日本製鉄の平均年収は535.8万円
まずはじめに日本製鉄の平均年収を見ていきましょう。日本製鉄の平均年収は535.8万円です(日本製鉄有価証券報告書)。キャリコネに投稿された給与明細を参考に日本製鉄の年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で340〜390万円、30歳代で480〜530万円、40歳代で600〜650万円という結果がでました。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.09倍の額です。
■日本製鉄の平均年収推移
決算月 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2022年3月期 | 535.8万円 | 38.5歳 | 16.5年 | 28708人 |
2021年3月期 | 494万円 | 37.2歳 | 15.5年 | 29579人 |
2020年3月期 | 612.6万円 | 37.2歳 | 15.1年 | 27096人 |
2019年3月期 | 613万円 | 37.2歳 | 15.1年 | 26570人 |
2018年3月期 | 597万円 | 37.4歳 | 15.4年 | 25101人 |
出典:日本製鉄・有価証券報告書
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
日本製鉄の平均年収は前年を上回り535.8万円でした。
過去5年間では2番めに低い額になりました。
日本製鉄の年代別平均年収と中央値
■日本製鉄の年収中央値は30代で500.7万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 362.4万円 | 23.2万円 | 70.9万円 | 326.16万円 |
30代 | 500.7万円 | 31.6万円 | 98万円 | 450.63万円 |
40代 | 622.2万円 | 39万円 | 121.9万円 | 559.98万円 |
50代 | 735.5万円 | 45.8万円 | 144.1万円 | 661.95万円 |
※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出
日本製鉄の年収が高い理由
■充実した福利厚生
日本製鉄の高い年収を支える最大の理由は、充実した福利厚生にあります。
特長的なのは、「ライフプラン支援制度」と「ワークライフサポート制度」という2つの制度です。前者は、資産形成支援の一環として、資格区分に応じて給付金が支給され、全額もしくは一部を確定拠出年金に充当することも可能になっています。後者は全社員一律で、一年度につき3万円が支給されます。これは、育児・介護、健康増進などの用途に活用することが可能です。こうした独自の制度により、年収を押し上げることはもちろんのこと、社員一人ひとりの現在から将来にいたるまでの生活全般を支援する会社の姿勢が伺えます。
また、日本製鉄では住宅手当の類はありませんが、代替として寮・社宅が整備されています。口コミによると、「1万円程度で入居できる」「家賃9万円程度の借上賃貸に2万円弱で住める」とのことで、こうした制度も、社員の可処分所得を押し上げる効果を発揮していることが分かります。
日本製鉄の給与体系・内訳
■賞与は業績連動制
日本製鉄の給与体系は、基本給と諸手当からなる月給と、年2回(6月・12月)の賞与で構成されています。
月給についてはさらに分解すると、基本給と職能給、そして諸手当(時間外手当、通勤交通費など)から成り立ちます。基本給は勤続年数や年齢、職能給は職能資格および人事考課により金額が決定します。それ以外にも福利厚生として、財形貯蓄、住宅融資制度、持株制度、ワークライフサポート制度などの制度が整備されています。
賞与は上述の通り業績連動制ですが、口コミを見ると「4~6ヶ月程度」が平均的な支給月数であり、さらに「労使交渉で変動幅が抑えられる」ため、大きな増減はないようコントロールされていることが分かります。
日本製鉄社員の給与明細(キャリコネ)
20代から30代で年収400万円増
20代技術(非管理職)の 給与明細
20代技術(非管理職)の 給与明細
30代前半で年収900万円超
30代(非管理職)の 給与明細
30代(非管理職)の 給与明細
日本製鉄の職種別年収
■賃金制度は事務系・技術系に共通する
日本製鉄の職種は、「事務系」と「技術系」の大きく2つに分類されます。「事務系」は企画、営業、総務人事など、「技術系」は開発、設計、品質管理などの職場で活躍します。職種は分かれるものの、賃金制度は両職種共通の制度であるため、職種によって年収が異なるということはありません。初任給についても両職種共通で、以下の通り学歴別に設定されています。
<初任給>
●高専卒/190,000円
●学部卒/213,000円
●修士了/238,000円
●博士了/302,500円
年代、資格別の年収目安としては、20代前半は400~600万円、20代後半から30代前半が700~800万円、主査クラスで800~900万円、主幹クラスから年俸制となり、1000万円を超えます。さらに上席主幹になると1500万円ほどに達します。
日本製鉄社員の給与明細(キャリコネ)
20代のうちは横並びで昇給していく
20代営業(非管理職)の 給与明細
20代技術(非管理職)の 給与明細
30歳で、どの職種でも800万円に迫る
30代管理部門(非管理職)の 給与明細
30代技術(非管理職)の 給与明細
日本製鉄で年収を上げる方法
■昇格試験は2年に一度
上述の通り、日本製鉄の基本給は、年齢と勤続年数、そして職能資格と人事考課により決定されます。そのため、年収を上げるためには社内での経験年数を積むことももちろんですが、人事考課で評価されること、そして昇格することが必要です。
日本製鉄で昇格するためには、昇格試験に合格することが必要です。口コミによると、試験のタイミングは「院卒の場合、入社2、4、6年目に昇格試験がある」そうで、そのうち、「1回目、2回目は基本的に全員合格」し、合格することで「月2万円程度昇給する」とのことです。3回目の試験に合格すると、アシスタントマネジメント(主査)に昇格しますが、この合格率は「7~8割程度」とのこと。しかし、「よほどでない限り1年~数年遅れで全員がマネジメント層に昇格できる」ことから、ここまでの昇格は全員に保証されていると言えます。昇格試験は、筆記試験(社員常識、社会情勢など)と面接、小論文という構成ですが、「試験準備も職場を挙げて行われる」という人材育成に熱心な社風が、高い合格率にも結び付いていると言えます。
評価制度は、「アサイン&コミットメント制度」が採られており、上司と半期に一度目標設定と達成度に関する確認が行われ、その評価結果が給与および賞与に反映する仕組みになっています。
日本製鉄社員の口コミ(キャリコネ)
メーカーにおいてはトップクラスの平均年収
「メーカーの中ではトップクラスの報酬 旧新日鉄と旧住金での差別もなくフェアな査定……」
年功序列の風土も根強い
「年功序列が強く残る 給与が高いのは年2回の業績連動賞与と毎月の残業代……」
日本製鉄と競合他社の平均年収を比較
日本製鉄の競合や同業界である神戸製鋼所、三菱電機、東芝の4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、日本製鉄が535.8万円、神戸製鋼所が546.9万円、三菱電機が806.7万円、東芝が892.3万円です。
この4社の中で最高額は東芝の892.3万円で、最低額が日本製鉄の535.8万円。その差はおよそ357万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では日本製鉄は4番目に位置します。
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) | 売上高 |
---|---|---|---|---|---|
東芝 | 892.3万円 | 45.6歳 | 19.2年 | 3673人 | 864.42億円 |
三菱電機 | 806.7万円 | 41.1歳 | 16.9年 | 36700人 | 25574.36億円 |
神戸製鋼所 | 546.9万円 | 38.9歳 | 15.2年 | 11296人 | 12291.77億円 |
日本製鉄 | 535.8万円 | 38.5歳 | 16.5年 | 28708人 | 43659.7億円 |
日本製鉄の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
東京大学卒業後、大手自動車メーカー入社。人事部門に配属。女性の働き方プロジェクトリーダーを担当。