ヤマハの採用面接前に知っておくべきこと
■社風への理解
楽器や音響機器をはじめとする幅広い製品、音・音楽に関わるサービスの提供を行うヤマハ。1987年に前身である「日本楽器製造株式会社」から、「ヤマハ株式会社」へと社名を変更しました。ピアノをはじめ、ドラム・トランペット・バイオリンなど約100種類以上の楽器を製造する、世界最大の総合音楽メーカーです。製品の質の良さは国内だけではなく、海外においても高く評価され、中でもピアノの生産量においては、世界シェアNo,1を誇っています。
そんなヤマハは、昔ながらの会社というイメージが強く、「保守的な会社」「決裁回覧などで時間がかかることが多い」「スピード感のある企業を好む人には向かない」「ベンチャー気質を嫌う」などという声が見られます。昔ながらの古い体質が残っている風土のため、個人に裁量権が与えられるというよりも、1つ1つ上司に承認を取りながら業務や企画を進めていくスタイルです。ベンチャー志向や進的な取り組みをしたい方より、ヤマハの社風やブランド価値を理解し、共に世界的商品・価値あるサービスを提供できる人物が好まれるようです。
一方で音楽愛好家が多い特徴があり、社員の半数以上が楽器演奏を趣味としてます。性格が温厚で外交的な人が多く、そのような人材構成が穏やかな雰囲気のある社風を創りあげているようです。また音楽を共通の趣味として部署を超えての交流も盛んなようです。そのため上司や同僚に対して、自分の意見をどんどん発言できる風通しの良い働きやすい環境があります。
またお客様はもちろん、従業員のステークホルダーも大切にしているヤマハでは「本社付近に独身寮がある」「ヤマハの製品は、三割引で買えます」「残業代もちゃんと出る」といった口コミが多数みられ、福利厚生への満足度の高さが伺えます。部門にもよりますが、休日出勤はほぼなく、残業においても規定時間を越えないように管理がされているので、ワーク・ライフ・バランスがはかりやすい会社でもあるといえるでしょう。
ヤマハでは、個性や創造性を尊重し合う風土の中で、お客様の深厚なる満足のために、豊かな創造性と感性で、高品質かつ世界的に価値ある商品・サービスを提供する姿勢を持つ。こうした社風にフィットする人材かどうかを、面接では見極められます。
■選考は何次まで?
ヤマハの中途採用プロセスは、筆記テスト2回と部門面談、最終選考の流れで行われます。部門面談では、部門担当者との面談に加え適性検査が行われます。プロセスが多い分、選考の期間は1ヶ月程かかります。
ヤマハの主な募集職種は、「スタッフ」「営業」「マーケティング」「研究開発」「技術開発(楽器事業)」「技術開発(音響機器事業)」「技術開発(部品・装置事業)」の7職種。
実際の募集職種は、これらの職種がさらに細分化されています。あらかじめ配属を希望する職種の情報収集をしっかりと行い、多数ある職種の中でもなぜその職種を希望したのかという動機を明確に説明できるように準備をしておきましょう。
■面接内容の傾向は?
