【平均年収737.9万円】日本信号社員の給料は実際いくらもらっているのか？

ここのところ、都営地下鉄の自動券売機が進化していると話題になっています。券売機の画面は、誰でも見やすいように従来に比べ大きな32インチの高精細ディスプレイに変わり、日本語と英語だけであった対応言語も、中国語（簡体字および繁体字）、韓国語、フランス語、スペイン語、タイ語を加えた8言語に対応するようになりました。実際の切符購入方法についても、以前のように頭上の大きな路線図から目的地を探さずとも、手元の画面上に表示された路線図から目的地をタッチするだけの手軽さになりました。しかも「観光スポットで探す」ボタンを押せば、目的地の駅名がわからなくても東京タワーや秋葉原といった人気の観光スポットの最寄り駅までの切符を買えるほど、券売機は進化しているのです。

2020年の東京五輪を控え、ますます増加するであろう訪日観光客に対しても、また今後の高齢化社会対策としても、券売機の利便性は社会に歓迎される進化だといえるでしょう。これほど進化した券売機をつくった企業はズバリ「日本信号」です。社名に掲げる信号関連事業のみならず、このように社会インフラの立役者として、1928年の創立以来、90年以上の歴史を培ってきたのです。

また日本信号は年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。

日本信号の平均年収が高い背景には、優良な顧客層と事業の多角的展開が大きく影響しています。
日本信号における2大事業分野は、交通運輸インフラ事業とICTソリューション事業です。顧客には鉄道交通各社や警察など、今後も消滅する可能性がまずない、優良な顧客ばかりが名を連ねています。

社名に掲げる信号や踏切遮断器のように、鉄道や自動車が走るために必要な装置にとどまらず、駅員の業務を自動化するための自動改札機や駅案内ロボットなどのオートメーション化にも貢献しています。さらに、それらを応用した駐車場システムなどICTソリューションも展開するなど、自社の技術を多岐に広げる事業展開を行っているのです。

事業別の売上比率を見てみると、交通運輸インフラ事業は全体の52.2％、ICTソリューション事業が47.3％を占めており、社内における事業のバランスの良さがわかるでしょう。また日本信号は、高い技術力を生かして積極的に海外展開しています。最近では中国やインドに現地法人を設立、そして今日に至るまでに世界25の国や地域で、鉄道インフラ整備事業等のプロジェクトを数多く行っています。

日本信号の給与は、新卒入社時のコースによって異なるようです。2017年4月の大卒初任給の実績を見ると、総合職（クリエイトコース）は21万1000円、技能職（エキスパートコース）は18万1000円となっており、入社時点で3万円の差があります。総合職には職種制限がないようですが、全国転勤の可能性があるようです。一方の技能職は、埼玉か栃木にある営業所が勤務地となり、主に生産や品質保証などの仕事に携わることになります。

日本信号では年功序列の風潮があり、年齢とともに年収が上がっていくようです。年収の目安として、主任クラスで年収500万円、課長クラスで700万円と考えてよさそうです。

年収の高さばかりに目を奪われがちですが、就職・転職を検討するにあたり気をつけなければならないことはないのでしょうか。

日本国内の鉄道インフラ需要は、人口減少によって新規建設ではなく設備更新などにシフトしている点が懸念材料として挙げられます。しかしながら先述のように、日本信号は海外での事業にも力を入れているため、今後の海外展開の動向に期待が寄せられます。

また一部の役職や部門の労働環境も懸念点の1つです。取り扱う製品が公共インフラを支えているため、不具合などが発生した場合には昼夜休日を問わず呼び出される可能性があり、迅速な対応が求められます。たとえば鉄道事業の場合には、機器の搬入や工事を行う時間帯が電車の走らない夜間に限定されるなど、ワークライフバラスの取り方に工夫が必要になるかもしれません。

ここまで日本信号の年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか？

日本信号は、2020年の東京五輪に向けて安全対策やインバウンド対策にも貢献しています。日本信号の主要顧客である鉄道各社にとって、今後ますます増加する訪日観光客対策として、駅のホームドア設置や音声駅案内ロボットの導入は避けられません。これらの設備への投資意欲が高まってきていることは日本信号にとって追い風となるでしょう。

また現代問題となっている宅配業界の人手不足解消のため、無人運転の実験にも一役買っています。日本信号は、宅配車両の自動運転に対して車両走行の円滑化に役立てるため、信号のデータを携帯電話網を介して車両で受信する技術の実証実験をDeNAと共同で実施しました。

このように日本信号は、時代によって変化する必需のあり方に柔軟に適応し、自らの技術をうまく活かしていける企業なのです。