と考えられます。
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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