面接内容には、「個性や創造性を尊重し合う風土の中で、お客様の深厚なる満足のために、豊かな創造性と感性で、高品質かつ世界的に価値ある商品・サービスを提供する姿勢を持つ」という社風が大いに反映されています。
『お客様に音楽の楽しさを知ってもらいたい』と理念を持つヤマハでは、提供製品やサービスへのこだわりを強く持っています。そのため採用面接では、「音楽の専門家として仕事に取り組む姿勢」も重要視されています。
また職務経験や志望動機などの一般的な質問に加え、「ヤマハへの思い」など意表を付かれる質問が出ることもあり、「世界トップブランドとしての誇り」や「個性や創造性を尊重し合う社風」の理解が求められます。
面接時の中でも特に「なぜ前の会社を辞めてヤマハを希望するのか?」を問う質問が多くみられ、かつ深く掘り下げられる傾向にあります。前職を辞めた理由とヤマハを選んだ理由が明確で納得できるものでなければ、内定には繋がりません。
ヤマハの面接対策についてもっと具体的な情報を知りたい場合は、引き続きこの記事をお読みください。面接攻略法や、過去の面接で実際に聞かれた質問内容とその回答例をご紹介します。
ヤマハの面接攻略法(面接対策)
■ヤマハの企業経営の軸「ヤマハフィロソフィー」を理解した上で自己分析をする
ヤマハの面接を受ける上では、企業経営の軸である「ヤマハフィロソフィー」を理解しておくことが不可欠です。「ヤマハフィロソフィー」では、以下4つの企業経営の「軸」が設定されています。
●「企業理念」
ヤマハグループは何のために存在するのか、何に向かって仕事や経営を行うのかを示したものです。
●「顧客体験」
企業理念をお客様の視点から具体的に示したものであり、お客様がヤマハの製品・サービスを手にし、使用された時に、心と五感で感じていただくことができる体験を明示したものです。
●「ヤマハクオリティー(品質指針)」
企業理念を具現化するために、私たちが製品・サービスに込めたこだわりや、モノづくりに対する基本的な考え方“品質指針”としてを示したものです。
●「ヤマハウェイ(行動指針)」
ヤマハグループで働く全ての従業員が、企業理念を具現化するために、日々、何を意識し、どのように行動すべきかを“行動指針”として示したものです。
ヤマハフィロソフィーは今後活躍する人材を採用する人事戦略にも影響します。しっかりと理解した上で自己分析に落とし込み、面接でこの『ヤマハフィロソフィー』に合致する人材であることをアピールしましょう。
4つで構成されているヤマハフィロソフィーの中でも、特に「ヤマハウェイ(行動指針)」には、ヤマハが求める人物像が具現化されています。『お客様に音楽の楽しさを知ってもらいたい』という理念を持つヤマハでは、前職で自分が関わった製品開発やプロジェクトを通じて、『お客様にどのような感動を与えたのか』といった自身の経験を具体的にアピールすると良いでしょう。
例えば顧客満足度を上げるために、プロとしての技術力をどのように磨いたのか、何を改善したのかをヤマハフィロソフィーの「顧客体験」や「ヤマハクオリティー(品質指針)」を意識しながら伝えることにより、社風にマッチする人材であることをしっかりとアピールできるでしょう。
■「なぜヤマハに転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
ヤマハの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜヤマハか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、ヤマハという企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
- 株式会社河合楽器製作所
- ローランド株式会社
- カシオ計算機株式会社
ヤマハの採用面接で実際に聞かれた質問内容
このように、ヤマハの採用面接を受ける前には、ヤマハフィロソフィーに基づいた自己分析や、他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、「個性や創造性を尊重し合う風土の中で、お客様の深厚なる満足のために、高品質かつ世界的に価値ある商品・サービスを提供する」という社風を意識しましょう。
お客様に音楽の楽しさを知ってもらうため、専門性を極め、製品・サービスへのこだわりを高く設定し、常に音楽のエキスパートとして意識を持てる人材であることを印象付けられるよう、様々なエピソードを準備しておくと良いでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
33歳男性/電子楽器部門 職種:システムエンジニア【結果:一次面接で不採用】
女性/技術サポート 職種:カスタマーサポート【結果:一次面接で不採用】
39歳男性/海外営業【結果:一次面接で不採用】
女性/経理【結果:内定】
ヤマハの採用面接に向けて
ヤマハの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 「個性や創造性を尊重し合う風土の中で、お客様の深厚なる満足のために、豊かな創造性と感性で、高品質かつ世界的に価値ある商品・サービスを提供する姿勢を持つ」という社風を意識する。そして、世界トップシェアを誇る、価値ある商品を生み出すために、常に音楽のエキスパートとしてプロ意識を持てる人材であることをアピールする。
- ヤマハの企業経営の軸である『ヤマハフィロソフィー』理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
- 競合他社についても研究し、「なぜヤマハか」に対する答えを明確にしておく。
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経営コンサルティング会社で採用コンサルやデータ分析を行いながらライターとして活動中。得意分野はスタッフ採用と教育。