住友不動産販売の採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
1975年に創立されて以後、不動産の売買・賃貸借の仲介業務をメイン事業として業績拡大をしています。当該事業は全体売上の8割前後を占め、中途採用もこの仲介営業職を中心に通年採用がなされています。
同社は個人向けのサービスを得意とし、全国を細分化したうえで270店舗を構えています。全店直営店舗となります。フランチャイズで出店しないのは自社内でノウハウと地域情報を蓄積するためです。住友不動産販売では転居を伴う異動が原則ありません。すなわち転勤が無いことを意味します。それにより土地勘のある専門性の高い営業担当者に依頼をしたいという顧客ニーズをくみ取ることに成功しています。同社の担当者は顧客からの依頼相談に始まり最後の取引完了時まであらゆる工程を一人の担当者が継続して顧客フォローにあたります。このマンツーマン方式とスケールメリットを生かすことで同社はマンションなど個人向け仲介市場でトップクラスの実績と強いブランド力を長い間維持し続けています。
仲介事業が伸び続ける理由は他にもあります。それは国内において長期優良住宅が増加していることです。他国に比べ日本の住宅寿命は短いとされ、平均して約30年と算出されていました。しかし資源の濫用が問題視され100年もつ長寿命の住宅を建設する方向に変わり、中古住宅市場の追い風となっています。
住友不動産販売の口コミで顕著なのは「成果主義」「実力主義」を指摘する声です。年齢や学歴・人柄はもちろんのこと新卒・中途の区別なく、業務上の実績で評価される職場環境にあります。仲介営業職の場合、実力とは主に手数料収入のことを指し売主買主双方から成約時に得た紹介手数料の合計金額によって業績評価が決められます。
ボーナス算定基準は社内で明確になっており、次期ボーナスのおおまかな額を自分で計算できるため、目標年収金額に向かって自発的に行動する社員が多いとのことです。それゆえに社内では休日出勤や長時間残業の風習が残っており、それらを美徳とする価値観も配属組織によって濃淡があるものの実際に存在している旨の口コミが散見されます。行動すればするほど報酬が得られることに満足する声と、厳しい労働環境に疲弊する声と口コミサイトでは反応が二分されているように見受けられます。
同社に関わらずBtoCビジネスの場合、BtoBと異なり土日休みとはならず、顧客とコンタクトがとれる時間にバラつきがあるため労働時間マネジメントがしづらくなります。面接では高い熱度をもって入社意欲を語るだけでなく、こういった環境に適応できるストレス耐性や覚悟感をもっていることを伝えていく必要があります。
■選考は何次まで?
住友不動産販売の選考過程は応募から内定まで3-4週間程度となります。基幹職種である営業ポジションでは内定までに3つの関門があります。
1つめは書類選考ならびに採用テストです。このテストは一般常識があるか確認する内容のものです。口コミをのぞくと、出題レベルはやさしめで、例えば計算問題は小学校レベルとのことです。選抜するためのテストというよりは、最低限の常識の有無を判別するスクリーニングテストの意味合いが強いといえるでしょう。
2つめの関門は一次面接です。一次面接は現在お住まいのエリアの支店か希望勤務地の支店で実施されます。地域によっては集団面接形式の場合もあるようです。ここでは過去の業務内容や、転職理由を細かく質問されたあと、なぜ不動産流通業界を選ぶのかを問う質問が続きます。この質問の流れは職種やエリアとわず共通で、あまりに予想外な奇をてらった質問はありません。おそらく面接官の手元に人事部で作成した全国統一ヒアリングシートがあるものと想定されます。
3つめの関門は二次面接となります。こちらの面接には役員クラスが登場します。場所は東京の新宿にあるビルで実施されることが一般的です。遠方からの応募者には交通費の一部が補助されます。ここで改めて不動産業界に身を置くことの覚悟が問われます。
この3つの関門を全てクリアすると内定となり、詳細な雇用条件の提示を受けられます。企業によっては内定前に健康診断書の提出を求めるところもありますが、住友不動産販売では入社意思を示したのちに、入社日までに健康診断受診を済ませる形となります。
■面接内容の傾向は?
