今回取り上げるのは、鉄鋼、建設機械、アルミ・銅など幅広い事業を「KOBELCO」のブランドで世界に展開する神戸製鋼所です。
2022年08月05日
【給与明細のひみつシリーズ】平均年収はどれくらい?年棒それとも月給制?ボーナスは年何回?などの給与体系についての素朴な疑問を、取材データや口コミの内容を通じてお答えします。
今回取り上げるのは、鉄鋼、建設機械、アルミ・銅など幅広い事業を「KOBELCO」のブランドで世界に展開する神戸製鋼所です。
まずはじめに神戸製鋼所の平均年収を見ていきましょう。神戸製鋼所の平均年収は546.9万円です(神戸製鋼所有価証券報告書)。キャリコネに投稿された給与明細を参考に神戸製鋼所の年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で350〜400万円、30歳代で490〜540万円、40歳代で610〜660万円という結果がでました。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.11倍の額です。
決算月 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2022年3月期 | 546.9万円 | 38.9歳 | 15.2年 | 11296人 |
2021年3月期 | 520.6万円 | 38.9歳 | 15.2年 | 11837人 |
2020年3月期 | 569.6万円 | 38.9歳 | 15.6年 | 11560人 |
2019年3月期 | 569.9万円 | 39歳 | 15.9年 | 11401人 |
2018年3月期 | 540万円 | 39.2歳 | 16.3年 | 11191人 |
出典:神戸製鋼所・有価証券報告書
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
神戸製鋼所の平均年収は前年を上回り546.9万円でした。
過去5年間では3番目の額になりました。
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 369.9万円 | 25.4万円 | 57.2万円 | 332.91万円 |
30代 | 511.1万円 | 34.7万円 | 79.1万円 | 459.99万円 |
40代 | 635万円 | 42.8万円 | 98.4万円 | 571.5万円 |
50代 | 750.7万円 | 50.3万円 | 116.3万円 | 675.63万円 |
※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出
神戸製鋼所の給与体制の特徴として、年功序列の色が強いということがあります。
そのため、一定年齢までは同時期に入社した社員同士での年収差は大きくありません。
入社8年目までは毎年1万円ほど昇給され、8年目に主査(係長)になる試験を受けます。
9年目には同時期入社した社員のうち7割前後が主査となり、このフェーズで年収が100万円前後増加します。
35歳以降は、査定で優秀な成績を収めた社員から管理職に就任していきます。
年収事例としては、29歳・主務で500~600万円、32歳・主査で600~700万円、36歳・主任部員で1000万円、そして45歳・室長1200万円と給与が順次アップしていきます。
ただ、ボーナスが事業部門ごとの業績により大きく変動するので、その点で注意は必要です。
神戸製鋼所社員の給与明細(キャリコネ)
賞与額は100万円もの差!
20代技術職(非管理職)の 給与明細
30代技術職(非管理職)の 給与明細
同年代でも基本給に格差あり?
30代営業職(非管理職)の 給与明細
30代技術職(非管理職)の 給与明細
年収は月給および年2回(6月と12月)の賞与、残業や通勤などの諸手当で構成されています。
そのほか、配属先により職場環境手当が月1万円前後支給されます。
平均年収の推移でお話ししましたが、賞与は業績により大きく変動します。事業部門ごとの経常利益が算出されるため、部門間で支給額が変わるのも特徴です。
ただ、年収構造については、神戸製鋼所はじめ高炉製鋼大手が取り組む賃金制度の刷新が、2021年度の実施を目途に進められています。そこでは60歳から65歳への定年延長をきっかけに、全世代の賃金体系を変えることが報道されています。
具体的には、年齢に応じてあがる「基本給」より、役割や成果に応じた「仕事給」に比重を置く方針を取っています。
これによって役割や成果に応じて賃金が上がりやすくなるため、同期間でも賃金カーブに差がつく可能性が高くなる見込みです。
神戸製鋼所社員の口コミ(キャリコネ)
30歳以上になると年収がアップ
「給与は良い方だと思う。特に30歳を過ぎるとなるとかなり上がる。 残業代もきちんと支払われるようになった。気になる点としては個人の成果が… 」
好況時は賞与が大幅増に
「年功序列で、管理職になると1千万円前後になる。業績に応じてボーナスが変動するので、前年度の年収と差が出ることもあるが、…」
神戸製鋼所の競合や同業界である東京製鐵、日立金属、三菱製鋼、日本製鉄の5社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、神戸製鋼所が546.9万円、東京製鐵が688.8万円、日立金属が694.7万円、三菱製鋼が573.7万円、日本製鉄が535.8万円です。
この5社の中で最高額は日立金属の694.7万円で、最低額が日本製鉄の535.8万円。その差はおよそ159万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では神戸製鋼所は4番目に位置します。
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) | 売上高 |
---|---|---|---|---|---|
日立金属 | 694.7万円 | 43.9歳 | 20.8年 | 5889人 | 5169.93億円 |
東京製鐵 | 688.8万円 | 38.8歳 | 16.5年 | 1028人 | 2708.83億円 |
三菱製鋼 | 573.7万円 | 42.9歳 | 20.5年 | 689人 | 772.22億円 |
神戸製鋼所 | 546.9万円 | 38.9歳 | 15.2年 | 11296人 | 12291.77億円 |
日本製鉄 | 535.8万円 | 38.5歳 | 16.5年 | 28708人 | 43659.7億円 |
神戸製鋼所の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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