面接は選考会場に入った時から始まっています。高額商材を扱うため顧客から親しみをもたれやすいキャラクターを持ち合わせているか、個人客の場合、主な打ち合わせ相手が依頼主の妻(女性)となるため清潔感や細やかさがあるか、くまなくチェックされています。もし会社説明会から参加する場合は説明会中の振る舞いも見られていますので、気を抜かないようにしましょう。
実際の面接の中では「不動産業界の中でも不動産流通業に興味を持った理由を聞かせてほしい」が最頻出質問です。転職を検討する際にきちんと業界が絞れている状態であるか、そしてその結論に至った理由を大変重要視しています。この問いに論理的に答えることができるかが合否を左右するとも言えます。論理的に回答するためには企業をよく調べている必要があり、その労力を惜しんでいないか、そこで志望度を計測されます。調べが浅かったり、転職理由と整合性がない場合は不合格の可能性が高まります。
次に重要視しているのは、不動産のプロフェッショナルになりたいという熱い気持があるかについてです。同社が定義するプロフェッショナルは、マンション・戸建て・オフィスどんな不動産でも一定の対応ができる状態のことを指し、リピーター獲得や口コミによる紹介を受けられることを目標に行動している状況を意味します。これに沿う形で入社後の自分のありたい姿を説明するとよいでしょう。
中途応募者のうち同業界出身者が多勢ですが、同社は異業界異職種の方も過去に受け入れしています。例としては自動車の営業職、コールセンターの管理職、福祉関係者、様々です。ただし同業界以外の入社者は入社後定着率が低いため、なぜ住友不動産販売なのかという点についてかなり厳しく問われると考えておいたほうがよいといえます。今の転職理由が住友不動産販売に入社することでどのように解消されるのか、説得力のある論を準備していきましょう。
例えば証券会社の営業職の方が受験する場合、「販売商品が事前に決まっていて顧客希望に合致していなくても販売せざるを得ない。そこに罪悪感を感じていた」が代表的な転職理由です。住友不動産販売の仲介売買では商品が最初から決まっておらず、顧客のニーズに合ったものを提案する営業スタイルであることに惹かれたといった内容を話すと理解・共感されやすいようです。
住友不動産販売の面接攻略法(面接対策)
■住友不動産販売の強みを理解した上で自己分析をする
複数の競合企業がひしめきあう市場の中で、住友不動産販売では継続的な成長を目指すために他社との差別化戦略として2つの主義を掲げています。
●同社のビジネスモデルについて:仲介事業、売買事業さらにわかれて個人営業、法人営業では、顧客と自社でどのように商談がはじまってどのようなプロセスを経て取引が行われているのか理解する。
●同社の運営体制の強みについて:直営店出店方式による地域密着営業、マンツーマン営業による専門性、反響営業、成果主義、資格取得補助などの手厚い研修プログラムについて、内容を理解する。
●業界動向について:中古住宅取引を活性化させる施策を国が主導で打ち出している点を理解する。
上記に関して、裏付けとなる数値やデータがコーポレートサイト上の新卒採用ページに多数公開されています。このような情報を面接回答にとり入れ、企業研究をしっかり行っていること、同社に対し高い興味と入社意欲があることをアピールしていきましょう。
ただし、1点だけ注意するポイントがあり、新卒面接と異なり中途面接では積極的に触れなくともよい点が同社には存在します。住友不動産販売では他社との差別化として研修制度が手厚いことをうたっていますが、志望動機の中で第一にそれをあげるのはおすすめできません。20代前半の若年層はともかく30代を過ぎた応募者の方には特におすすめしません。成果主義の中で主体的に成長していけるかが求める人物像ですので、研修に期待している、すなわち受け身を想定させるような文言は避けた方が無難でしょう。
過去の経歴や自分自身の強みについて聞かれた場合は、抽象的ではなく具体的に説明していきましょう。過去の経歴については仕事内容だけでなく具体的な実績について数値で表すことや、工夫したポイントをわかりやすく説明していきましょう。組織で一位をとったことがある、表彰経験を持つなどのPRは同社に対し大変有効です。もしそのような経験がなくとも、過去の自分と比較して前年比でどの程度改善できたか表現するとよいでしょう。
あわせて同社では辛かった経験、大変だと感じた業務をどう乗り越えたかといった壁をのりこえたエピソードが評価されるようですので準備をしていきましょう。
口コミでは「○○についてするどい突っ込みをうけた」との記述が目立ちます。例えば自分の強みを聞かれてコミュニケーション力と回答してしまうと、コミュニケーション力がさす内容が曖昧すぎるため、「具体的に何を指すのか?」と再質問が入りやすくなります。そうしたやりとりを避けるためにも最初からヒアリング力、提案力、課題解決力に置き換えると、相手に伝わりやすいでしょう。
■「なぜ住友不動産販売に転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
住友不動産販売の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ住友不動産販売か」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面もあわせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、住友不動産販売という企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、不動産企業の中でも以下のような中古不動産業を取り扱う企業について調べておくことがおすすめです。
- 三井不動産リアルティ株式会社
- 東急リバブル株式会社
- 野村不動産アーバンネット株式会社
- 三井住友トラスト不動産株式会社
顧客が不動産における売買仲介を検討する際、平均で3~4社を並べ比較検討を行います。同社は常にその中の1社に入る立ち位置を目指し、実現されています。実際に入社すると競合優位性をうまくつかって業務をすすめることになるので、入社前から理解しておくことが重要となります。
住友不動産販売の採用面接で実際に聞かれた質問内容
面接経験者が過去の中途面接で実際に聞かれた質問をご紹介します。
20代前半男性/営業職【結果:2次面接で不採用】
30代後半男性/営業職【結果:1次面接で不採用】
20代後半男性/営業職【結果:1次面接で不採用】
20代後半男性/営業職【結果:入社】
住友不動産販売の採用面接に向けて
住友不動産販売の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 住友不動産販売の社風である企業風土や求める人物像を理解する。「実力主義」「成果主義」の環境下で高いパフォーマンスを出せるかについて説得力のある回答を準備する。
- 競合他社について研究し、「なぜ住友不動産販売か」に対する答えを明確にしておく。住友不動産販売の戦略となる差別化ポイントを理解し、具体的な志望動機を考える。
- 住友不動産販売でどのような成長を遂げたいかについて「年収を上昇させていきたい」「昇進をしていきたい」「プロになりたい」といったポジティブな表現でまとめ、高い入社意欲を伝える。
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「転職エージェントって何?」という方はこちらの記事をお読みください。
北海道大学文学部卒業。専攻は社会学。小売業界を経て人材業界に転職。20代~30代向けの転職支援を行うキャリアコンサルタント。